先日お知らせした新しいソーシャルレンディングサービス「トラストレンディング」の代表者の方にインタビューさせていただきました。
■場所:トラストファイナンス オフィス
(東京都港区海岸3丁目9番15号 LOOP-X 7F)


■インタビュー実施日:2015年10月30日
■お話を伺った方々
株式会社トラストファイナンス
・代表取締役 松本 卓也氏
・取締役 佐々木 裕介氏
・内部監査責任者 上提 光太郎氏
■インタビュー内容
―トラストレンディングのサービス開始前はどういった業務を手掛けていたのか。私(松本)はもともとIT系のエンジニアで、フリーで金融機関向けのシステムを作っていた。
2006年に貸金業法が変わって、過払い金請求の問題が出てきた頃、過払い金の算出をするシステムを作り、販売した。
弁護士や司法書士、消費者金融業者などに多く売れた。
ある程度の資金ができたので、今度は信販会社を対象として、割賦の販売システムを販売し現在も保守メンテナンスをしている。
つまり、当社は元々は金融会社ではなく、ソフトウェアの開発会社だった。
そうしているうち、金融業界の人との交流ができ、債権の売買などにも携わるようになった。
自身でも投資事業や債券の売買を手掛けるようになり、平成19年に貸金業登録を行った。
また、信販会社・銀行などから金融事務を受託するようになった。
例えば、コンビニなどでお金を支払う収納代行や、口座引き落としなどの業務を請け負っている。
金融機関が顧客だが、個人情報を扱っていることもあり、具体的な顧客名は言えない。
ソーシャルレンディング事業は新規にスタートしたが、全体の比率からすると5~10%程度で、現在でもシステム開発・保守がメイン。
対象とするシステムは、金融事務やコールセンターなどのバックオフィス業務で、消費者金融などを対象に販売している。
消費者金融は銀行に吸収合併されることも多く、結果として銀行子会社のノンバンクに導入されていることも多い。
―トラストレンディング開始の経緯は元々別会社で、自分や金融機関オーナーの個人資産などのお金を預かって運用を行っていた。
貸付を行ったり、債権を買ったりする資金は、すべて私個人が出しているので、会社自体の借金は全くない。
私は様々な事業をやっているが、貸金業については、自分の資金に対する依存度が高い状況になっている。
そのため、Fintechに参入し、市場からお金を集めて貸金業をはじめたいと思った。
1年前くらいから計画して、ようやくサービス開始した。
また、システム開発にも時間がかかった。
今は自分が100%株式を持っているが、社員や社外に株を分割しはじめた。
これまで、債権買取ファンドは自己資金で手掛けており、何10億の規模であっても私やその金主から資金を集めていた。
今後は、私の個人商店としてではなく、株式会社本来の機能で会社が存続できるよう、貸金業・金融取引2種業務については、市場からのお金を集めていきたい。
私は、会社の代表をいずれ降りる予定である。
株式100%を1人で持っていると、どうしてもワンマンになってしまう。
金融取引2種業務には特に中立性・公平性が求められるため、信頼のおける複数株主構成にしたい。いずれは50%以下に下げるつもり。
―第二種金融商品取引業務の免許はいつ取得したのか。平成23年に、銀行などからの住宅ローンなどの債権買取を手掛けるために取得した。
―会社の主な出資者は資本金は1億円で、すべて私自ら出している。会社の形態としては株式会社である。
―これまで募集された「不動産担保付ローンファンド」「債権担保付ローンファンド」の借り手である事業者はいずれも「事業者I」「事業者Ⅱ」との表記だが、いずれも同じ事業者なのか。全く別の事業者である。
―それぞれどういった企業か「不動産担保付ローンファンド」の借り手企業は、住宅開発会社で、新築マンションなど開発する会社。
個人の相続税対策のため、5億円前後のマンションを建てている。
一方、債券の審査については当社には経験・実績があるので、「債権担保付ローンファンド」など債権を担保に融資する案件は今後増やしていきたい。
これは、何百人という個人を対象とした集合債権(割賦や個人ローンなど)なので安全性は高い。
一般的には、消費者金融の個人ローンの貸倒れ率は3%前後と言われており、十分担保されている。
―借り手企業はどのように募集しているのか弊社はこれまで貸金業を10年近く手掛けてきており、日常的に借り入れの申し込みは来る。
これまで自己資金で貸し付けを行ってきていたが、今後は原則としてトラストレンディングで集めた資金で貸付を行う。
ただし、トラストレンディングでどうしても資金が集まらない場合は自己資金を使うこともある。
行政からの指導でもあるが、安全な融資先に対しては自己資金で貸付を行い、リスクの高い貸付先に対してはトラストレンディングで募集する、といったことはしない。
また、自己資金での貸出をトラストレンディングに貸し替えることのないよう、すべて回収してからレンディングを始めた。
―借り手の審査はどのように行っているのか。まず、事業収支計画、決算書(最低でも2期分)を見て債務超過ではないことを確認する。
また、売上、利益の状況調査を行う。
代表者面談、会社訪問も行い、会社の実態があるのか、社長が今後の展望を持っているかを確認する。
弊社は元々貸金業のプロであり、最終的には、資金を回収できるか回収できないか、の観点を重視する。
つまり、夢物語である事業計画よりも担保を重視しており、原則担保ありの会社にしか融資はしない。
担保で貸付金がすべてカバーできることが必須。
担保としては、30日以内に現金化できる不動産、債権しか認めない。そうした担保であれば業界内で買ってくれる業者はある。
弊社は、回収の力には自信がある。
例えば、銀行などでは昨年の収益を元に審査するが、われわれはそれよりも直近の収益を重視する。
銀行で借りられない借り手は、あらゆる嘘をついて資金調達をすることもある。借り手資料以外からもその部分が見抜けるかどうかが重要。
―「債権担保付ローンファンド」の借り手は「業歴60年以上の老舗企業」とのことだが、それだけの社歴があるならなぜ銀行から借りないのかこの企業はもともと貸金業を行っており、借入の目的は債権の購入である。
こうした投資のための資金は、基本的に銀行は貸さない。
―年利15%で借り入れを行い債権を購入するということは、債権の利回りはさらに高いということか。その通り。
少し信用力の低い発行体の債権であれば、額面の60%~70%で購入できるものがある。
利回りで言えば30%~40%になる。
(次回に続きます)


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