年末恒例の「ソーシャルレンディング5大ニュース」を今年も発表します。
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2011年ソーシャルレンディング6大ニュース(1) 2012年ソーシャルレンディング5大ニュース(1) 2013年ソーシャルレンディング5大ニュース(1) 私が独断で選び、ランキングした2014年の重大ニュースは以下の5つです。
<5位>maneo 借り手の覆面化・ファンド化を発表(5月) maneoが監督行政からのリクエストに基づき、 ビジネスモデルを変更すると発表しました。
1.覆面化(借入人の匿名性を確保)
2.複数化(個別案件ではなく、ファンド型へ) 覆面化はすでに実施されています。
複数化は現時点ではまだ実施されていません。2015年の1月~2月頃には複数化する予定とのことです。
借り手の社名を原則公開とし、投資家が直接借り手を指定して投資できるのがmaneoの特徴でしたが、今後はそうしたサービス会社はなくなることになります。投資家としては少しさびしい気がします。
ただ、社名は非公開となりますが、詳細情報はこれまで通り開示されるとのことです。
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maneoビジネスモデルの変更を発表(複数化・覆面化) maneo 2015年1月~2月に借り手を複数化 <4位>クラウドクレジットおよびラッキーバンクが新規参入今年も投資型クラウドファンディングへ新規参入がありました。
クラウドクレジットが7月、ラッキーバンクが12月にサービス開始しました。クラウドクレジットはペルーなど
海外のローンに特化しており、10%以上の高利回りが特長です。
ラッキーバンクは
不動産担保融資に特化したサービスです。
様々な特徴をもった新規サービスが増えてくると、投資家としては選択肢が増えるだけでなく、複数業者に資金を分散させることでリスク分散が図れるという意味でもメリットはあります。
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クラウドクレジット株式会社がサービス開始 クラウドクレジット 最低投資額10万円に 新たな融資型クラウドファンディング「ラッキーバンク」がサービス開始・第1号案件は利回り10% <3位>maneo 返済遅延が発生していたことを公表(10月)maneoが、
過去の完済案件で返済遅延が発生していた事実があると公表し、投資家の間に動揺が広がりました。
遅延が発生していたのは
計7社あて17ファンド、4.4憶円で、いずれも保証会社による保証により返済されています。
そのため、
投資家に実質的な損害はありませんでした。ただ、遅延が発生していた事実は当初公表されておらず、その点は一部の投資家から批判を受けました。
maneoでは今後、再発防止としてコンプライアンス態勢の強化を図るとのことです。
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(速報)maneo過去の完済案件で返済遅延が生じていたことを公表 maneo返済遅延案件の傾向 <2位>クラウドバンクが貸出総額14億円を突破(11月)2013年12月にサービス開始したクラウドバンクが、2014年11月時点で
貸出総額14億円を突破しました。
サービス開始から貸出総額10億円を突破するまでの期間はわずか10ヶ月でした。
このスピードはこれまでの融資型クラウドファンディング各社の中で
最速です。
(ちなみにmaneoのビジネス向けローンは10億円に到達するのに約3年かかっています)
また、下記の各社の貸出総額の比較表をご覧ください。
表:サービス各社貸出総額(2014年11月時点)
見ていただければわかる通り、実は「貸出総額14億円」というのは
AQUSHと同じ金額です。
つまり、クラウドバンクはサービス開始1年にして、サービス開始から5年近く経つAQUSHの貸出総額に追いついてしまったことになります。驚くべきスピードと言えます。
さらに、現時点ではまだ確定ではありませんが、クラウドバンクは2014年単年の貸出総額ではSBIをも上回り、
maneoに次いで2位になる可能性が高いです。
クラウドバンクの大前社長に先日インタビューした際、
「借り手については我々の方から営業して発掘しているケースが多く、先方から相談をいただくことはまだあまりありません。
例えば太陽光事業の企業や、不動産関連の企業など、資金調達のニーズがありそうなところを探してあたっています。」と述べていましたが、その方針が当たったと言えるでしょう。
来年以降、業界最大手のmaneoにどこまで迫ることができるか、引き続き注目したいと思います。
<1位>金商法改正・株式型クラウドファンディング解禁(5月)2014年5月に改正金融商品取引法が成立したことを受け、
2015年4月から株式型クラウドファンディングが解禁される見込みです。株式型クラウドファンディングはイギリスなどではすでに導入されています。
株式型クラウドファンディングとは、これまで一部の例外を除いて売買が禁止されていた
「未公開株」に対して仲介業者を通じて投資するものです。
ただし、上場株式の売買と比較して、以下の制約があります。
・1社当たりの調達額は1億円未満
・投資家の出資額は1人あたり50万円以内 ・売却は可能だが、
売却先は対象企業の関係者から構成される「投資グループ」のメンバーに限る。現時点では株式型クラウドファンディングまだ存在していないので、これがはたして投資として有用なのかどうかは私にはまったく判断がつきません。
2015年4月以降に実際にサービスが開始されたら、さっそく投資してみたいと思います。
ところで、株式型に関連してこんな本が出ていましたので紹介します。
「よくわかる投資型クラウドファンディング」とのタイトルですが、
内容はほぼすべて株式型に関するもので、融資型やファンド型についての記述はほとんどありません。株式型に関する法律・制度・組織に関する説明が多くを占めています。
「よくわかる」とのタイトルですが、はっきりいって
内容はかなり専門的で難しいところが多いです。
また、まだ実際に始っていない制度なのでやむを得ないと思いますが、具体的な記述が少なく、イメージがつかみにくいのです。
例えば株式型クラウドファンディングに関して私が知りたいのは、
「どんな企業に投資できるのか」
「どの程度の利回りが見込めるのか」
「どんなリスクがあるのか」
「どこで投資できるのか」
といったことなのですが、そういった記述は残念ながらあまりありませんでした。
やはり来年解禁されてから実際に投資してみないとわからないのかも知れません。
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金融庁、株式型クラウドファンディング投資解禁へ <総括>2014年は、改正金融商品取引法の成立やクラウドバンクの躍進、クラウドクレジット・ラッキーバンクの参入など話題の多い年でした。
また、新聞やマネー誌などのメディアで融資型クラウドファンディングが取り上げられることも多く、業界全体への注目度が徐々に高まってきたと感じます。
来年は是非サービス各社ともさらに規模の拡大・サービスの向上を目指していただきたいと思います。
2014年もこのブログを愛読いただきありがとうございました。
それでは良いお年をお迎えください。
来年もよろしくお願いいたします。


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