(J.Lendingインタビュー(1)の続きです)
―どのように融資先の審査をしているのか。融資業務はすでに約3年間やっている。
一番重視するのは、その人が信用できるかどうか。これは過去の実績から判断する。
売上・収支・借入といった数字は、過去3年などの長いスパンで見る。社内には銀行・ノンバンク出身のメンバーもいる。
パチンコホールは、設備・遊技機などに大きなお金を使う。その取引先からも、その会社が信用できるかどうかについて情報を集める。
担保がきちんとしているかどうかは最後に見る。
担保としては、不動産だけにこだわってはいない。換価性の高い資産がある場合(遊技機など)は、それを担保にしており、万一の場合にはそれを中古市場で換価することが出来る。
不動産の審査については、その用途や、店子の企業価値・収益力も考慮する必要がある。
そのため、資金の相談を受けてから実際に融資に至るまで半年以上の時間をかけるケースがある。
―元々貸金業を手掛けていたとのことだが、過去の貸し倒れ率はどの程度か弊社が遭った貸倒れは1件のみで、詐欺に巻き込まれた案件であった。
2014年の開示文書に記載があるが、オムコ社に対する貸出である。オムコ社は、中古遊技機の販売会社で大手だった。オムコ社とその関係会社は注文書等を偽造し、弊社の関連会社を含む複数社と架空取引をしていた。
弊社関連会社はその事実が発覚すると直ちに取引を中止したが、オムコ社はその直後資金繰りに窮し倒産に至った。弊社もオムコ社には2億円貸していたが、それはほとんど回収できなかった。
この事件以降、再発防止のため、体制を整えた。融資案件に対して、必ず外部の弁護士・会計士などで構成した委員会の審議を受けるようにした。
但し、オムコ社以外については、貸倒れはもちろん、延滞もない。
―個人に対しても貸出を行うとのことだが、どのような人を想定しているのか。個人経営のパチンコホールへの融資の可能性もあり得るため、対象として記載している。いわゆる消費者金融をやるわけではない。
―企業向けと個人事業主向けでは審査の観点が異なると思うが、個人向けのノウハウはあるのか。個人事業主の場合、過去の実績を評価しにくいので、少なくとも担保のある人に対して融資する想定。
―第一号案件では2億円を集めたが、どのように投資家を集めたのか現在の投資家数は55人。
第一号案件では、既存の取引先や知人などにお声掛けし、全体の8割程度の投資をして頂いた。その他2割の投資家は、ほとんどソーシャルレンディングに関するブログ経由で来た方だった。
他社は、高利回りや、キャンペーンなどを売りにされているが、われわれはまずは汗をかいて、投資家の皆さんから話を聞くことが大事だと考えている。顧客のニーズを把握し、それにあった商品設計をしていく。
ネットでも、汗をかいてやっていくつもりであり、信頼を重視していく。
商品については自信があり、これほど売りたいと思える商品は初めてである。知人や友人にも勧められる。
キャンペーンなどで投資家を増やす方針はあまり考えていない。
―最低投資額が50万円なのはなぜか。1万、2万といった少額の投資家は、高利回りを求める投資家ではないかと想定している。
現在はレンディング事業を開始したばかりで、案件・投資家数が共に充分ではないので、あえて敷居を高くした。もっと経験を積んで、いろいろな投資家に対してのラインナップを広げてから、最低投資額の制限は見直すかもしれない。
また、作業人員が少ないため、あまり多くの投資家に対応できるかという懸念もある。
―過去の案件の内容が見られないのはなぜか募集終了時点で一覧から消える設定となっていたが、先日同様の指摘があったため、募集終了後も見られるように近日中にメンテをする予定。
他社のようにたくさんは出せないが、今後、1か月に2件くらいのペースで募集していきたい。
―「ハイクラスなソーシャルレンディングサイト」とのキャッチフレーズだが、他社との違いは?ハイクラスというのは、クレジット(=借り手の質)が高いという意味で使っている。
―顧客資産の分別管理はどのように行っているのか預り資産は、みずほ銀行に預託金専用の銀行口座を設けてやっている。ソーシャルレンディングでの融資金の返済金についても、他の事業(自社の資金での貸付を含む)と銀行口座を分けている。
―財務諸表は公開しているが、外部の監査は受けているか上場企業であるため、3か月に一度会計監査を受けている。これは上場企業のメリットといえる。かなり細かい点まで監査される。
―J.Lendingでどの程度の利益を上げようと考えているのか今回の案件では、貸出金利8%のうち2%は利ザヤとして取る形にした。
弊社は上場企業なので、ソーシャルレンディングサービスを手掛けると株主と貸し手の間で利益相反が生じる可能性がある。
しかし、現在はソーシャルレンディングの事業化を優先するため、薄利でサービスを提供しているが、ボリューム(貸出残高)が増えれば収益は充分成り立つと考えている。
お金を儲けることは目的ではなく、あくまで手段であると考えている。損をしなければいいと考えており、まずは場を広げたい。真面目に働いている人に対してのチャンスの場が広がるとよいと思う。まずは信用を得ることを第一に考えている。
自分は生意気なサラリーマンであり、会社を辞めて独立してから非常に苦労した。その時に資金を出してくれた人には本当に感謝している。
また、弊社のメンバーも会社の経営が厳しい時期を経験しているので、お金に対する厳しさは知っている。
―ソーシャルレンディングというサービスについてどう考えているかソーシャルレンディングという選択肢はもっとメジャーになってほしい。
現在、銀行貸し出しのほとんどは、不動産担保付きのものである。しかし、不動産担保付きローンは、銀行でなくてもできる。
銀行は決済機能等、公の器としての役割があるので利ザヤをとっているが、もっと高い利回りを投資家に還元する道があってもよいのではないか。
ネット証券は、低コストを武器に既存の証券会社からシェアを奪っている。それと同じように、もっと銀行からシフトしてソーシャルレンディングも伸びてよいはず。
利回りの60%以上を投資家に還元するような商品の比率が全体の10%くらいは占めるようになってもよいはず。
そのために、会社としては損しなければよいと考えている。
ただ、ある程度貸出残高を増やさないと、運営コストがまかなえず、サービスが維持できない。
また、金融当局からは覆面化・複数化が求められているが、これらは投資判断材料を乏しくさせてしまうため投資家のためにはなっていないと考えている。また弊社としても、借り手の質の高さを充分に伝えられないことが課題だと考えている。
―宣伝や広告を行う予定はあるのかたくさんの人に知ってもらうため、宣伝や広告の検討はしている。
ジャルコ自体の信用も非常に重要と考えている。
宣伝、広告は、効率的にやりたい。非常に経営が厳しかった時期を経験しているため、収益が先に得られないのにコストをかけることには慎重になっている。広告宣伝費についても無闇にはかけたくない。
ネットについては私は初心者なので、どうやって活用していくかは研究中である。
また、投資家説明会も実施する予定。
―自社の資金での融資は今後も行うのか。今後も行う予定。
その場合、弊社の株主との利益相反が生じる可能性はあるが、当面はソーシャルレンディングの事業化を優先する。株主も、長い目で見て利益になると納得はしてくれていると考えている。
弊社の株主は、長期的に保有してくれている人が多い。
―他社の関係者とは面識があるのかManeo社の他・SBIソーシャルレンディング社、トラストレンディング社の社長とは面識がある。
―maneoの検討しているポータルサイトに対して参加する予定はあるかソーシャルレンディングの情報があつまるサイトがあるのであれば、そこには情報を出していきたい。
Fintechという言葉の定義はよくわからないが、金融と技術の融合ということであれば、弊社がまさに目指す方向である。情報を持ついくつかのサイトとの提携は検討している。
Fintechというと、あるかないかわからないニーズを追求する話が多いが、それより、リアルなニーズを追求したい。
―今後の展望はまだ決まっていないが、第2号案件は、1号と近い内容で考えている。
投資家寄りの視点で、コンスタントに出していきたい。
レンディングに出す案件は、特に安全性の高い案件を出していく。
以上






- 関連記事
-