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「エコノミストと考える、ソーシャルレンディング勉強会」に参加しました(2)

(前回の続きです)

■パネルディスカッション

●崔氏
・最近注目を集めているFintechとソーシャルレンディングの関係についてはどう考えるか。

●杉山社長
・以前より、ソーシャルレンディングは貸金ファンドであると言っている。
 ソーシャルレンディングが発達したのは、技術の進歩よりも、リーマンショックの影響が大きいと考えている。
 日本では、明治時代に銀行の存在感が大きくなり、その銀行を保護するように行政も進歩してきた。
 リーマンショックで、銀行を救済せざるを得なくなった。
 その後、銀行は安全な貸付先にしか貸せなくなり、ハイリスク・ハイリターンの借り手はお金を借りられなくなった。
 そこでソーシャルレンディングが出てきた。
 ただ、技術の進歩により、既存の信用情報機関でカバーできないような借り手に対して、SNSなどの情報をもとに審査ができるようになる可能性はある。

●田中社長
・自動で金利の計算ができる、というのは既存の銀行や証券会社でもやっている。
 昔あった無尽講のような形式が、ITを使ってソーシャルファイナンスになったと考えている。

・現在Fintechで注目されているのは、決済・送金の部分。PAYPALなど。
 それにより、決済者のトラックレコードが作られて、その人のクレジットが可視化される。
 そうした情報は、ソーシャルレンディングでも活用できる可能性はあると思う。
 そういう意味で、いずれは関連が出てくると思う。

●崔氏
・テクノロジーにより信用リスクを簡単に測れるようになると、サービス業者による利回りの差がなくなり、利ザヤがとりにくくなるのでは。

●田中社長
・全般的な傾向として、先進国になるほど利回りが下がっていく。

・金融の流れは歴史的に
 貯蓄>保険>投資>節税
 という順で興味の対象が移っていくと考えている。
 今後、相続税・贈与税の税率が上がっていくため、節税の重要性が高まる。
 将来的にタックスインセンティブ(節税)商品を出したいという思いでラッキーバンクを立ち上げた。
 また、企業に対する節税商品も考えている。


●杉山社長
・短期的には、すぐに業者間の競争が起きるとは考えていない。
 お互い他社をあまりライバルとは思っていない。
 各社でそれぞれ得意分野が異なる。
 しかし、中長期的には、競争が起き、利回りが下がることがあるかもしれない。

・世界全体としては、銀行からお金を借りられない人が50億人いる。
 それらに対してお金がいきわたるには相当時間がかかると思う。
 何十年もかかるのではないか。

●崔氏
・ソーシャルレンディング業者は増えているが、貸付先は多様である。
 これから始める人は、どうやってサービス業者を選んだらよいか。
 安全で誠意のある業者をどうやって見極めたらよいか。

●田中社長
・ITはツールにすぎない。
 直接電話をして疑問点をぶつけてもらうのが一番。
 どういうビジネスモデルで、どうやって稼ぐつもりか、などを聞いてみるとよい。
 納得できたら投資すればよい。

●杉山社長
・今年10~20社が新規参入するといわれている。
 電話したり、ネット上の情報を見て選べばよい。

・クラウドクレジットでは、顧客の声に応えて、担保付や期間の短いものも出している。
 業界団体などを作って、お互いに業務内容をチェックするようにしていく必要があると思う。
 今は、業者同士はほとんど互いに顔見知りだが、今後はそうでなくなっていくと思う。
 弁護士でも金商法に詳しい人は少ない。

●崔氏
・マイナス金利は、ソーシャルレンディングにどのような影響があるか。

●杉山社長
・どちらかというと追い風だと思う。
 中国では、いつ政府に資産を没収されるかわからないので、海外に積極的に投資する。
 銀行預金がマイナスになることは考えにくいが、もしそうなったからといって、あまり大きな変化はないように思う。
 スイスで劇的に資産構成が変わったという話も聞かない。
 マイナス金利以降、顧客からの問い合わせは若干増えている。
 始めようか迷っている人も多い。

●田中社長
・短期的な影響は少ないと思う。
 ソーシャルレンディングについての質問を受けることは増えた。
 悪影響はないので、追い風だと思う。

●崔氏
・金融ビッグバンの際にも、貯蓄から投資へ、と言われたが、実際にはあまり変わらなかった。

●杉山社長
・マイナス金利にせざるを得ないところまで日本経済が来た、という点が重要だと思う。
 ここ数年、株が上がっているときは、「ソーシャルレンディングは貸し倒れのリスクがあるのに利回り10%では低いのでは」と言われることがよくあったが、最近は株があまり上がらなくなってきて、そうした声は聞かなくなった。
 株があまり上がらないようになってくると、ソーシャルレンディングのように堅実な投資が注目を集めるかもしれない。

●崔氏
・投資家は、キャピタルゲインが好きな人と、インカムゲインが好きな人に分かれるように感じる。
 ソーシャルレンディングの投資家はどういう人が多いのか。

●杉山社長
・投資信託や株式の投資家がソーシャルレンディングに来る人も多い。

●田中社長
・自分は1990年生まれで、バブルの時期を知らない。
 学生の時にも株をやっている人は多く、投資は身近だった。
 株式・FXなどもやるが、ポートフォリオの一つとしてソーシャルレンディングをやる、という人が多い。
 銀行に預けるだけが安全ではない、と気づき始めている。

●崔氏
・私は20歳のころに投資を始めた。ライブドアショックのころ。
 我々の世代は、投資を始めるのは早い。
 構造変化は少しずつ始まっていると思う。

●杉山社長
・アメリカには5000ほど銀行があるが、そのうち7~8%ほどはつぶれている。
 日本の銀行は国が守ってくれて安全なのでお金が集まっている。
 しかし、日本の政府の借金は増えつつあるので、銀行が安全とも言えなくなってくる。
 そうすれば、ソーシャルレンディングも選択肢として上がってくると思う。

●崔氏
・メガバンクでも、東京三菱銀行、みずほ銀行はすでに逆ザヤになっており、儲からない。
 海外にお金を貸してなんとか利益を得ている。
 地方銀行は、不動産・住宅ローンに貸付をして利益を得ている。
 複数のアセットクラスに分散することが重要。


■参加者からの質疑応答

<質問>
不動産会社は、なぜ銀行からでなくラッキーバンクから借りるのか。

<回答>(田中社長)
・銀行は、大企業へは貸すが、中小企業への貸付は年々減っている。
 不動産会社は何万社もあるが、上場しているのは110社のみ。
 それ以外の会社は、銀行から借りられず、資金ニーズは強い。
 大手は、お金が集まるので100億円以上の開発もすぐにできる。
 中小は、銀行で10億円のお金を借りるのにも数か月かかる。
 そのため、大手に物件をとられてしまうこともある。
 ソーシャルレンディングは、ファンドが組成されれば、1日で資金が集まる。

・また、すぐに資金が必要なため、ブリッジファイナンスとしてソーシャルレンディングを活用する会社もある。
 とりあえずソーシャルレンディングで資金を集め、そのあと銀行などから融資を受ける、というパターン。

<質問>
新興国の借り手は、なぜ世界銀行からなどではなく、クラウドクレジットから借りるのか。

<回答>(杉山社長)
・IMFや世界銀行は、国単位でサポートするので個別の借り手に融資をすることはあまりない。

<質問>
事業者が倒産した場合、出資したお金はどうなるのか。

<回答>(田中社長)
・借入人に貸付を行った後ラッキーバンクが倒産した場合、管財人が借入人から資金を回収する。
そのあと、出資の割合に応じて投資家に資金が返済される。

<質問>
サービス会社を見極める手段として財務諸表があると思うが、ラッキーバンクは公開していない。
ぜひ公開していただきたい。

<回答>(田中社長)
・ラッキーバンクは現在は赤字。
 ラッキーバンクではファンドの金額に対して約2%のスプレッドを利益として得ている。
 年間の貸出額が45~50億あれば黒字になるようにサービス設計した。
 この金額は、十分達成できる見込み。
 まだサービス開始したばかりで決算が終わっていないため、財務諸表の公開については、できれば年内か、来年度には公開したい。

<質問>
どういう案件に対して投資するのか、基準を教えてほしい。
また、デフォルトが発生したことはあるのか。

<回答>(田中社長)
・ラッキーバンクではデフォルトは起きていない。
 投資先の基準は、関東圏内の物件のみ。
 オフィスであれば、ターミナル駅から徒歩10分以内、といった基準がある。
 住宅であれば、千葉の柏などはニーズが高いので、車で10分以内を目安としている。住宅は値崩れしにくい。 

 収益還元法で物件を評価している。
 投資先企業のバランスシートも見るが、中小なので、あまりもうかっていない企業も多い。
 購入する不動産の目利きを重視している。

<回答>(杉山社長)
・貸付先は小口分散している。1000~2000件くらい。
 1000件を超えると、大数の法則が働く。貸し倒れ率は一定の範囲に収まる。
 デフォルトが想定を上回って、元本割れしたケースはない。
 イタリアで、貸付がスムーズにいかず、利回りが出なかったことはある。

<質問>
クラウドクレジットでは、海外のパートナーをどのように探しているのか

<回答>(杉山社長)
・最初は、顔の広い知人を通じて紹介してもらったりした。
 業界の人が集まるイベントに顔を出したり、普通にネットで情報を集めてコンタクトをとったりし、感触を探る。

<質問>
ソーシャルレンディングは、資金を集めるのは簡単だと思うが、案件を増やすのは難しいように思う。
無理に増やそうとすると、貸付のリスクが高くなるのではないか。
それがボトルネックになるのではないか。

<回答>(田中社長)
・ラッキーバンクの従業員は6名で、全員不動産業界出身。
 現在は、金融機関からの情報提供、仲介会社からの情報をもとに借り手を探している。
 また、最近は何も広告を出さなくても、借入の申し入れがある。
 案件を集めるのには困っていない。
 最近は、シェアオフィスやAirBNBといった新たな不動産の活用法も出てきている。

・貸付の条件として、不動産購入の決済の場に立ち会い、必ず一番抵当をつけさせる。
 不動産しか信用していない。

・海外の不動産に投資をしないか、という話もある。
 1000億円ほどの規模になったら海外進出も考えている。

<回答>(杉山社長)
・ステークホルダーからの評判なども気にしている。

<質問>
資本金はどのように調達したのか。

<回答>(杉山社長)
・クラウドクレジットは、最初は金融ベンチャーから4500万円ほど集めた。
 昨年、伊藤忠などから出資を受けた。

<回答>(田中社長)
・個人の方より出資を受けた。

                                      以上

次回は、「クラウドバンク運用状況(2016年1月~2月)」の予定です。





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(2015/03/10)
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プロフィール

中田健介(けにごろう)

Author:中田健介(けにごろう)
IT系企業に勤務しています。
2010年からソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)での資産運用を開始しました。
自分の運用実績、各社のサービス内容比較、業界の最新トピックなどを毎週2回(水・土)発信しています。

■著書
2015年3月7日にぱる出版より著書「年利7%!今こそ「金利」で資産を殖やしなさい!~日本初!融資型クラウドファンディング投資の解説書」を発売しました。
是非よろしくお願いいたします。

■興味のあるもの
 ・投資(これまでに実施したことがあるのは、投資信託・国債・FX・株式などです。)

■ソーシャルレンディングについて
 maneo・AQUSHとも2010年から始めました。
 ソーシャルレンディングは将来性のあるビジネスモデルです。自分も微力ながらこのブログを通じて知名度の向上に努めたいと思っています。

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