内閣府の規制改革推進会議で借り手の匿名化・複数化問題が議論されました
- 2018/06/06
- 05:00
議論されたのは、平成30年2月27日(火)に実施された「第16回投資等ワーキング・グループ」です。
ロドスタのソーシャルレンディングブログ
元武富士支店長が斬る ソーシャルレンディング 匿名化問題
規制改革推進会議 会議情報 第16回投資等ワーキング・グループ 議事次第
議論の主な争点になっているのは、やはり「借り手の匿名化・複数化の指導」の是非についてです。
新経済連盟からの参加者は、借り手の匿名化・複数化について、
「投資家保護が阻害される事態になっている」
「現行の貸金業法は貸付型クラウドファンディングという形態をまったく想定していない。
そこに既存のスキームを無理やりあてはめようとした結果、無理が出ている」
と問題点を指摘しており、改善を求めています。
他の参加者も概ね同様の意見でした。


ソーシャルレンディング投資家として、私も同様の意見です。
さらに要望を言えば、みんなのクレジットに対する行政処分の件も示して、借り手の匿名化がすでに実際に問題を引き起こしていることも主張してほしかったところですが、まあ仕方ありません。
これに対して、金融庁からの参加者は、以下のように述べています。
「融資型クラウドファンディングの投資家が特定の借り手への貸付けに必要な資金を供給し、貸付けの実行判断を行っている場合には、投資家が貸付け行為を行っているものと評価して貸金業の登録が必要になると判断しております。
これに該当すれば、実態としても、貸金業法の規制によりまして、資金供給者である投資家から借り手を適切に保護する必要があるものと考えております。
実務運用上、投資家が貸付け行為を行わない事業スキームか否かを実質的に判断する必要がありますが、その際に、事業者の相談事例も踏まえまして、借り手の匿名化、複数化がなされているかということを考慮の一要素となり得るものとして実務レベルでお示ししているということでございます。」


金融当局の人間が公式に借り手の匿名化、複数化の指導を行っていることを認め、その必要性について説明しているのは私の知る限り初めてです。
この説明によると、金融当局が借り手の匿名化、複数化の必要性の理由・根拠としているのは以下の2点です。
(1)貸金業法に従えば、投資家が特定の借り手への貸付けの判断を行っている場合には、投資家に貸金業の登録が必要となる。
(2)投資家から借り手を適切に保護する必要がある。
(1)は、法律に書いてある以上それを厳格に運用しようとする金融当局の姿勢自体は特に非難すべきところはないので、まあ正論でいえば法律を改正するしかない、ということだと思います。
(2)については、金融当局とそれ以外の参加者の間でやや議論がかみ合っていない印象です。
議論がかみ合っていない理由は、「実態」についての認識がずれているからではないでしょうか。
新経済連盟などからの参加者は、ソーシャルレンディングの借り手は事業者である、という認識で、その前提で話を進めています。
一方金融当局は、ソーシャルレンディングの借り手は個人が含まれる可能性がある、という認識だと思われます。
ソーシャルレンディングの借り手は100%事業者である、という認識は、確かに現状を見ると正しいです。
maneo・AQUSH・SBIソーシャルレンディングは当初個人向けの貸付サービスからスタートしましたが、いずれもうまくいかず、結果的に個人向けからは撤退し、全て事業者向けにシフトしています。
最後まで個人向け貸付を手掛けていたのはSBIソーシャルレンディング(証券担保ローンファンド)ですが、これも2017年9月に募集が終了しているので、2018年5月現在、日本で個人向けの貸し付けを手掛けているソーシャルレンディング事業者は1つもありません。
ただ、これはあくまで現在たまたまそうなっているというだけで、今後も個人向けの貸し付けを手掛ける事業者が出てこないとも限らないので、金融当局の認識あるいは懸念が間違っているとも言えないと思います。
結局、借り手が個人なのか事業者なのか、によって(2)の結論は大きく変わってくると思います。
借り手が個人であれば、確かにそれを保護するため、名前などの情報を開示すべきでない、というのは確かにその通りだと思います。
一方、借り手が事業者であればその必要はなく、社名や所在地など具体的な情報を開示しても問題はないでしょう。
この部分は、一律に借り手を保護すべき、という画一的な考え方ではなく、個人か事業者かで分けて考えるべきだと思います。
そこを区別して考えないと、金融庁の資料にある多重債務者問題などあまりソーシャルレンディングと関係ない問題まで絡んできてしまいます。
法律はすぐには変えられないとしても、金融当局には、是非法律の枠内で、「事業者向け貸付については情報開示を認める」といったできる限り柔軟な対応を求めたいと思います。
次回は「過去に行政処分を受けた事業者一覧 」の予定です。
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