「ファンドを構成する借り手を識別できるか」はクラウドファンディング投資における最重要ポイントの一つ
- 2015/10/24
- 05:00
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クラウドバンクにおいて9ファンドで運用期間延長が発生
また、前回、AQUSHで複数のファンドに共通する借り手が含まれていた事実があった件についても記述しました。
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AQUSH運用状況(2015年8-9月)・5カ月連続で元本・金利の支払いがほとんどされず
いずれのサービスにおいても、複数のファンドに共通する借り手が含まれているにも関わらず、そのことが投資家に知らされていないということは大きな問題です。
(※正確には、クラウドバンクについては裏を取ったわけではないので、違っている可能性もありますが、以下そういう想定で書きます。)
なぜなら、投資家がデフォルトリスク分散のために複数のファンドに資金を分散したとしても、それらのファンドに共通の借り手が含まれるのであれば、実際には全くリスク分散になっていないためです。
その「共通の借り手」が返済遅延・返済不能に陥った場合、それら複数のファンドすべてに影響が及ぶことになります。
上記の記事で書いたクラウドバンク・AQUSHとも正にこうした懸念が顕在化した事態と言えます。
したがって、投資家がファンドを構成する借り手を識別できるような仕組みになっているかどうかは、融資型クラウドファンディングのサービスを評価するうえで非常に重要な要素です。
というか、そうした仕組みは必須であると言ってもよいでしょう。
クラウドバンク・AQUSH以外のサービスでは、投資家がファンドを構成する借り手を識別できるようになっているでしょうか。
個別に見ていきます。
まず、maneoでは、ちゃんとファンドを構成する借り手を識別できるようになっています。

募集中の案件についても明記されていますし、過去に自分が投資した案件についてもわかりやすく表示されているので、新規投資時には、現在投資中の借り手と重複することがないかチェックすることができます。
SBIソーシャルレンディングでは、「証券担保ローンファンド」「不動産担保ローン事業者ファンド」とも、借り手を識別できる情報は全くありません。
借り手が何人(何社)なのかもわかりません。

クラウドクレジットでも、個々の借り手を識別できる情報はありません。
ただ、クラウドクレジットの場合は最終的な借り手は小口債務者で、1つのファンドの借り手は数十人以上に上るそうなので、借り手を識別できるようにするのは困難かもしれません。
例えば他のファンドとの借り手の重複率をパーセンテージで示すといった方法の方が適切かもしれません。
ラッキーバンクは、担保となっている不動産物件を識別できる情報は示されていますが、借り手を識別できる情報はありません。
同じように重要な情報なので、借り手自体も識別できるようにしてほしいと思います。

オーナーズブックは、ファンド形式になってからまだ間もないのですが、きちんと借り手が識別できるようになっています。
また、担保となる不動産物件も識別できるようになっており、大変良いと思います。

スマートエクイティの「中小企業応援ファンド」は、借り手を識別できるようにはなっていません。
このファンドは、中小企業の売掛債権を購入するというものですが、資金が集まってから購入対象を決めるとのことでしたので、事前に対象を明示することは難しいですね。
ファンドの条件に、「既存のファンドでの投資対象企業には投資しません」といった項目を付けてもらえれば安心できるのですが。
LCレンディングでは、借り手がちゃんと識別できるようになっています。
システムをmaneoが提供しているだけあり、同様の明示のされ方です。

結局、投資家がファンドを構成する借り手を識別できるようになっている融資型クラウドファンディングサービスは、現時点ではmaneo・オーナーズブック・LCレンディングの3社のみです。
今後は私も、「借り手を識別できるようになっているかどうか」を重視して投資対象サービスを選択していく予定です。
他社に対しても、借り手を識別できるように情報提供の仕方を改善してほしいと強く願います。
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