クラウドファンディング専門行政書士花房氏インタビュー
- 2017/02/18
- 05:00
■日時:3月8日(水) 18時30分〜
■会場:東京ミッドタウン(六本木)
■参加無料
■スケジュール
・ソーシャルレンディングとは?
・各社プレゼンテーション
・投資家の投資体験談
・事業者横断パネルディスカッション
・質疑応答
<以下プレスリリースから引用>
ソーシャルレンディングサミットは、ソーシャルレンディングの認知、理解の促進を目的としたセミナー形式のイベントです。ソーシャルレンディング業界を代表するソーシャルレンディング事業者6社と、5年以上のソーシャルレンディング投資経験のある投資家が参加し、プレゼンテーションやパネルディスカッションを行います。
ソーシャルレンディングの主要な事業者がこれほどの規模で合同説明会を開催するのはこれが日本で初めての試みです。また、複数の事業者と投資家が同時に登壇してディスカッションを行うイベントも、これが業界で初めての試みです(1)。
ソーシャルレンディング業界は、8%を超える利回りと、過去3年間で貸し倒れ発生件数ゼロという安全性、少額からはじめられる手軽さ、といった魅力にもかかわらず、他の資産形成手段とくらべてあまり注目されてきませんでした。その一因として、身近にソーシャルレンディング投資経験者が少なく、信頼できる情報も少ないため、なかなか手を出しにくい状況があったと考えられます。
ソーシャルレンディングサミットを通じて、事業者や投資家の生の声に直接ふれることで、一般投資家にソーシャルレンディングのメリット、デメリットを正しく理解して頂くことを目的としております。
<引用終わり>
以下の6社が参加予定です。

maneoは業界最大手ですが、これまでmaneoグループ以外の事業者と共同セミナー等に参加するのは初めてだと思います。
また、CAMPFIREについては私も直接お話を聞いたことがなく、いったいどのようなサービスになるのか非常に興味があります。
パネルディスカッションではどのような意見交換がされるのでしょうか。
見逃せないイベントとなりそうです。
私も必ず参加する予定です。
残席は少ないようですので、参加をご希望の方はお早めに申し込むことをお勧めします。
↓
「第1回 ソーシャルレンディングサミット 」
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不動産証券化・クラウドファンディング関連の許認可取得を専門とする行政書士である、東京共同会計事務所の花房千尋氏にインタビューさせていただきました。
■インタビュー日時
2017年2月6日
■インタビュー内容
-経歴についてうかがいたい
大学卒業後に法律事務所で勤務した後、不動産事業者で営業とバックオフィス業務に従事し、行政書士登録を機に、証券化ビジネスに関与する会計事務所においてファンドに関する許認可業務に従事している。
現在では不動産証券化・クラウドファンディング事業を専門としている。
-クラウドファンディング関連業務を専門とした理由は
クラウドファンディングはただ登録申請するだけではなく、事業スキームの検討から実行体制に至るまで多くの場面で顧客と一緒に作り上げる必要があり、顧客と一緒にその事業のスタートに関与できることにやりがいを感じた。
また、現在、ごく限られた行政書士しか手掛けておらず、チャンスだと感じたところもある。
-これまでクラウドファンディング関連で手掛けてきた業務内容は
金融型、飲食業などの事業型、太陽光ファンドなどのクラウドファンディングの許認可登録を手掛けた。
ソーシャルレンディングについては、2社の貸金業登録を手掛けた経験がある。
-現在ソーシャルレンディングへの新規参入を検討している業者は多いのか
ソーシャルレンディングを始めたいという事業者は多く、よく相談を受ける。
資金調達に関わるコンサルタントが、クライアントの資金調達のサポートのために手掛けたいというケースも多い。
-自身でもソーシャルレンディング投資を行っているのか
昨年の春頃から始め、現在2社で投資を行っている。
-第二種金融商品取引業者の登録審査とはどのようなものか
人的要件として、営業部門、法令等遵守指導部門、内部監査部門の責任者は金融取引の経験者である必要がある。
会社の営業年数は関係なく、新規の会社でも条件を満たしていれば登録は可能だが事業計画は利益が出るしっかりしたものでないとならない。
審査には最短6カ月、長いと1年以上かかる。また費用については登録費用をはじめとして、トータルで数百万円はかかる。
本店所在地で審査窓口が変動し、東京に本店所在地がある場合には東京財務事務所および関東財務局で審査が行われる。
-貸金業の登録をするための審査はどのようなものか
貸金業は、金融取引事業者(第二種金融商品取引業)よりもハードルは低く、1人しかいない事業者でも登録は可能となる。
財産要件として、5000万円以上というのがクリアできれば、人的要件は比較的低いが、やはり経験者は必要となる。
ソーシャルレンディングにて貸出資金を調達する貸金業者の場合は、登録時の審査期間に、金融商品取引法における契約締結前交付書面や自社HPサイトの仕様を提示する必要がある。
登録にかかる期間は最短で4カ月、長くて6カ月程度。
東京であれば、東京都庁の貸金業対策課で審査が行われる。

-最近登録審査が厳しくなっていると聞くが
金融商品取引業者の登録は、役員や担当者に融資業務の審査・デューデリジェンス・回収の判断ができる知識と能力が求められるようになり、厳しくなっている。
-これまでにいくつかのソーシャルレンディング事業者が金融庁の検査を受けたが、検査対象はどのように選定されているのか
何らかの法令違反をしていると疑われる事業者や、投資家からの情報提供があった事業者が対象となる。また、特に疑念がなくても、定期的に行われる検査もある。
例えば、『貸付に担保を付けている』と謳っている場合、本当に抵当権などの登記をしているのかどうかサイト上の情報では投資家はわからない。そうした点に疑いを持った場合には検査を実施して投資家への勧誘・説明内容が嘘ではないか確認を行う。
-検査はどのような流れで行われるのか
抜き打ちで行われる臨店検査と予告検査の2つのパターンがある。
いずれもまず検査官が事業所にきて、各種の書類の内容を確認する。これにはオンサイトモニタリングと呼ばれ、通常1~2週間ほどが多いが、場合によっては3ヶ月程度かかる場合もある。
検査期間中には、質問票・整理票が検査官から提示され、それに対して事業者は回答する必要がある。こうした書類のやりとりが、長いと3か月~6か月ほどかかることもある。
検査終盤に講評が行われ、この段階でどういった処分になるのかがわかる。
全て終わると終了通知が交付されるが、あわせて1年間ほどかかったという例も聞く。
登録取り消しなどの重大な処分の場合は、終了通知と同じタイミングで金融庁のHPや関東財務局のHPに勧告内容が公表される。
懸念があれば、検査途中でファンド新規募集などがストップされることもある。
検査の結果、特に指摘がなければ、過去の業務や商品については基本的に問題が見受けられなかったと考えられるが、証券検査を受検した金融商品取引業者のすべての金融商品の内容を調べているわけではない。

-安全性の高い事業者を見分けるポイントはあるか
私は、金融商品取引業者が貸金業者をどのように管理しているかという点に注目している。
貸金業者が暴走しないような体制となっているか、きちんと知識・経験をもった役職員を配属しているか、金融商品取引業者から役員が行われ、業務執行体制を管理しているかといった点が重要。
-具体的にどの事業者の安全性が高いと考えるか
貸金業者の業務を執行する役員の経歴や、金融商品取引業者の役職員の経歴・バックグラウンドなどを積極的に公開している業者は信頼できるのではないか。経歴は目利き力を判断する材料になる。
また、多くのソーシャルレンディング業者の方々は積極的にブログやセミナーで情報公開・発信をしており、健全にやっていこうという姿勢を感じる。
一方金融商品取引業者の役職員の経歴・バックグラウンドや、貸金業の役職員の経歴・バックグラウンド、管理体制などがあまりわからない事業者については、目利き力を判断できないため、多くの情報を検証する必要があると思う。
-第一種金融商品取引業者と第二種金融商品取引業者で安全性に違いはあるか
第一種金融商品取引業者は、自己資本規制や金融商品取引責任準備金等、潤沢な資産を保有している会社でないとできない。役員は他の会社の役員に就任した場合にも監督行政庁に届出をしなければいけない等、厳しい監督下に置かれている。
一方、第二種金融商品取引業者は第一種金融商品取引業者に比べると、そこまで厳しい監督下にはおかれていない。
どちらが安全性が高いとは一概に言えないが、上記各事業者の特性を踏まえて、各投資家が判断をして欲しい。
-ソーシャルレンディングのスキームについてどう考えるか
アメリカでは、個人間融資が規模を伸ばしている。日本では貸金業法の規制から個人間融資はできないが、貸金業者を介在させる形で様々な特性をもったソーシャルレンディング業者が今後増えていくと思う。
現状は不動産担保型が多いが、金融庁から各金融機関へ不動産投資への融資を制限するようにという通達が出ているので、現状の不動産担保型が市場を拡大することは想像できる。
CAMPFIREがソーシャルレンディング業者として登録手続きを進めているように、今後は事業(民泊関連など)を実施する会社に融資する等のいろいろと新たなサービスがでてくるのではないか。
-ソーシャルレンディング事業者が実施している顧客資産の分別管理の仕方については問題ないか
ソーシャルレンディングでは、投資信託のように信託銀行での分別管理は求められていない。単に営業者が銀行口座で自社の固有財産とファンド財産を分けて管理しているパターンが多い。
これだと事業者が倒産した場合、投資家に資金が返ってこない可能性が高い。
-ソーシャルレンディング事業者が投資詐欺を行うことはあり得るか
お金を集めた貸金業者が実際には貸付を行わなかったということがあれば、投資詐欺の一つになるとは考えられる。
実際に貸付したのかどうかを、第二種金融商品取引業者がきちんとチェックしていれば、そうした問題が起こる可能性は低いと思う。
第二種金融商品取引業者と貸金業者が結託すれば詐欺も不可能ではない。
「適格機関投資家等特例業者」が関与している場合だと、きちんと事業スキームを確認しないと投資詐欺の可能性が高いと考える。これは一人のプロ投資家が出資をしてファンドを管理することで、49名以下の金融資産や投資経験が豊富にある投資家にしか販売できないといった制約はあるが、金融商品取引業者としての登録をする必要なく、届出を行うことで、投資家への金融商品の販売が可能となる。そこで、きちんとしていない事業者でも事業ができる。これまでも、様々な投資詐欺に利用された。
-第一種金融商品取引業者、第二種金融商品取引業者が投資詐欺を行った例はあるか
投資詐欺事件を起こしたMRIインターナショナルは第二種金融商品取引業者だった。
なお、第二種金融商品取引業者の7割は不動産信託受益権を取り扱う事業者である。そのため、ソーシャルレンディングのようなスキームで投資家へ金融商品を販売することはできない。
また、投資家は怪しい商品やファンドを見かけたら、積極的に金融庁に通報したほうがよい。
-借り手の名前が表示できないことについてどう考えるか
借り手に対して貸付を行うのは貸金業者にのみ許されている。借り手の名前が公開されると、投資家が直接貸付を行っていると見做される。
また、借り手の名前が公開されると、投資家が直接債権回収に向かってしまい問題となる可能性があり、それを防止するためにこうした規制がある。
-今後規制が緩和されることはあるか
貸金業に関しては、現在のところ緩和される見込みはあまりない。
貸金業法が厳しくなったのは、闇金などの取り立てが社会問題となったことへの対応なので、行政当局としては緩和しないと思う。
監督官庁の担当者も新しい金融商品については非常によく勉強しており、部署間で情報交換もしている。一定の基準に達しない事業者には、許認可はおりない。
むしろ今後さらに規制が厳しくなる可能性はある。
例えば、ファンドは3社以上の借り手で構成しないとならない、あるいは借入金額の比率をだいたい均等にしないとならない、といった新たな規制が考えられるのではないか。
一方で、緩和された点もある。
昨年の法改正でソーシャルレンディングなどの投資資金のクレジット決済が可能になった。ミュージックセキュリティなどではすでにできるようになっている。
これは、投資家がクレジットカードローンの融資枠を使って投資するイメージである。カードによってローン金利は異なるが、投資利回りよりも低い金利で借りることができれば利用価値はあると思う。
ただ、事業者側の内部事情としてシステム面の管理体制を整える必要があるためコストがかかってしまう。よって、新規事業者では導入は難しいかも知れない。
-東京共同会計事務所ではクラウドファンディング投資家向けセミナーを予定しているとのことだが、どういった内容か
クラウドファンディングの金融商品としての性質・法律上の規制・注意点などについて説明する予定。また、契約書でチェックすべきポイントなども説明したい。匿名組合契約は、解約不可など投資家に不利になっている条件のものも多い。
以上
次回は「2016年ソーシャルレンディング投資実績・一番利回りのよかったサービスは?」の予定です。




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