ソーシャルレンディングサービス2015年貸出額ランキング・シェア
- 2016/05/11
- 05:00
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スマートエクイティ「種まく旅人夢のつぎ木匿名組合」
対象の映画は、『種まく旅人~夢のつぎ木~』で、シリーズ3作目だそうです。
(私は1作目・2作目を知りませんでしたが)

映画の製作費を募集するというのは、makuakeなどの購入型クラウドファンディングでは良く見かけますが、スマートエクイティのこの商品は、あくまで「投資」の位置づけで、金銭的なリターンを目的としたものです。
条件は以下の通りです。
・最低出資金額:6万円
・運用期間:60ヶ月
・資金用途:映画製作費及び広告宣伝費
・配当:映画の興行実績に応じて決まる。(マイナスの場合もあり)

興行収入が44百万円を越えれば、とりあえずプラスにはなるようです。
シリーズ1作目の興行収入は124百万円、2作目は80百万円とのことなので、まあ順当に行けばプラスにはなるような気がします。
ただ、映画ファンドは過去にも様々な会社から募集されていますが、実績ではマイナスになった例も多いようです。
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-3- 過去の実績 元本割れした「忍-SHINOBIファンド」の経験に学ぶ 市場規模は500億円超に=しかし、過去のリターンは苦戦気味
あらかじめ利回りが決まっているソーシャルレンディングと比べて、ハイリスクな商品であることは間違いないでしょう。
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御存じの通りソーシャルレンディングサービスの数は昨年から今年にかけて一気に増え、今や15社以上となりました。
あまりに急に増えたので、業界内でどこがどのくらいの大きさなのかが私自身良くわからなくなってきましたので、一度整理してみたいと思います。
サービスの規模の指標としては「年間貸出額」が適切だと思います。
そこで、2015年の各サービスの貸出額で比較してみます。
(売上高でもよいのですが、公開していないサービスが多いので。)
まあ、年間貸出額でmaneoが1位だというのは調べなくてもわかりますが、では2位は?3位は?と聞かれると私にもわかりませんので、一覧にしてみました。
なお、2015年の貸出額の算出にあたっては、「ソーシャルレンディング赤裸々日記」でまとめられている各サービス実績の値を元にさせていただきました。
さて、各サービスの年間貸出額(2015年)ランキングは以下の通りです。

シェアを円グラフで表すとこうなります。

想定通りmaneoがダントツの1位で、年間貸出額は153億円、シェアは50%を上回っています。
国内自動車市場におけるトヨタ以上のシェアです。
(さっき調べたところトヨタの2015年のシェアは45%でした)
そして、2位はSBIソーシャルレンディングで、年間貸出額49.1億円、シェア16.5%でした。
意外にも?不動産担保ローンとオーダーメイドファンドで着実に貸出額を伸ばしています。
SBIは比較的利回りの低いファンドが多く地味な印象ですが、SBIグループの信用力はやはりあなどれません。
ただ、2位といってもmaneoの1/3以下です。
3位はクラウドバンクで、年間貸出額28.9億円、シェア9.7%でした。
2015年には4ヶ月の業務停止期間というハンデがありましたが、それにも関らず見事に3位にランクインしました。
2016年はさらに期待できそうです。
4位はラッキーバンクで、年間貸出額28.3億円、シェア9.5%でした。
クラウドバンクとは僅差でした。
ラッキーバンクは2014年12月にサービス開始なので上位3社に比べると新興勢力ですが、大変健闘したと言えるでしょう。
5位も新興勢力のLCレンディングで年間貸出額26.7億円、シェア9.0%でした。
サービス開始が2015年7月なので、わずか半年間でこれだけの貸出を行ったことになります。
それを考慮すると、2016年はかなりのシェア・ランクアップが予想されます。
6位以下は、ガイアファンディング・クラウドクレジット・オーナーズブック・トラストレンディング・スマートエクイティ・AQUSHと続きます。
AQUSHは2009年スタートの老舗ながら、昨年はほぼ開店休業状態で新規貸出がほとんどありませんでした。
さて、こうして見ると、各サービスは規模で大きく3つに分けられそうです。
①年間貸出額153億円でランキングトップのmaneo
②年間貸出額20億円~50億円の第2グループ
SBIソーシャルレンディング、クラウドバンク、ラッキーバンク、LCレンディング
③年間貸出額5億円以下の第3グループ
ガイアファンディング・クラウドクレジット・オーナーズブック・トラストレンディング・スマートエクイティ・AQUSH
これまで数社の代表者の方にインタビューさせていただきましたが、運営会社の経営が安定するためには、年間20億~30億円ほどの貸出が必要との意見が多かったです。
そうすると、上記第1・第2グループはその水準に達していると考えられますが、第3グループについては、ソーシャルレンディング事業単体では赤字の可能性が高いでしょう。
この規模の差は何によるのでしょうか?
いろいろと個別の要因はあるでしょうが、一番の要因は「ファンドの組成金額の違い」であると思います。
単純に、より多くの借り手を見つけ、より大規模のファンドを組成できたサービスが結果的により多くの貸出を行っていた、ということです。
少なくとも2015年においては、多少条件が悪くても、とにかく規模の大きなファンドをたくさん作って募集すれば、それなりにお金は集まるという状況だったからです。各サービスとも募集された案件はほぼ満額で成立しており、募集金額に対してお金が全然集まらなかった、という例はあまり見受けられなかったと思います。
貸出金額は資金の供給サイド(投資家)よりも需要サイド(借り手)の規模でほぼ決まっていたということです。
(あくまで私の印象なので、もう少し精緻な検証が必要かとは思いますが)
実際に、SBI、ラッキーバンク、LCレンディングなど大規模な不動産ローンをコンスタントに組成していたサービスは上位にランキングしています。
さて、2016年に入ってからもさらに多くのサービスが新規参入していますが、2016年のランキング・シェアはどのように変動するでしょうか。maneoを上回るサービスは現れるのでしょうか。
非常に興味深いです。
次回は、「今からソーシャルレンディングを始めたいけど、どこで始めたらいいの?という方へ」の予定です。



