投資家から見た融資型クラウドファンディングと社債の違いとは
- 2015/09/19
- 05:00
また、先日サービス開始したスマートエクイティは、融資型クラウドファンディング(貸金)と社債の発行を両方手掛けています。
融資型クラウドファンディングを通じた投資と社債の購入では、投資家にとってどこが違うのでしょうか。
整理してみました。
表:投資家から見た融資型クラウドファンディングと社債の違い
融資型クラウドファンディング | 社債 | |
投資先企業の情報 | 公開できない | 公開される |
投資期間中の解約・売却 | 不可 (⇒投資商品自体の価格変動なし) | 投資期間中も売却可能 (⇒投資商品自体の価格変動あり) (ただし買い手が見つからないと売却できない) |
サービス事業者破綻時の影響 | 投資資金が返ってこないリスクあり | 影響なし |
投資家を募集できる事業者 | 第2種金融商品取引業者 貸金業者 | 第1種金融商品取引業者 |
かかる税金 | 雑所得として総合課税される (本人の所得の総額により税率は変わる) | 一律20%(源泉分離課税) |
まず、融資型クラウドファンディングでは現在のところ、金融当局の指導により投資先企業の社名や担保不動産の所在地などの情報を公開できません。
これは、投資家にとってはリスクを正確に把握できないという意味で非常に困った点です。
一方、社債では、発行する企業の社名などは公開されます。
(というよりも、たぶん公開が必須だと思います。)
また、融資型クラウドファンディングでは、現在のところ投資期間中に解約・売却はできません。
返済されるのを、決められた投資期間の間待つしかありません。
(借り手の都合で早期返済されることはありますが)
一方、社債は売買される市場がありますので、投資期間中に売却することは可能です。
ただ、メガバンクやソフトバンクなどの社債ならいつでも売却できるでしょうが、スマートエクイティが発行しているような中小企業の社債は実際問題として買い手を見つけるのは難しいと思われます。
途中で売却できるということは、すなわち市場で価格が日々変動するということでもあります。
その時々の会社の経営状況や、金融情勢などによって価格が上がったり下がったりするということです。
融資型クラウドファンディングではそもそも売却はできないので、価格が変動することもありません。
また、サービス事業者が破綻した場合の影響にも違いがあります。
融資型クラウドファンディングの事業者(maneoやクラウドバンクなど)が破綻した場合、投資した資金が返ってこないリスクがあります。
しかし、社債を募集する事業者(スマートエクイティなど)は、売買を仲介しているだけで、発行体はあくまで資金需要者である企業なので、仮にスマートエクイティなどが破綻しても投資資金には影響はないはずです。
投資家を募集できる事業者は、融資型クラウドファンディングの場合は、第2種金融商品取引業+貸金業の両方の免許が必要となります。
社債を公募する場合は、第1種金融商品取引業(証券会社)の免許が必要となるようです。
また、利益に対してかかる税金が異なります。
融資型クラウドファンディングの場合は、利益は雑所得として総合課税されます。
本人の給与所得なども含めた所得の総額により税率が変わります。
また、雑所得が20万円以上に上る場合は確定申告が必要となります。
ただ、経費を計上することで税額を減らせるというメリットもあります。
一方、社債の場合は、源泉分離課税され、税率は一律20%となります。
確定申告も原則として必要ありません。
こうして見てみると、全体として、投資家にとっては融資型クラウドファンディングよりも社債方式の方がメリットは多いような気がします。
特に、借り手の情報が明示される点は大きいと言えます。
maneoやクラウドバンクなど他社が社債発行を手掛けていないのは、借り手側あるいはサービス事業者側に何らかのデメリットがあるためなのでしょうか。
今後機会があればぜひ聞いてみたいと思います。
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