先日紹介した新たな融資型クラウドファンディングサービス「オーナーズブック」を手掛けるロードスターキャピタル株式会社の岩野社長にインタビューさせていただきました。
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(前回の記事)新たな投資型クラウドファンディングサービス「オーナーズブック」とはオフィスは、有楽町線銀座一丁目駅の改札を出てすぐのところでした。
銀座松屋のすぐ向かいの通りにあるビルです。

オフィスは6階です。

左から、運用部長 成田洋氏、代表取締役社長 岩野達志氏、営業部兼経営企画部長 久保直之氏です。
4月に引っ越したばかりだそうで、大変きれいなオフィスでした。
<インタビュー内容>-サービス開始の経緯はロードスターキャピタル株式会社は3年前に設立した。
当社は元々不動産会社であるが、中国でSNSサービスを手掛けるRenrenという会社から増資を受けることになったのをきっかけとして、ITを使って何か新たなサービスをできないか考えるようになった。
その中で、本業との相互効果が期待できるクラウドファンディングのアイデアが出てきた。
当初は、通常の融資型クラウドファンディングを手掛けたいと考えた。
借り手や担保となる不動産物件の内容までフル開示したかったが、金融当局から、借り手・物件を特定しないように、また借り手はファンド化するように、との指導があり、調整がつかなかった。
ただ、親子会社間でのローンであれば貸金業法の対象外で、貸金業の免許がなくても手掛けられる。とりあえずその方法で昨年からサービスを開始した。
試験的に行っているので、広告なども出しておらず、投資家もあまり積極的には募集していない。
システムは内製で作った。
-岩野社長の経歴は外資系ファンドなどで一貫して不動産業を手掛けてきた。
不動産鑑定士の資格も持っている。
-会社の出資者は中国でSNSサービスを手掛けるRenrenという会社から50%出資を受けている。
後は会社の経営陣が出資している。
-オーナーズブックの借り手はロードスターキャピタル株式会社1社なのか現在はその形となっている。
そろそろ貸金業の免許を取り、他社にも貸付を行っていきたいと考えている。
ただし、そうすると不動産物件の内容を現在のように開示できなくなってしまうという制約もある。
-金融庁からはどのようにして金融取引事業者第2種の免許を得たのか当初からクラウドファンディングを手掛けようと思って取得したわけではない。
もともと、不動産の受益権を売買するには、第2種の免許が必要となるので取得した。
-現在投資家数は何名程度か登録投資家数は280人ほど。そのうちアクティブな投資家は60~70人ほど。
ほとんど知り合いか、口コミで知った人が多い。
-借り入れた資金で購入した不動産物件は、賃貸するのか、あるいは転売する想定なのか。原則として、購入した物件は賃貸とする想定。
ただし、条件のよい買い手が現れた場合は、売却することもある。
現在のところ対象の不動産はオフィスビルがメイン
-不動産事業自体の利回りはどの程度か不動産事業自体の利回り(賃貸収入)は、年利5%~7%程度。
銀行からの借入金利は1%~2%程度なので、オーナーズブックで募集するメザニンローンの金利が5%でも、平均すれば利益が出る。
-5%~7%の賃料収入では購入資金の回収に時間がかかるが、オーナーズブックの借入期間は数ヶ月程度のものが多い。これで返済できるのか。物件の購入資金の調達先は、銀行借り入れが大部分を占めており、オーナーズブックで募集するメザニンローンは一部のため、返済は可能。
-利回りは一律5%なのか。より高利回りの案件を募集する予定はあるか今後は案件ごとに金利を変えることもしたい。
-投資家に対する利回りはあくまで予定とのことだが、どのようなときに変動するのかタイムラグがあるので、若干下がることもある。
転売した時は、もっと利回りが高くなる可能性もある。最大15%程度。
-借り手が1社ということは、もし1つの案件で返済不能になったらすべての案件が同時に返済不能になるということか。1つの案件で返済不能になった場合は、すべての案件が返済不能になることはあり得る。
ただし、純資産は12憶円と経営的には安定しているので、そうした可能性は低いと考えている。
-顧客資産の分別管理は口座は分けて管理している。
ただ、maneoのように会社自体を分けて管理はしていない。
-オーナーズブックは、投資家向けのSNSを提供しているが、これはどのようなものか。何のために作ったのか。Facebookを意識している。「友達」となった投資家が、どの案件に投資しているか見ることができる。
不動産投資に詳しい投資家の実績を参考にしたりできる。
また、各案件に対してコメントしたり、投資家が相互にメッセージを送ったりできる。
-今後のオーナーズブックの展望は現在は試験的にサービスを提供しているが、将来的には長期のローンも手掛ける予定。
なお、投資家からの手数料で儲けようとはあまり思っていない。
-エクイティ型クラウドファンディングへの参入はREITの個人版のようなものも考えている。
利回りは実績に応じて変動で、流動性のある商品となるだろう。
-今後投資家向けのセミナーなどを開催する予定は貸金業の免許がとれたら、セミナーなどもやっていきたい。
-現在サイト上で財務諸表を公開していないが、今後公開する予定は財務諸表は今後公開していく予定。
昨年の経常利益は2億円程度。
自己資本でやっている部分が多い。
-海外の不動産に投資する予定はアメリカの不動産型のクラウドファンディングとの提携を検討している。
国内よりも利回りを高くできる。10%程度を見込んでいる。
-他の融資型クラウドファンディング業者についてはどう考えるか。不動産担保ローン型の融資型クラウドファンディングでもっと高利回りを提供する業者もあるが、案件の内容を見ると、短期で転売する想定で、また購入資金の大部分をクラウドファンディングで調達しているようだ。
万一売却できなかったらどうなるのかという懸念はある。
(インタビュー実施日:2015年6月1日)


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