2015年融資型クラウドファンディング5大ニュース
- 2016/01/06
- 05:00
(年末に間に合わず年を越してしまいましたが)
<過去の記事はこちら>
2011年ソーシャルレンディング6大ニュース(1)
2012年ソーシャルレンディング5大ニュース(1)
2013年ソーシャルレンディング5大ニュース(1)
2014年ソーシャルレンディング5大ニュース
私が独断で選び、ランキングした2015年の重大ニュースは以下の5つです。
<5位>クラウドクレジット 欧州向け新商品をリリース(5月)
クラウドクレジットが2015年5月に「欧州3か国消費者ローン・ファンド」など、欧州向け新商品の募集を開始しました。
それまでペルーを対象としたローンファンドを募集していたクラウドクレジットですが、新たに欧州を対象とした商品を出してきました。
日本の融資型クラウドファンディングとして欧州に投資する商品はこれが初めてです。
最も高利回りの「欧州3か国消費者ローン・ファンド(リターン追求型)」は、期待利回り13.7%と、ペルー向けのファンドよりを上回る水準です。
また、クラウドクレジットは、それ以降も為替ヘッジありのファンドや、「北欧個人向けローンファンド」など、矢継ぎ早に新商品をリリースしています。
(関連記事はこちら)
クラウドクレジット新商品「欧州3カ国ローン・ファンド」リリース・利回り13.7%も
クラウドクレジット新オフィスにお邪魔しました
<4位>AQUSH・クラウドバンクで大規模な返済遅延が発生(5月・9月)
AQUSH・クラウドバンクで大規模な返済遅延が発生しました。
AQUSHでは、AQUSHマーケットで2012年11月・2013年1月に組成されたファンドで、2015年5月より返済遅延が発生しており、現在もまだ遅延が続いています。
遅延の発生しているファンドの貸出元本は合計でおそらく数千万円規模に上ると思われます。
クラウドバンクでは、2015年8月・9月が償還期限であった計19ファンド(貸出金額約3.6億円)において返済期間の延長が発生しました。
ただし、こちらはいずれも11月に完済となっており、貸倒れは避けられました。
なぜ同時に多数のファンドで返済期間延長が発生したのかについては不明です。
特にクラウドバンクについては投資家数も多く、動揺が広がりました。
改めて融資型クラウドファンディングのリスクについて意識させられる出来事でした。
(関連記事はこちら)
AQUSH運用状況(2015年7月)・3カ月連続で元本・金利の支払いがほとんどされず
クラウドバンクにおいて9ファンドで運用期間延長が発生
クラウドバンク 運用期間延長ファンドについてすべて完済
<3位>新規サービス業者参入相次ぐ(オーナーズブック・スマートエクイティ・トラストレンディング・J.Lending)
今年は投資型クラウドファンディングへ多くの新規参入がありました。
オーナーズブック・スマートエクイティ・トラストレンディング・J.Lendingの4社です。
(正確にはオーナーズブックは2014年から営業していたのですが)
2014年まではサービス業者の数は6社でしたが、次に述べるLCレンディング・ガイアファンディングも含めて、一気に2倍の12社に増えたことになります。
不動産業から参入したオーナーズブック、貸金業から参入したトラストレンディングなど、他業種からの参入も目立つようになってきました。
こうした流れが業界全体の活性化につながることを期待しています。
(関連記事はこちら)
新たな投資型クラウドファンディングサービス「オーナーズブック」とは
スマートエクイティにインタビューしました
新たなソーシャルレンディングサービス「トラストレンディング」開始。期待利回り14%の案件も。
新たなソーシャルレンディングサービス「J.LENDING」開始。運営会社はJASDAQ上場企業。
<2位>maneo関連の新規プラットフォームLCレンディング・ガイアファンディングがサービス開始(7月・10月)
maneoの瀧本社長は、maneoのシステム・プラットフォームを他社に提供していく方針を表明していましたが、2015年には早速他社と提携し、2つのプラットフォームを立ち上げました。
LCレンディングは、商業不動産を手掛けるロジコムとの提携によるものです。
上場企業の100%子会社であり、安全性を求める投資家に人気です。
ガイアファンディングは、アメリカ不動産開発を手掛ける業者への融資を行うクラウドファンディングです。
従来日本にはなかった分野への投資であり、新たな分野を開拓したものと言えます。
為替リスクなしで期待利回りは9%台と、高利回りを狙う投資家のニーズに応えています。
瀧本社長は、今後もプラットフォームを増やしていく方針を表明しています。
すでにGMOクリックホールディングス株式会社と提携し、ポータルサイトの立ち上げなどを企画しているとのことです。
今後の展開が楽しみです。
(関連記事はこちら)
LCレンディングが口座開設受付を開始しました。初回募集ファンドには利回り7%も。
ガイアファンディング10月下旬にサービス開始 第1弾案件は利回り9%
<1位>日本クラウド証券 行政処分を受けて5ヶ月間業務停止(7月)
日本クラウド証券が、証券取引等監視委員会からの勧告に基づき、関東財務局長より7月に行政処分を受けました。
証券取引等監視委員会が指摘したのは、以下の2点でした。
・分別管理を適切に行っていない状況
・顧客に対し必要な情報を適切に通知していないと認められる状況
これを受けて、関東財務局長より3ヶ月間の新規募集などの業務停止命令、業務改善命令の行政処分を受けました。
3ヶ月の後も、顧客預り金残高の照合の途上であることから、さらに自主的に業務停止し、11月にようやく業務を再開しました。
2013年に日本で唯一の証券会社が手掛けるクラウドファンディングとしてスタートし、横浜市との提携などの話題で注目を集めていた矢先の出来事でした。
新聞などでも取り上げられており、2015年の融資型クラウドファンディング業界で最も大きなニュースであったと言えるでしょう。
行政処分により投資家の信用を損なったことは確かですが、今回指摘されたような運営面での不備が再度起きないよう注意しつつ、新たなサービスを提供することを期待しています。
業務再開後に募集された新ファンドは好調のようです。
(関連記事はこちら)
証券取引等監視委員会が、日本クラウド証券への行政処分を行うよう勧告しました
クラウドバンク業務再開 新規募集案件は目標利回り7.5%
<総括>
2015年は、新規参入業者が相次ぎ、プレイヤーが一気に増えた年でした。
商業不動産や欧州・アメリカなど、投資先も多様になり、選択の幅が広くなったことは喜ぶべきことでしょう。
後から振り返ると、2015年が日本の「融資型クラウドファンディング元年」だったのかもしれません。
一方で、日本クラウド証券の業務停止や、AQUSH・クラウドバンクでの大規模な返済遅延など、融資型クラウドファンディングのリスクが顕在化した年でもあったと言えます。
これらを通じて、融資の内容・条件確認や、分散投資の重要性を改めて認識させられました。
2016年もよろしくお願いいたします。


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