(前回の続きです)
―運営の面ではどのような対応を行ったのかまず、システムフロー・業務フローについて、業務再開前に外部監査を受けました。
改修後のシステムについては、金融機関のシステム監査を手掛ける外部のコンサルタントによる監査を受けました。
業務改善の状況については、財務局での勤務経験のある弁護士チームによる監査を受けました。
今後も継続的に監査を実施する予定です。
また、金融機関のアドバイザーを務めた経験のある公認会計士をコンプライアンス委員会に招聘し、経理・財務・税務・法務の観点から、社内の重要事項の意思決定を毎月モニタリングしています。
さらに、お客様からの要望やクレームなどに迅速に対応し、サービスを向上させるため、社内で組織横断的なお客様サービス向上委員会を立ち上げ、継続的なお客様対応改善の取り組みを行っています。
―その他、サービスレベル向上のために行った対応の内容はまず、ファンドのルールを変更しました。
これは、「利回りが予想利回りに達していない」という投資家からの指摘を踏まえた対応です。
利回りが予想利回りに達していないことの原因の一つが、ファンドの募集と融資のタイミングのずれでした。
ファンド募集が完了しても運用開始時期が遅れることがあったため、実際の利回りが予想利回りに達しないことがありましたが、融資先を固めてからファンドを募集するようにしたことによって、予想利回りの精度は向上しました。
また、ファンド情報の中で、融資先や保全のスキームを可能な範囲で一部公開するようにしました。
ファンド情報ページの「保全の仕組み」の欄に、全ての融資先をA社・B社のようにイニシャルで表示するようにしました。
このイニシャルで、今後の全てのファンドを通じて融資先が識別できるようになっています。
―業務再開まで5か月もかかったが、経営への影響はどの程度か融資型クラウドファンディングは、新規のファンド募集ができなくなっても、すぐに貸出残高が減るわけではないので、収支が極端に悪化したわけではありませんが、業務改善の過程でシステムの改修や体制の整備にコストをかけたことによる影響は少なからずありました。
ただ、広告宣伝を行わなかったことによって、経費が節約できたという面もあります。
―業務停止後に投資家離れはなかったか。再開後に募集したファンドへの投資は順調に進んでおり、幸い心配していたほどの影響はないと感じています。
これも皆さまのおかげであると大変感謝しております。
―2015年8月から9月にかけてファンドの返済期間延長が多く起こったのはなぜかこの件も業務停止に起因するものでした。
クラウドバンクでは、例えば3年の融資期間を希望する融資先に対し、期間1年のファンドを募集し、1年ごとに借り換えを行うことで対応するといったケースがありました。
しかし、昨年業務停止処分を受け、借り換えのタイミングで新たなファンドが募集できなかったため、貸出期間を延長せざるを得なかったものがありました。期間延長したものについては、業務再開後に募集したファンドの資金で返済しました。また、一部は債権を売却することで返済しました。
現在は、この反省を生かし、融資期間がファンドの期間内に収まるように改善いたしました。
―返済期間延長が起こった複数のファンドには、同一の借り手が含まれていたのか複数のファンドから同一の借り手に資金が提供されていました。そのため、同時に複数のファンドで返済期間延長が起こりました。
業務再開後は、先ほど述べたとおり借り手を識別できるように致しました。これにより、投資家が、すでに投資しているファンドと同じ借り手を含むファンドへの投資は避ける、といったこともできるようになりました。
以前は1ファンドで6~7社の借り手を含んでいたこともあったので、重複するケースは多かったと言えます。
―自治体や他の企業との提携を昨年発表したが、その状況はどうか。横浜市との提携は中断していましたが、これから再開する予定で、現在具体的な話を進めています。
さらに、企業再生に強みを持つコンサルティング会社、グローバルタスクフォースとの提携により、成熟産業再生ファンドを募集しています。優れた技術・製品を持つ中堅中小企業の再生支援を対象とするファンドで、クラウドファンディングによって資金面のサポートを行い、経営面のサポートをグローバルタスクフォースが担っています。
また、新たに優良な再生エネルギープロジェクト案件のソーシングやアレンジにおいて、日立コンサルティング社にご協力をいただくことになり、それらの案件に投資するファンドの募集も始めています。
―株式型サービスの開始については。融資型の業務再開に注力していたため、株式型についてはまだ着手できていません。
現在研究中というところです。
―新たな融資型クラウドファンディングサービスが増えているが、クラウドバンクとしてどのように差別化を図っていくか。クラウドファンディングは、すでにサービスの仕組みがある程度確立されてきたため、その中で差別化を図るのが難しくなっていくように思います。
今後、ファンドの独自性、融資対象の安全性、お客様の資金の保全性、ユーザビリティの向上などで差別化を図っていきたいと考えています。
以上
次回は、「ガイアファンディング運用状況(2015年11月~2016年1月)」の予定です。






- 関連記事
-