先日の記事で
「ソーシャルレンディングと他の投資のパフォーマンス比較(2016年)」を公開しました。
ただ、これはあくまで私個人のパフォーマンス比較です。
一般的には、ソーシャルレンディングと株式投資(日本)はどちらが儲かるのでしょうか。もちろん、株式投資で大きな利益を得ている人もいれば、損をしている人もいるので、この比較は非常に難しいのはお分かりいただけると思います。
なのでこの比較を敢えてするなら、
いろいろな前提条件付きで行うしかありません。
まず、その比較結果は以下の通りです。
(表)日本株式投資とmaneo投資の利益率
投資を開始した年度 | 株式 | ソーシャルレンディング(maneo) |
累計利益率 (2016年末時点) | 利益率 (年利) | 累計利益率(2016年末時点)(複利) |
2010 | 65.8% | 6.4% | 57.2% |
2011 | 66.6% | 6.8% | 47.7% |
2012 | 104.4% | 7.1% | 38.3% |
2013 | 70.9% | 6.6% | 29.2% |
2014 | 17.5% | 6.0% | 21.1% |
2015 | 8.4% | 6.7% | 14.3% |
2016 | 0.6% | 7.1% | 7.1% |
(グラフ)
以下の通りの条件で比較を行いました。
■比較する期間比較する期間は、ソーシャルレンディングがサービス開始した(正確には、maneoのビジネス向け融資が始まった)
2010年から2016年としました。
■ソーシャルレンディング利益率の算出方法・ソーシャルレンディング全事業者の利益率を算出すべきところですが、データを集めるのが難しかったため、
maneoの利益率のみを集計しました。まあ全体の利益率と大きな差はないと思います。
「ソーシャルレンディング(maneo)・利益率(年利)」は、その年に募集されたmaneoの全案件の利回り(年利)を単純平均しました。
なお、この期間maneoでは貸し倒れは0件なので、利回り=利益率となります。
・
「ソーシャルレンディング(maneo)・累計利益率(2016年末時点)(複利)」は
、「それまでに得られた利益をすべて再投資した場合に、2016年末時点でどれだけの利益率になっているか」を表す値です。
例えば、2015年の14.3%は、2015年に100万円をソーシャルレンディングに投資し、1年後に得た6.7%(6.7万円)の利益と元本を2016年に再投資した場合、2016年末でトータル114.3万円になっているということを意味します。(複利効果があるので)
当然昔から投資しているほうが累計利益率は高くなり、2010年から投資していたとすると、57.2%になります。
■株式投資の利益率の算出方法・ここでは
、「各年次の年初時点で株式に投資し、2016年末まで持ち続けた場合にどれだけの利益が得られたか」を利益率と定義しました。
つまり、2010年の株式投資の利益率が「65.8%」とあるのは、「2010年初に株式に100万円投資した人が2016年末まで持ち続けた場合、その株式の価値は165.8万円になっている」ということを意味します。
・具体的には、各年初時点と比較した2016年末の
TOPIXの騰落率から算出しました。
例えば、2016年の利益率は「(TOPIXの2016年末の値 - 2016年初の値) ÷ 2016年初の値」で算出し、
2010年の利益率は「(TOPIXの2016年末の値 - 2010年初の値) ÷ 2010年初の値」で算出しました。
TOPIXの推移データは
日本取引所グループのサイトより取得しました。
・株式投資の利益率はマイナスもあり得るのですが、2010年~2016年にかけて日本株式は概ね上昇傾向であったため、たまたまどの時点もプラスになっています。
最も利益率が高いのは2012年に株式に投資した場合であり、利益率は104.4%と、資産額が2倍以上になっています。
・株式配当は考慮していません。
■考察・
2010年~2013年までは、株式投資の利益率の方がソーシャルレンディングを上回っています。 この期間の株式投資の利益率はいずれも60%を超えており、この期間に株式を買って持ち続けていた投資家は大きな利益を得られたでしょう。アベノミクスのおかげです。
・一方、
2014年~2016年はソーシャルレンディングの方が株式投資よりも利益率が高くなっています。 特に、2016年は株式投資では利益率0.6%とほとんど利益が得られませんでしたが、maneoでは利益率7.1%が得られたので、だいぶ勝っていたと言えます。
・「短期的には株式投資が勝つことはあっても、長期的にはソーシャルレンディング投資の方が有利になる」と思っていましたが、実際に分析してみたら逆の結果となりました。
まあ、
この手の分析は期間をどうとるかによって結果が大きく変わってきます。2016年度末はたまたま比較的株価が高い時期だったのでほとんどの期間株式投資が勝っているという結果になりましたが、来年以降はどうなるでしょうか。
今後も継続して分析してみたいと思います。
次回は
「アップルバンク代表者インタビュー」の予定です。





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