「スマートレンド」代表者インタビュー(1)
- 2016/05/25
- 05:00

■インタビュー実施日
2016年5月17日
■インタビュー内容
―柳澤氏は、はじめアメリカの会計事務所に勤務し、その後ゼネラル・エレクトリック社の監査部門や日本インテルで執行役員・CFOを務められたとのこと。
大変素晴らしい経歴だが、なぜ敢えて退職・独立したのか。
私は3年前に退職し、独立・起業した。当時40歳くらいだった。
退職の際にはさまざまな会社からオファーがあったが、違う会社に入って同じような財務・経営戦略などの業務に従事しても、やることが想像できてチャレンジを感じなかった。これまでとは全く違うことをやってみたかった。
自分のこれまで培った知識・スキルとネットワークでもっとダイナミックなことや、自分で何ができるか試してみたかった。
―サービス開始の経緯は
独立して中小企業へのコンサルタントを手掛けた。
その中で、資金需要にこたえることが重要だと強く感じた。
中小企業を支えるような銀行・ノンバンクは少なく、リーマンショック後はさらにその傾向が強まっている。また、金融円滑化法が終わり、多くの会社が倒産すると言われていた。
特に、中小のメーカーで、優れた技術を持っており海外などからの引き合いがあっても、親会社があまりそれを生かし切れていないといったケースが多い。
私は、もともと金融にはそれほど興味はなく、モノづくりに興味があった。
中小企業ファンドのようなものは多いが、資本参加する形態には抵抗感が多いが、融資であれば窓口をもっと広められると感じた。
そうした中、知人を通じてmaneoの瀧本氏と知り合い、ソーシャルレンディング事業を知った。瀧本氏と直接話し、提携してサービス開始することを決め、去年会社を設立した。
スマートレンドでは、これまで銀行やノンバンクで借りられなかった会社にも貸したい。
最初はソーシャルレンディングで、徐々に会社の信用力が上がれば銀行に移ってもらって構わない。
そうした橋渡しをしたい。
―柳澤氏自身は、貸金業・金融業の経験はあるのか
ゼネラル・エレクトリック社にいたときには、財務部門として、リース事業(貸金業)で大型案件組成に携わったことがある。
ただ、事業者金融の貸金業は初めてで、経験はない。
―現在の投資家数は
現在のところ400人くらい。
開始1か月としては、よいペースだと考えている
―現在の社員数は
スマートレンドにかかわる社員メンバーは5人。
その中には以前貸金業にいたメンバーも多い。
―会社の主な出資者は
主な株主は、事業投資をしている関連企業である。
―どのようにして貸金業免許を得たのか
時間はかかったが、とてもスムーズに認可が下りた。10月末月に会社を作り、1月末には許可が得られた。
―第1号案件である家賃保証会社への融資はどういった仕組みか。
融資先は、家賃保証・家賃収納代行をメインでやっている会社。
家賃保証とは、年配者や外国人など、部屋を借りる際に連帯保証者が付けられない人に対して、保証料をとって連帯保証をするというサービス。家賃の収納と大家への支払いの代行も行っている。
ただ、ゴールデンウィークや年末年始などの連休中は、銀行が営業していないため、家賃の収納よりも支払が先行する場合がある。その資金はこれまで会社が立て替えていたが、その資金を融資するという案件だった。
この会社とは紹介で知り合った。
―香港の消費者金融への融資案件はどういった仕組みか。
借り手は香港の企業だが、資本は日本で、社長も日本人。すでに5年ほど営業しており、経営は安定している。
ただ、日本や香港の銀行からはなかなか資金を借りられない。
この企業とも紹介で知り合った。自己資本率が90%と、大変手堅い会社である。
当社は借り手に対して円で貸しており、円で返してもらうため、為替リスクはない。為替ヘッジは借り手の側で行っている。
今回4000万円ほど融資したが、借り手としてはトータル10億くらい借りたいとのことなので、今後も継続していく予定。
ただ、ヨーロッパ系のソーシャルレンディングなどから借りるという話もあるらしい。そちらはより低い金利で貸す可能性があり、そうするとこちらの金利も下げる必要がある。
今回は6~7%で募集したが、満額にはならなかった。今後もこの金利でお金を集められるかが課題となる。
香港には今の時点では本格的なソーシャルレンディングはないと聞いているが、外国のソーシャルレンディングが進出してきている。海外で戦うのは、金利の面での競争が厳しい。
(次回に続く)

