クラウドリアルティ代表者インタビュー(2)
- 2017/02/15
- 05:00
―不動産取得の資金には、銀行からの借り入れも用いるのか。
銀行からの借り入れでレバレッジをかけて利回りを高めることも予定している。
ある程度実績が積み上がってくるまでは100%投資家の資金を使うが、近い将来やっていきたい。
案件でもデットの部分とエクイティの部分を分割して募集する、といったことも考えている。
―不動産評価はどのように行うのか
不動産鑑定士は社内にはいないが、外部の業者の簡易鑑定を用いることは予定している。
また、クラウドファンディングというパブリックな市場からの資金調達をサポートする立場として、デューデリジェンスだけでなくディスクロージャーも最も重要な要素だと考えている。なので、審査の結果だけでなく月次の収益見通しも細かく開示する。
―利回りは確定したものではなくあくまで期待値とのことだが、ぶれることもあるのか
あくまで期待なので、ぶれることはありえる。エストニア案件のようなデット性の強いものはぶれ幅は相対的に小さいが、エクイティ性の強いもの、例えばリノべる案件などは買主がいつ現れるかにもよるので、上にぶれることもあれば、下にぶれることもある。
すぐに買主が現れれば、利回りはかなり高くなる可能性もある。
予定通り売却できない場合は、利回りが下がったり、元本を毀損することもある。
こういったエクイティ型のものは、最初から契約で期間が決まっている貸付とは違うので、ファンドの償還や分配の時期も確定ではない。
ただ、家賃収入を原資として分配するファンドも予定しており、そちらは定期的に分配できると思う。
また、システムの開発が必要なので時間がかかるが、投資家間でファンドの持分を売買できるようにすることも検討している。
―不動産売却先はどのように探すのか
リノべる案件場合は、彼らの会員に対して売却する想定。
中古マンションの市場は回転が速いので、ファンドがリスクをとって保有することでリノべるは物件を安定的に確保することができ、ファンドの投資家はその対価として利益を得られる。
現在は中古不動産の価格も徐々に上がっている状況。
将来不動産や金融環境が変わってくれば、市場のニーズに合わせて異なる商品を出していく。
―正式版リリースはいつか
まもなくリリースできる予定。2月早々にはできると思う。
―今後はどういった案件を予定しているか
中古物件のリノベーション案件、住居以外にも、オフィスも予定している。
また、太陽光、風力発電などのインフラも予定している。
海外は、欧州、アジア、アメリカ、オーストラリアなども手掛ける予定。
利回りや投資期間については、あまり範囲を決めてはいない。対象やスキームに応じて決まる。5年、10年といった長期のものもありうる。
また、新規に土地を取得して、一から開発する案件も考えている。
地方自治体などと提携して、博物館など公共性の高いものに投資することも検討している。
エクイティ性の資金循環を担うインフラという役割もあるので、幅広く、必要以上に制約はかけずにやっていきたい。
現在は銀行がお金を貸せなくなっているので、様々な事業者の資金ニーズにこたえたい。
―今後の展望は
従来のクラウドファンディングは、事業者側が利回りを決めていたが、投資家が自ら利回りを選んで競争入札できるようにもしたい。直接金融のプラットフォームという観点では、競争入札やブックビルディング方式を用いる方が仕組みとして自然だと思う。
このオンラインでリアルタイムに有価証券の発行条件を決める仕組みについては特許申請もしている。
―募集金額の目標は
今年中に10億円を目指す。ゆくゆくは年間数百億円は募集したい。1件10億円以上の大きな物件も扱っていきたい。
一方で、自分たちですべての物件を運用する必要もないと考えている。ある程度マーケットが大きくなってきたら、J-REITで言うところの資産運用会社の役割は他社に任せ、我々は投資銀行や証券取引所として資金調達や証券流通の部分だけを担当することもありえる。
―決算書を公開したり、外部の監査を受ける予定は
予定はしている。
ベンチャーキャピタルが資本参加しているので、最終的にはIPOを目指している。場合によっては、我々が作っているこのクラウドファンディングベースのキャピタルマーケットでIPOしてもいいのかもしれない。そのためには決算も開示していく必要がある。
―今後広告を出す予定は。
広告を出すこともありえる。
会社の状況を見ながら、マーケティングを考えたい。
SBIのFintechファンドが出資者の一つなので、SBIソーシャルレンディングとのコラボレーションも考えている。
―投資家にサービスをアピールしていただきたい
クラウドリアルティはソーシャルレンディングとは違い、また既存のJ-REITとも違う。
個人の方だと不動産ファンドへの投資はなじみがないと思うが、不動産という目に見える投資対象があり、詳細な開示情報を基に投資判断できる、というアドバンテージがある。
クラウドファンディングの一種として、シェアオフィスなど社会的意義があるものや、投資以外にも楽しめるものも積極的に扱いたい。
実際に物件を訪れたり、ゲストハウスのような案件の場合はそこに泊まってみたり、案件によっては建築設計の段階から関わるなど、投資を通じた新しい不動産との関わり方を提供したい。そうしたサービスはこれまで自分がいたファンドや金融機関ではできなかった。
人と人のつながりはお金だけではない。また人の生活に密接に関わる不動産とのつながりもお金だけではなく、もっと多様な接点と長い時間軸で関わっていくべきものだと思っている。我々はこのサービスを通じて、全世界の数多くの不動産との様々な接点を持てるようにしていくので、興味をもって新しい不動産投資の世界に関わっていってほしい。
以上
次回は「ソーシャルレンディングサービス2016年貸出額ランキング・シェア」の予定です。


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