ラッキーバンクとみんなのクレジットの類似点と相違点
- 2018/05/16
- 05:00
金融当局からの行政処分
⇒業務停止
⇒複数ファンドでの返済遅延発生
というこれまでの流れは、嫌でもみんなのクレジットの件を思い起こさせます。
現時点ではラッキーバンクについてはいろいろと不明な点も多く、今後の展開も予想しづらいのですが、あくまで現時点で明らかになっている情報をもとに、ラッキーバンクとみんなのクレジットの一件の類似点について考えてみました。
■類似点
まず、両社の類似点として、身内への融資を行っており、それが融資全体において多くの割合を占めていたことが挙げられます。
金融当局からの指摘によると、みんなのクレジットの貸付先は「そのほとんどが親会社である株式会社「甲」及びその関係会社」であったとのことです。
(「甲」がブルーウォールジャパン(現テイクオーバーホールディングス)であったことはその後明らかになっています。)
同じく、ラッキーバンクについても、「田中 翔平代表取締役の親族が経営する不動産事業を営むX社」への貸付けを行っているファンド数は318本であるとのことです。
ラッキーバンクの年間募集ファンド数が100件程度であることを考えると、X社を貸付先とするファンドが非常に多くの割合を占めていると想定されます。
身内への融資を日常的に行っており、またその審査が甘くなっていたため、結果として大規模な返済遅延・デフォルトに至ったという構造は非常に似ていると言わざるを得ません。
また、身内に融資していたことが投資家に対して全く公開されていなかったことも両社で共通しています。
ファンド募集ページにおいて、融資先が関係会社である旨の説明はまったくありませんでした。
LCレンディングなど関係会社に対する融資を行っているソーシャルレンディング事業者は他にもいくつかありますが、LCレンディングはきちんと関係会社に対する融資であることを明記しています。
また、みんなのクレジット、ラッキーバンクとも、融資先が識別できないような情報公開の仕方であったため、そもそもファンドAとファンドBにおける融資先が同一なのか別々なのかも投資家からは判別できませんでした。
(ただしみんなのクレジットの場合はより悪質で、「実際には同一の融資先であるにも関わらず別々であるかのように誤認させるような表記」を行っていました)
■相違点
一方、相違点として、みんなのクレジットにおいては「ファンドの償還資金に他のファンド出資金が充当されている」状況があったと指摘されていますが、ラッキーバンクにおいてはその指摘はありませんでした。
ラッキーバンクにおいてはそうした行為が行われていないものと考えられます。
(今後そうした事実が出てくる可能性はありますが、あくまで現時点では)
また、みんなのクレジットにおいては、原則としてすべてのファンドに不動産もしくは有価証券の担保が設定されている旨を謳っていたにも関わらず、実際には、設定された担保の大半が甲の発行する未公開株式であり、中には担保が設定されていない貸付けも存在しました。
一方、ラッキーバンクにおいては、全ファンドに不動産担保が設定されていると表示していますが、その点については特に金融当局からの指摘はありませんでした。
(担保物件の評価についての指摘はありましたが)
したがって、担保設定自体は本当にされており、まったく存在しない担保を存在すると記載していたわけではないと考えられます。
■投資家として取りうる対策
こうした点を踏まえて、投資家としては今後どのような点に気を付けて投資したらよいのでしょうか。
まず、「ソーシャルレンディング最大のリスクは個々のファンドのデフォルトリスクではなく、事業者リスクである」と認識する必要があるのではないでしょうか。
みんなのクレジットの一件の際にも書きましたが、改めてそう思います。
事業者自体が信用できるものでなければ、そこで募集されているファンドの内容をいくら精査してもあまり全体のリスクの低減にはつながりません。
では、「どうすれば安全な事業者を判別できるのか」と言われると、私自身にも確実に見極める方法があるわけではありません。
ただ、私は以前「サービス事業者自体の安全性」を評価しましたが、その際は以下の5つの基準で行いました。
(2017年9月に書いたもの)
ソーシャルレンディング事業者比較「サービス事業者自体の安全性」
■サービス事業者自体の安全性の評価基準
・金融取引事業者の種別
金融取引事業者第1種の方が第2種・不動産特定事業者よりも透明性が高く当局の監視も厳しいため、評価を高くしました。
評価基準:
A:第1種
B:第2種、不動産特定事業者
C:その他
・資本金
資本金が多いほうが一般的に倒産の可能性は低いと考えられます。
評価基準:
A:1億円以上
B:1000万円以上
C:1000万円未満
・営業利益(2016年度)
営業利益がきちんと出ていれば、事業者が倒産する可能性は低いと考えられます。
評価基準:
A:1億円以上
B:黒字
C:赤字もしくは未公開
・会社の出資者
会社の出資者が上場企業・大企業であれば信用度は高いと考えられます。
評価基準:
A:上場企業もしくはその関連企業
B:未上場企業
C:その他もしくは不明
・金融当局からの行政処分などを受けていないか
評価基準:
A:処分を受けていない
B:軽微な指摘
C:重大な指摘・行政処分
なお、その際ラッキーバンクの評価はBで、全19社中11位でした。
ご参考になればと思います。
次回は「ソーシャルレンディング口座を妻の名義にして年間20万円節税する方法(2)」の予定です。
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