maneo決算書分析(2016年度)
- 2017/10/07
- 05:00
<以下maneo瀧本社長のメルマガより引用>
maneoで延滞していた案件が、回収になりました。
延滞した直後の情報は、下記です。
http://www.takimotokenji.com/2017/03/post_382.html
担保に取っていた不動産が売却となり、
1.貸付元本の全額
2.デフォルト時までの利息
3.デフォルト時から今までの遅延損害金の一部
を回収することができました。
この案件、「無担保案件」として、maneoで募集させていただいていましたが、
実際には、未登記の抵当権の設定書類を借主より預かっていました。
社内では「登記留保案件」と呼んでいます。
借主がデフォルトしないだろうから、登記しないが、
借主へのプレッシャーとしていつでも登記できる状態にしておくという案件でした。
借主があろうことか、デフォルトし、そして法的手続きに入りました。
個人の連帯保証人も破産手続きに入りました。
どうやら、「変な筋」から資金調達をしていて、追い込まれたようです。
事業は順調だったようですが、「変な筋」と取引のある会社を援けるわけにもいかず、
「変な筋」排除のために、法的手続きに移行したようです。
maneoは、担保権(抵当権)を不動産の第2順位として登記しました。
競売もかけましたが、今回は任意売却で不動産を売却できました。
今回、裁判所に選ばれた弁護士の立会いの下で行われましたので、公正なものです。
該当投資家の皆様には、
遅くとも今から1か月以内には、規定に従って分配・配当をさせて頂く予定です。
該当投資家の皆様には、ご心配・ご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした。
また、本案件に該当していない投資家の皆様にもご心配をおかけしました。
本年の3月以降、
約7か月間に渡り回収を試み、上記の金額を回収致しました。
この間、該当投資家の皆様には、2週間に1度程度、進捗をご報告してきました。
遅延損害金も含めた完全回収、とまでは行きませんでしたが、
少なくとも元本の全額を回収できたことは、良かった!…と感じています。
これに懲りず、maneoをご贔屓くださると幸いです。
投資はリスクが付き物ですので、投資案件の内容をよく見て、分散投資を心がけて頂ければ幸いです。
<引用終わり>
不動産担保を売却して元本が全額回収できたとのことです。
私はこの案件には投資していなかったのですが、無事回収されてよかったです。
また、今月中旬から、投資家に投資額の残額に応じて、
・ダイヤモンド
・プラチナ
・ゴールド
・ブロンズ
・レギュラー
のステータスが設定されるそうです。
高いステータスを獲得すると何かメリットがあるのでしょうか。
*******
各事業者の決算書を分析してみます。
各社の決算書を見ることで、その経営状況が安定しているのか、その安全性を評価するのが目的です。
しかし、1点問題があります。
一般的には企業の安全性を評価するには自己資本比率や負債比率を見るのですが、以前私が試みたところ、この方法はうまくいきませんでした。
理由としては、ソーシャルレンディング事業者は投資家から預かった匿名組合出資金を負債として計上するため、単純に計算すると自己資本比率は非常に低く、負債比率は非常に高く出てしまったためです。
(例:maneoの貸借対照表)

例えば、上記のmaneoマーケットの貸借対照表(連結)から算出すると、自己資本比率は6.0%という非常に低い値となってしまいます。
しかし、一般的な企業と異なり、ソーシャルレンディング事業者の匿名組合出資金は貸出先企業からの返済が滞れば投資家に対して返済する必要のない資金です。そのため、匿名組合出資金がいくら多くても事業者の安全性が低いと評価するのは適切ではありません。
そこで、ここでは事業者のキャッシュフローを見ることで安全性を評価する方針としたいと思います。
安定して利益が出ていれば倒産の危険は低いと考えられます。
今回はmaneoの運営会社であるmaneoマーケット株式会社とmaneo株式会社を分析します。
この2社は連結での決算書を公開しています。
元にしたのは下記の決算書です。
https://www.maneo.jp/apl/aboutus?page=ir
収益状況推移は以下の通りです。
maneoマーケット株式会社 収益状況推移(単位:億円) | |||||||
項目 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | |
主要な項目 | ①総資本 | 20.4 | 33.1 | 64.7 | 92.3 | 150.9 | 195.0 |
②売上高 | 1.4 | 2.9 | 4.2 | 6.3 | 14.1 | 21.9 | |
③営業利益 | 0.4 | 0.5 | 0.9 | 1.2 | 3.1 | 3.4 | |
④当期純利益 | 0.4 | 0.4 | 0.8 | 1.2 | 2.0 | 2.0 | |
収益性を表す指標 | ROA(総資本利益率) (④/①) | 2.0% | 1.2% | 1.2% | 1.3% | 1.3% | 1.0% |
売上高営業利益率(③/②) | 28.6% | 17.2% | 21.4% | 19.0% | 22.0% | 15.5% | |
成長性を表す指標 | 売上高伸び率 ((当期②/前期②)-1) | - | 107.1% | 44.8% | 50.0% | 123.8% | 55.3% |
営業利益伸び率 ((当期③/前期③)-1) | - | 25.0% | 80.0% | 33.3% | 158.3% | 9.7% |
■①総資本について
総資本は貸出残高の増加に伴って年々増えており、2016年度は195億円に達しています。
■②売上高、③営業利益、④当期純利益について

売上高、営業利益、当期純利益とも毎年順調に伸びています。
2016年度の売上高は21.9億円ですが、よく考えると少し不思議です。
maneoのマーケット情報によると、2016年12月時点での貸出残高は150億円ほどですが、maneoの営業者報酬は貸出残高の2~3%ほどなので、売上は3~5億円ほどとなるはずです。
LCレンディングをはじめとする他の事業者からの委託手数料も売上に含まれるでしょうが、それも貸出残高のせいぜい1%程度と思われます。だとすると、1億円程度となるはずです。
残りの10億円以上の売上はどのようにあげているのでしょうか。
一方、営業利益も同様に不思議な点があります。
売上高21.9億円に対して営業利益は3.4億円しかありませんが、コストとして18億円もかかっていることになりますが、何にかかっているのでしょうか。
社員数は多くとも20名程度と思われるので、人件費が10億円もかかるとは考えられません。システムの運営コストもかかるでしょうが、それも何億円もかかるとは考えにくいです。
これらの点を考慮すると、maneoマーケット社はソーシャルレンディング以外にも別の事業を手掛けていると思われます。
機会があればぜひ聞いてみたいと思います。
■収益性を表す指標 ROA(総資本利益率)、売上高営業利益率について

ROA(総資本利益率)とは、資産に対してどれくらいのもうけを出しているかを示す指標で、総資本に対する当期純利益の割合で表されます。
売上高営業利益率とは、売上高に対する営業利益の割合です。
ROAについては毎年1%前後であまり大きく変動はしていないようです。
先に述べたように貸出残高に対する営業者報酬は大体2~3%程度で大きく上げたり下げたりはしていないようです。
売上高営業利益率については、毎年20%前後で推移していますが、2016年度は15.5%で前年の22.0%からやや下がっているようです。
■成長性を表す指標 売上高伸び率、営業利益伸び率について

売上高伸び率、営業利益伸び率は成長性を表す指標です。前年からそれぞれどれくらい伸びたかを表します。
売上高伸び率は毎年非常に大きく、特に2012年、2015年は100%以上となっています。
売上高は2011年からの5年間で実に15倍以上になっています。非常な高成長と言えるでしょう。
営業利益伸び率も大きく、営業利益はこの5年間で8倍以上に伸びています。
しかし、2015年から2016年で見ると、売上高は55.3%伸びているのに対し、営業利益は9.7%しか伸びていません。
ソーシャルレンディング事業においては売上が伸びてもコストが急に増えることはないと考えられるため、別の事業におけるコストがかさんだためではないでしょうか。
■総評
少なくともこの決算書を見る限り、maneoマーケット社は毎年安定して利益を上げており、安全性は高いと考えられます。
次回は「クラウドバンク決算書分析(2016年度)」の予定です。
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