日本クラウド証券新社長 橋村純氏インタビュー
- 2016/07/30
- 05:00
■インタビュー日時
2016年7月19日
■内容
―橋村氏の経歴についてうかがいたい
金融関係のキャリアのスタートとしてはインダストリアルディシジョンズというみずほグループのコンサルティング会社にコンサルタントとして勤務した。
その会社は、エネルギー業界に特化したコンサルティング会社だった。元興銀の社員が中心に立ち上げた会社で、比較的独立色が強かった。
その後、同社グループのIDIインストラクチャーズというファンド運営会社に転籍し、バンコクでインフラファンドの投資フロントとして勤務していた。
タイ・ラオス・ミャンマー・マレーシアなどの国々をカバーしており、途中からは駐在所長としてそのエリアを担当した。
その後転職をしてアーンスト・アンド・ヤンググループのEYトランザクションアドバイザリーという、投資関係のアドバイスを手掛ける会社に移った。そこで、インフラストラクチャーアドバイザリーという部署の立ち上げに携わった。
当時、空港・有料道路などのインフラの民営化の動きが加速しており、それらに対し民間企業が投資を検討する上での情報整理・判断等を支援する仕事に携わった。
その後、日本クラウド証券の株主からの誘いがあり、移籍した。現在入社して1年ほど。
ちょうど行政処分もあり、その後の立て直しの時期に参画し、当初は運用商品のオペレーションフロー・ルールの整備等に携わった。
途中から全般的なオペレーションの改善等も自分が中心となって実施していた。
以前はオペレーションの面でお客に迷惑をかけることが多かったので、今後よりしっかりと足元固めをしていきたいという会社の方針があり、私が社長に就任した。
私自身は、社内の健全化がミッションだと考えている。
(以前はクラウドバンクの代表も日本クラウド証券の代表も大前が兼任していたが)現在は、親会社であるクラウドバンク株式会社の代表は金田が務め、日本クラウド証券の社長は私が務める体制となっている。
現在私は29歳で、若年ということもあり投資家の中には不安を抱く方もいると思うが、金田は以前よりクラウド証券の取締役を務め、また様々な会社の経営に携わってきた経験豊富な人間なので、経験不足の点は金田がサポートすることでカバーできると考えている。セミナーについては、今後、営業担当取締役の藤田が中心となって行う予定。
―今回の社長交代の経緯は
大前は昨年の行政処分の引責という形で辞任した。
私は、大前のようにコンセプトやビジョンをかかげて周りを巻き込んでいくタイプではなく、業務のオペレーションを進めていくタイプである。
あまり華やかさはないが、地道に業務を改善していきたい。
―現在社員を増やしているとのことだが
積極的に増やしているというよりも、行政処分当時に責任を感じて退職した社員も多く、処分前と比較し、結果的に社員の入れ替えが行われている。
―クラウドバンクについて、今後どのように変えていく予定か
より使いやすく、ストレスを感じないようなサービスにしていく。
すぐに大きく変えることは難しいが、少しずつ変えていきたい。
また、顧客にとって、使えば使うほどメリットがあるような仕組みとしたい。
例えばポイントサービスや、優良会員に対する優遇なども検討している。
私はもともとは投資案件の開拓を手掛けていた。
今後は、官営インフラの民営化に関連する案件など、利回りは比較的低いが、リスクの低いファンドも出していきたい。
現在は、クラウドファンディングは比較的リスクの高い投資とみられているが、リスク・リターンとも比較的低いものも提供していきたい。
高金利を設定する為にリスクが高い案件を扱うのではなく、借入期間が短い等の理由があって銀行からの借入ができないもののリスクの性質は高くない案件等を中心に、担保でリスクを抑えるといった工夫をする。
―グリーンシートについては今後どうするのか
今後もやっていくが、制度がいずれ終わることがわかっているので、縮小していく。
責任をもって最後までやっていく。
現在すでに業務としてはあまり比重は大きくない。
―株式型クラウドファンディングへの参入については
参入予定に関して「する・しない」の意思決定をしているわけではないが、現在の状況を踏まえると、クラウドバンクのサービスを整備していくことを最優先に考えている。
―昨年発表した横浜市との提携については
現状、コンセプトについて議論は進めているが、横浜市だけを対象とするのか、投資家にとってのメリットをどのように打ち出すのか、等検討中である。
―先月発生した返済期間延長の理由は
ファンドの主要な運用先の裏付け資産となっていたのが、成熟産業に属する会社の株式取得・バリューアップ資金であった。
その最終的な返却資金は、株式を売却するという予定だったが、買い手の都合で数日遅れることになった。
審査等を通して、いずれ入金されることはわかっていたので、回収の可能性が高いことを踏まえ、延長というアナウンスを投資家にご連絡した。
―昨年度の決算については
業務停止の影響で、昨年はグループとしては赤字だった。
ただし、キャッシュフローには問題なく、証券会社として必要な資金は確保できている。
今期については、グループとしては通年・単月での黒字化は間違いなく達成していく。
―現在の業界動向についてどう考えているか
新規参入が増え、高い金利のファンドを出すところも増えている。
他社についてあまりとやかく言いたくはないが、競争的な動きが出てきていることは、よいことでもあるが、マーケットをゆがめている部分も少なからずあるように思う。数社の影響で、マーケット全体がひきずられている。
我々は、あまり競合の動向に振り回されることはなく、高金利を追及するよりも、元本保全性の高いものをこれまで通り出していくことが一番だと考えている。
―大前氏はクラウドファンディング協会の代表を務めていたが、今後はどうなるのか
協会の理事会等で決定されることだとは思うが、当社としては金田が引き継いでいく方向で検討している。
―貸倒率や返済予定変更の発生率といったデータをサイト上で公開する予定はあるか
要望があれば検討させていただきたいと思っているが、現状要望としてはそれほど多くはない。
期間延長が最近何件か発生しているが、元本保全を優先して審査しているため、返済のタイミングをぴったり予定通りにするのは難しい面もあるが、極力、延長となることがないよう、今後は改善していきたいと考えている。
なお、投資家より問い合わせフォーム・電話などでいただいた要望はすべて目を通している。
要望を広く募り、改善要望はなるべく前向きに取り込みたいと思っている。
以上
次回は「みんなのクレジット運用状況(2016年5月~7月)」の予定です。




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