過去に金融当局からの指摘・行政処分を受けた事業者一覧
- 2018/06/13
- 05:00
みんなのクレジット、ラッキーバンクに対する金融当局からの行政処分は記憶に新しいですが、それ以前にも指摘・行政処分を受けた事業者があります。
過去に指摘・行政処分を受けた事業者をまとめました。
maneo
●指摘を受けた時期
2014年10月
●指摘事項
maneoは証券取引等監視委員会から以下の指摘を受けました。
この度、弊社の取り扱う事業性ローンファンドのうち借り手からの返済が延滞した案件
について、保証会社の保証履行により配当及び出資金の返還等が実施された事実があるこ
と、また、この事実を投資家の皆様に開示していなかったことにつきまして、弊社の業務
運営体制には問題があると認められました。
この問題につきまして、以下に過去にあった事実を開示させていただきます。
1.遅滞した事業性ローンファンドの社数及び金額について
過去に募集・貸付実行を行った事業性ローンファンドのうち、計 7 社あて 17 ファンド、
総額 441 百万円(以下、「本延滞案件」といいます)に延滞が発生いたしました。
2.概要について
本延滞案件に関しては、延滞が発生した時点において、保証人である保証会社の保証履
行により、投資家の皆様に配当及び出資金の返還等を実施しておりました。
3.今後の対策について
今回認められた問題を厳粛に受け止め、コンプライアンス態勢の強化を図ってまいります。
具体的には、外部の専門家を委員に招聘して「開示に関する委員会」を新たに設け、適切な
開示に関する討議や、開示に関する定期的な検査を行ってまいります。
延滞案件の開示に関するご報告
●処分内容
この件に関して特に行政処分はありませんでした。
●その後の経緯
上記指摘はすでに償還済みのファンドに関するものであり、投資家への影響はありませんでした。
クラウドバンク
クラウドバンクは2回行政処分を受けています。
■1回目
●指摘を受けた時期
2015年7月
●指摘事項
クラウドバンクは証券取引等監視委員会から以下の指摘を受けました。
(1)分別管理を適切に行っていない状況
顧客預り金残高を正確に把握できておらず、適切な分別管理ができていない状況を継続させていた。
業務システムへの入力作業の遅延等に係る補正を完了させていないほか、顧客の出資金を匿名組合の営業者名義の銀行口座に送金するまでの間、当社銀行口座に滞留させている状況にあるにもかかわらず、顧客預り金として管理すべき金額に含めていない。
(2)顧客に対し必要な情報を適切に通知していないと認められる状況
取引量の増加等に伴い業務システムへの取引内容の入力遅延が発生したことにより、金銭の受渡しに係る事項を正確に記載していない取引残高報告書を交付しており、受渡状況等につき不適切な情報を顧客に通知している。
●処分内容
上記の指摘を受けて、関東財務局より以下の行政処分が下されました。
(1) 業務停止命令
1]平成27年7月10日から平成27年10月9日までの間、匿名組合の出資持分の募集の取扱い業務のうち、新規の勧誘を伴う業務を停止すること。
2]平成27年8月10日から平成27年10月9日までの間、グリーンシート銘柄の売買等業務のうち、新規の勧誘を伴う業務を停止すること。
3]平成27年7月10日から平成27年10月9日までの間、匿名組合の出資持分の募集の取扱い業務及びグリーンシート銘柄の売買等業務以外の金融商品取引業に係る新規の業務を行わないこと。
(2)業務改善命令
1]本件法令違反の状況について、システムの見直しを含む抜本的改善策を策定し、平成27年10月9日までに実施すること。
2]金融商品取引業務を適切に行うための経営管理態勢、業務運営態勢及び内部管理態勢を整備すること(本件に係る責任の所在の明確化を含む。)。
3]正確な顧客預り金残高を早急に把握し、全顧客に対して、本件経緯を説明のうえ残高照合を行うとともに、顧客分別金信託額の適切な管理を行うこと。
4]当社が取扱会員となっているグリーンシート銘柄の発行会社と今後の対応について早急に協議し、発行会社の意向を最大限尊重した措置を講じること。
5]上記1]~4]について、その対応・実施状況を平成27年9月25日まで(上記1]の改善策に係る実施計画については、平成27年8月3日まで)に書面で報告すること。
日本クラウド証券株式会社に対する行政処分について
●その後の経緯
関東財務局長より行政処分を受け、業務停止命令に基づいて新規募集などの業務を停止していたクラウドバンクは、システム面・運営面の改善を行い、2015年11月に業務再開しました。
■2回目
●指摘を受けた時期
2017年6月
●指摘事項
クラウドバンクは証券取引等監視委員会から以下の指摘を受けました。
○ 著しく事実に相違する表示又は著しく人を誤認させるような表示のある広告をする行為
ア 不動産開発事業に対して融資を行う広告
当社は、平成28年1月から同年7月までの間、募集の取扱いを行った一部において、当社関係会社が関与する不動産開発事業に対する融資に関して、ウェブサイトに広告を掲載している。
上記不動産開発事業は、当社と業務委託契約を締結している者が既に保有している不動産に隣接する不動産を新たに取得し、2つの不動産を同時に売却することを企図する事業であり、新たに取得する不動産の購入等に充当する資金の融資をCB匿名組合から行うものである。
当社は、ウェブサイトにおいて行った広告の中で「SPC(特別目的会社)のメザニンとして6億円の融資を実行します」と表示し、CB匿名組合の融資先は不動産を実際に取得するSPC(以下「不動産取得SPC」という。)であること、また、融資の形態は、劣後特約付金銭消費貸借契約(以下「メザニンローン」という。)であることを説明している。
しかし、実際には、CB匿名組合の融資先は、不動産取得SPCではなく、不動産開発事業に投資を行う「甲事業会社」となっており、甲事業会社は、CB匿名組合から融資を受けた金銭の中から、不動産取得SPCにメザニンローンとして4億6000万円を融資するとともに、不動産取得SPCを営業者とする匿名組合に対して、1億7950万円を出資(以下「本匿名組合出資」という。)していた。
加えて、当社は、上記不動産開発事業のリスク説明として、「プロジェクトの継続が困難になった場合」と題した図を掲載し、CB匿名組合の融資したメザニンローンは、あたかもCB匿名組合とは別の出資者(事業者)の「エクイティ」によって毀損しない旨の表示をしている。
しかし、実際には、本匿名組合出資を除くと、不動産取得SPCの「エクイティ」に相当するものは55万円しかない状況であった。
以上のように、当社の上記のウェブサイトの広告は、実際には、本匿名組合出資を除く「エクイティ」が55万円しかないにもかかわらず、「エクイティ」の余力があることにより投資者がメザニンローンとして出資した金銭が毀損するおそれが低いかのような表示となっていることから、投資者の利益の見込みについて著しく事実に相違し、著しく人を誤認させるような表示であると認められる。
イ 営業者報酬等の還元をうたった広告
当社は、平成26年5月から同27年5月までの間、募集の取扱いを行った一部において、「手数料還元お客様キャンペーン」、「営業者報酬の一部を皆さまに還元することで、特別目標利回り6.5%でご提供いたします。」などとうたって、ウェブサイトに広告を掲載している。
しかし、当時CB匿名組合の運用担当者であった前代表取締役は当初から営業者報酬を還元する意思はなく、顧客に対して、手数料等の還元を一切行っていない中、当社は上記の表示を行っていた。したがって、上記のウェブサイトの広告は、顧客が支払うべき手数料等の額に関する事項について、著しく事実に相違する表示であると認められる。
当社の上記アの行為は、「金融商品取引行為を行うことによる利益の見込み」について、著しく事実に相違する表示又は著しく人を誤認させるような表示のある広告をする行為であり、上記イの行為は、「金融商品取引契約に関して顧客が支払うべき手数料等の額に関する事項」について、著しく事実に相違する表示のある広告をする行為であることから、金融商品取引法第37条第2項に違反する。
●処分内容
上記の指摘を受けて、関東財務局より以下の行政処分が下されました。
【業務改善命令】
(1)顧客に対し、行政処分の内容を速やかに説明するとともに、説明を踏まえて出される顧客からの意向について、顧客の公平に配慮しつつ、適切かつ速やかに対応すること。
(2)広告審査態勢を構築するとともに、金融商品取引業務を適切に行うための経営管理態勢、業務運営態勢及び内部管理態勢を整備するなど、本件に係る再発防止策を策定し、着実に実施すること。
(3)本件に係る責任の所在の明確化を図ること。
(4)上記の対応・実施状況について平成29年7月10日までに書面で報告するとともに、以降、そのすべてが完了するまでの間、随時書面で報告すること。
日本クラウド証券株式会社に対する行政処分について
●その後の経緯
クラウドバンクによると、上記指摘事項について2017年に修正・対応済みとのことです。
いずれも広告担当者とファンド責任者の間の情報共有がうまくいっていなかったために起こったとのことです。
みんなのクレジット
みんなのクレジットは証券取引等監視委員会と東京都からそれぞれ指摘を受けています。
■証券取引等監視委員会からの指摘
●指摘を受けた時期
2017年3月
●指摘事項
(証券取引等監視委員会サイトより一部引用・要約)
(1)金融商品取引契約の締結又は勧誘において重大な誤解を生じる行為
ア 貸付先について誤解を生じる行為
みんなのクレジットの貸付先は、そのほとんどが親会社である株式会社「甲」及びその関係会社となっており、貸付先が甲グループに集中している状況となっているが、その旨をウェブサイト上に明記していなかった。
イ 担保について誤解を生じる行為
みんなのクレジットサイトでは、原則として貸付先から不動産もしくは有価証券の担保を受け入れ、返済が滞った場合には、担保権の実行により貸付金の回収を図る旨を表示している。
しかし実際には、設定された担保の大半が甲の発行する未公開株式となっており、中には担保が設定されていない貸付けも存在する状況となっている。
(2)業務運営について投資者保護上問題が認められる状況
ア ファンドの償還資金に他のファンド出資金が充当されている状況
既に償還された17本のファンドの償還金の原資を検証したところ、10本について、他の償還期限が到来していないファンドの資金が償還金に充当されている状況が認められた。
イ キャンペーンにファンド出資金が充当されている状況
みんなのクレジットはキャッシュバックキャンペーンと称して、顧客に現金を還元しているが、当該現金還元の原資を検証したところ、甲へ貸し付けたファンド出資金が当社に還流して充当されている状況が認められた。
ウ 白石代表がファンド出資金を自身の借入れ返済等に使用している状況
白石代表は、みんなのクレジットが甲に貸し付けたファンド出資金について、甲の社員に指示を出し、自身の預金口座及び自身の債権者に送金させている状況が認められた。
エ 甲グループの増資にファンド出資金が充当されている状況
甲グループの増資について、ファンド出資金が甲グループ内で貸付け、借入れが繰り返された後に充当されている状況が認められた。
オ ファンドからの借入れを返済することが困難な財務の状況
みんなのクレジットは、ファンド出資金の最大の貸付先である甲が、毎月多額の損失を出し続け、累積赤字を増加させており、債務超過の状態にあったことを認識していた。
甲は、同年11月末、上記エの増資により債務超過状態を解消しているが、一方で、同年5月以降、ファンドから毎月多額の資金を借り入れていたことから、同年11月末時点における短期借入金が流動資産を大きく上回る状況となっている。
また、平成28年11月末時点における甲グループ全体の財務状況についても、短期借入金の総額が流動資産を大きく上回っている状況となっていることから、ファンドからの甲グループへの貸付けは返済が滞る可能性が高い状況と認められる。
証券取引等監視委員会サイト上に掲載されている概要図
上記の「甲」とは、白石氏が同じく代表を務めるブルーウォールジャパン(現テイクオーバーホールディングス)であることが後に判明しています。
証券取引等監視委員会「株式会社みんなのクレジットに対する検査結果に基づく勧告について」
●処分内容
上記の指摘を受けて、関東財務局より以下の行政処分が下されました。
(1) 業務停止命令
2017年3月から1ヶ月間の業務停止処分
(2) 業務改善命令
1) 本件行政処分の内容について、顧客に対し速やかに適切な説明を行うこと。
2) 今般の法令違反及び投資者保護上問題のある業務運営について、発生原因を究明するとともに、直ちに是正すること。
3) 顧客が出資した財産の運用・管理状況を正確に把握し、顧客に対し、顧客が出資した財産の運用・管理の状況その他必要な事項の説明を速やかに行うこと。
4) 顧客の意向確認を実施し、顧客の公平に配慮しつつ、意向に沿った対応を行うなど、投資家保護に万全の措置を速やかに講ずること。
5) 責任の所在を明確化し、社内処分等を実施するとともに、金融商品取引業者として必要な、内部管理態勢を再構築すること。
6) 当社、当社の親会社及びその関係会社の財務状況を正確に把握し、当社における今後の資金繰り計画を策定すること。
7) 上記1)~6)までの対応・実施状況について、1カ月以内(改善策が策定・実施され次第随時)に、書面により報告するとともに、その実施状況を、すべてが完了までの間、随時書面により報告すること。
株式会社みんなのクレジットに対する行政処分について
■東京都からの行政処分
●指摘を受けた時期
2017年8月
●指摘事項・処分内容
(1)業務停止処分
処分理由(違反事項)
・禁止行為違反(過大担保の徴求)
1 業務停止期間
平成29年8月9日から平成29年9月7日まで(30日間)
2 停止対象業務
業務の全部(弁済の受領に関する業務及び訴訟又は調停に応ずる業務を除く。)
(2)業務改善命令
処分理由(違反事項)
・利息制限超過の契約違反
・契約締結時の書面の交付違反
●その後の経緯
関東財務局より1ヶ月間の業務停止処分を受けていたみんなのクレジットは、2017年4月以降も自主的に新規ファンド募集などの業務を停止し、また代表取締役を白石伸生氏から阿藤豊氏に交代しました。
以降しばらくはファンドの分配がなされていましたが、2017年7月にほぼすべてのファンドで一斉に返済遅延が発生し、投資家への返済がされなくなりました。
結局、2018年2月にみんなのクレジットは、テイクオーバーホールディングス(旧株式会社ブルーウォールジャパン)、株式会社ブルーアート及び株式会社らくらくプラスに対する債権を債権回収会社に譲渡しました。
テイクオーバーホールディングスグループに対する債権額は約31億円でしたが、これを9660万円で譲渡しました。
割合としては3%ほどになります。
3月にはこの譲渡額に相当する金額が投資家に返金されました。
ラッキーバンク
●指摘を受けた時期
2018年2月
●指摘事項
ラッキーバンクは証券取引等監視委員会から以下の指摘を受けました。
指摘されている事項は大きく2つです。
(証券取引等監視委員会サイトより引用・一部要約)
(1)貸付先の審査につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為
田中 翔平 代表取締役の親族が経営する不動産事業を営むX社よりX社より提出された財務諸表において、売却契約の締結に至っていない物件を売上に計上するなどして、純利益や純資産が水増しされているにもかかわらず、これを看過していたほか、X社が手掛ける複数の不動産事業について事業期間が延長となる事態が発生し、この間、X社は売却資金を得られず、平成29年3月以降に償還期日を迎えるファンドに係る借入金の返済が困難な状況となっていることを認識したにもかかわらず、その後もX社を貸付対象先とするファンドの募集を継続している。
上記のとおり、慎重な手続によって貸付先の審査が行われているとは認められない状況にあったが、あたかも、慎重な手続きによって行われているかのような誤解を生ぜしめるべき表示を行ったと認められる。
(2)担保物件の評価につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為
当社は、X社が保有する不動産に担保を設定して、X社への貸付けを行っているファンド318本のうち252本について、「不動産価格調査報告書」を当社ウェブサイト上の募集要領に掲載しているが、当該報告書は、正式な不動産鑑定評価を行った上で作成されたものではなく、対外的に公表できない不動産価格をウェブサイト上に掲載し、ファンド出資持分の募集を行っている。
以上のとおり、当社は、出資者の投資判断に重大な影響を及ぼすと認められる担保評価について、誤解を生ぜしめるべき表示を行ったと認められる。
ラッキーバンク・インベストメント株式会社に対する検査結果に基づく勧告について
●処分内容
上記の指摘を受けて、関東財務局より以下の行政処分が下されました。
【業務改善命令】
(1) 全顧客に対して、今回の行政処分に至った経緯及び事実関係を正確かつ適切に説明し、説明結果を報告すること。
(2) 今般の法令違反及び投資者保護上問題のある業務運営について、発生原因を究明し、改善対応策を策定するとともに実行すること。
(3) 責任の所在を明確にするとともに、貴社のファンド募集の貸付先審査等にかかる金融商品取引業者として必要な内部管理態勢を再構築すること。
(4) 顧客からの問い合わせ等に対しては、誠実かつ適切に対応するとともに、投資者間の公平性に配慮しつつ、投資者保護に万全の措置を講ずること。
(5) 上記の対応及び実施状況について、平成30年4月2日までに書面で報告するとともに、以降、そのすべてが完了するまでの間、随時書面で報告すること。
ラッキーバンク・インベストメント株式会社に対する行政処分について
●その後の経緯
ラッキーバンクは、指摘を受けて以降新規ファンド募集を停止しています。(2018年6月現在まだ停止中)
運用中ファンドの分配に関する業務は継続しています。
2018年5月には複数ファンドにおいて返済遅延が発生しました。
ブログ「ソーシャルレンディングの歩き方」によると、ラッキーバンクにおいて現在運用中の182ファンドのうち、121ファンドにおいて延滞が発生しているとのことです。
ソーシャルレンディングの歩き方 ラッキーバンク返済遅延リスト:ブログ村の新着記事が「ラッキーバンク遅延」だらけ
おわりに
行政処分を受け、その後サービス再開できずに終わってしまう事業者もあれば、その指摘事項を改善してサービス向上につなげる事業者もあります。
投資家としても、事業者が行政処分を受けたと聞くとつい動揺してしまいますが、冷静に対応できるようにしたいものです。
次回は「TATERU Apartmentで資料請求しました」の予定です。
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