ソーシャルレンディング4社の徹底比較(2014年版)(4)(借り手編)
- 2014/01/25
- 05:00
ソーシャルレンディング3社の徹底比較(2014年版)(2)(ビジネスモデル編)
ソーシャルレンディング3社の徹底比較(2014年版)(3)(貸し手編)
に引き続き、今回もソーシャルレンディング3社の徹底比較(2014年版)を行います。
今回は「借り手から見た各社の比較」です。
お金を借りたい個人・企業にとって、どこで借りるのがよいか、という視点で比較します。
赤の箇所は昨年から変化のあった個所です。
なお、前回も書きましたが、各社の不動産担保ローンについては今回別の表としてまとめたので、以下には含まれていません。
ソーシャルレンディングサービス比較(内容・数値はいずれも2014年1月時点) | ||||||
サービス | maneo(マネオ) | AQUSH(アクシュ) | SBIソーシャルレンディング | クラウドバンク | ||
ビジネス向けローン | AQUSHマーケット | AQUSHグローバルファンド | 証券担保ローンファンド | |||
借り手 | 中小企業 | 個人・中小企業 | アメリカの法人・個人 | SBI証券に株式を預けている個人 | 不動産担保事業者・新興国マイクロファイナンス機関・中小企業など (ファンド種類により異なる) | |
借り手関連 | 金利(借り手側) (年利) | 6%~15%の範囲で選択 (実際は事業者と相談して金利を決定すると思われる) | 6.7%~17.9% | 未公開 | 一律3.5% | ファンドにより異なる。 |
グレードごとの金利状況(2013/4時点) AA 7.0% A 8.3% B 9.6% C 10.3% D 11.2% (融資手数料を含む実質年率) ・金利はAQUSHの審査時に決定される。 | ||||||
借入限度額 | 未公開 | ■個人 10万~300万円 ■法人 審査および担保条件による | 未公開 | 30万円~3000万円 | ファンドにより異なる。 | |
手数料(借り手側) | なし | 借入時に借入金額の4.0%相当額を徴収 | 未公開 | なし | 未公開 | |
使用用途 | FCの開業費用やコーポラティブハウスの建設費用などテーマ性の高い借入目的 | 自由 | 自由 | 自由 | 不動産担保事業・新興国マイクロファイナンス・中小企業ビジネス用途など (ファンドにより異なる) | |
担保・保証人 | 原則として不要 (案件によってはフランチャイザーや法人代表者などが保証人となったり、・不動産などが担保として供される場合もある。) | ■個人 不要 ■法人 原則必要(代表者の連帯保証) | 未公開 | 株式等の有価証券を担保とする。 | 未公開 | |
借入資格 | 国内外の法人 「会社の実在性や事業実態があることは、当然の前提となりますが、 一見のお客さまでは、これを必ずしも担保出来ないことから、 原則的には弊社に関係する方からのご紹介がある方を対象としております。」(maneoサポート回答より) | ■個人 ・本人確認が取れること ・300万円以上(目安)の年収があること ・20歳以上70歳以下 ・借入過多でないこと ・2年以上の信用履歴があること ・(クレジットカードまたはローンの取引実績があること) ・過去5年以内に債務不履行していないこと ■法人 (不明) | 未公開 | SBI証券に株式を預けている個人 | 未公開 | |
借入実施までの期間 | 各ローンによって異なる。 | 申し込みから最短4営業日 | 未公開 | 申込から最短1週間 | 未公開 | |
(出資金の状況によりもっとかかる可能性あり) | ||||||
審査 | ・融資対象先の業種や財務内容の確認 ・会社訪問と社長面談 ・会社の現場確認 ・担保設定や売り上げの入金口座を抑えることで返済を確実にするための工夫 ・最終的には役員会で融資の可否を決定 (マンガでわかるmaneoより) | ■個人 ・個人信用情報機関(JICC、CIC)の情報をもとに信用調査 ・情報を精緻に分析するため、信用スコアリングモデルの世界最大手FICO(ファイコ)社のテクノロジーを採用して個人の信用リスク審査・分析を実施 ・勤務先や家族構成などの属性情報も考慮して総合的に分析 ・使用用途は審査対象外 ■法人 ・法人の事業内容や財務情報と担保評価 ・FICOスコア(連帯保証人) | 未公開 | SBI証券へ保有している担保有価証券の時価総額の算出に加え、貸金業法に則った営業者独自の審査基準に基づく審査を実施 | 未公開 | |
借入審査の通過率 | 未公開 | 16.9% (2011年時点) | 未公開 | 約35% | 未公開 | |
借入期間 | 2か月~36か月 | 一律36ヶ月 | 一律36ヶ月 | 約1年 | ファンドにより異なる。 | |
返済方式 | 毎月返済 | 毎月返済 (元利均等返済) | 毎月返済 (元利均等返済) | 毎月返済 (最終返済日に元金一括返済) | ファンドにより異なる。 | |
( ・元利均等返済 ・元金一括返済 ・一定期間の元金返済据え置き期間がある場合 などがある。) | ||||||
遅延損害金 | 年率14.5% | 年率14% | 未公開 | 年率14% | 未公開 | |
期限前返済 | 可能・手数料なし | 可能・手数料なし | 未公開 | 可能・手数料なし | 未公開 |
<借り手について>
maneoは法人(中小企業)向けの貸出のみ手掛けています。
個人向け貸し出しは現在行っていません。
AQUSHマーケットは個人・法人どちらでも借りることができます。
AQUSHグローバルファンドは、アメリカの法人・個人が借り手となり、米レンディングクラブを通じて貸出を行います。
SBIは、SBI証券に株式を預けている個人のみが対象となります。
クラウドバンクの借り手は、不動産担保事業者・新興国マイクロファイナンス機関・中小企業など様々です。
ファンドの種類により異なります。
個人の借り手であればAQUSHマーケットかSBIで借りる必要があります。ただしSBIは証券担保が必要です。
法人であればmaneo・AQUSHマーケット・クラウドバンクのいずれかを選択することになります。
<金利(借り手側)について>
借り手にとっての金利は、maneoでは6%~15%の範囲です。
借入の条件や信用状況などにより金利は変わります。
「借り手にとっての金利」と「貸し手にとっての金利」は異なり、その差がmaneoの収益(利ざや)となります。
AQUSHマーケットの借り手にとっての金利は6.7%~17.9%の範囲です。
2013年4月時点の実績は、もっとも信用の高いグレードAAで7.0%・低いDで11.2%でした。
AQUSHグローバルファンドの借り手にとっての金利は未公開のため不明ですが、レンディングクラブの実績を見ると、6%~10%程度のようです。
SBIの借り手にとっての金利は一律3.5%です。証券担保があるため、比較的低い金利となっています。
ちなみに、大和証券も証券担保ローンを手掛けていますが、その金利もほぼ同じ3.3%程度です。
クラウドバンクについては未公開のため、不明です。
個人で証券担保があればSBIで借りるのが最も金利が安くできます。なければAQUSHマーケットで借りることになります。
法人であれば、maneo・AQUSH・クラウドバンクのいずれかで借りることになりますが、どこが金利が最も安くなるかは一概には言えません。実際に審査を申し込んでみないとわからないでしょう。
<借入限度額について>
maneoの借入限度額は未公開です。
ただ、過去には1件で1億円程度の借入を行った例もあります。
AQUSHマーケットの借入限度額は、個人向けは10万円~300万円・法人向けは未公開です。
SBIは、30万円~3000万円と個人向けとしては大きいです。
クラウドバンクについては未公開ですが、過去には1件で5000万円の借入を行った例があります。
個人で300万円以上のお金が必要であればSBIで借りることになります。
<手数料(借り手側)について>
maneo・SBIでは借り手の手数料はありません。
AQUSHマーケットでは、借入時に借入金額の4%相当額を手数料として徴収しています。
(ただし、表内および上記のAQUSHの金利はすでにこの手数料を含んだ実質年率で記載しています)
AQUSHグローバルファンでの手数料については未公開です。
クラウドバンクについては未公開です。
<資金用途について>
maneoは、FCの開業費用やコーポラティブハウスの建設費用などテーマ性の高い借入目的に限定されています。
単なる会社の運転資金や、他のローンの返済資金などの目的では借入はできないようです。
AQUSH・SBIでは特に資金用途の制限はありません。
クラウドバンクの資金用途については、不動産担保事業・新興国マイクロファイナンス・中小企業ビジネス用途など様々です。
(ファンドにより異なる)
<担保・保証人について>
maneoでは原則として担保・保証人は不要ですが、借入条件によっては求められることもあります。
AQUSHマーケットは、個人向けでは担保・保証人は不要ですが、法人向けでは原則として代表者の連帯保証が必要となります。
AQUSHグローバルファンドについては未公開のため不明です。
SBIでは、株式などの有価証券を担保とする必要があります。
クラウドバンクについては未公開のため不明です。
<借入資格について>
maneoでは、原則として関係者からの紹介のある会社のみが対象となっています。
一見の会社では借入はできないようです。
AQUSHマーケットでは、個人向けは一般的な消費者金融などと同様、年収・年齢・信用情報などの条件があります。
法人向けについては不明です。
AQUSHグローバルファンドについては未公開です。
SBIについては、SBI証券に株式を預けている個人のみが対象となります。
クラウドバンクについては未公開です。
<借り入れ実施までの期間>
申し込んでから借入実施までの期間も借入先を選択するうえで重要な要素となります。
maneoでは、審査期間が長く、場合によっては数カ月に及ぶこともあります。
急いで資金が必要な場合には向かないでしょう。
AQUSHマーケットでは、申込から最短4営業日で借入が実施されます。
急にお金が必要になった場合にも対応できるでしょう。
AQUSHグローバルファンドについては未公開です。
SBIでは、申込から最短1週間で借入が実施されます。
クラウドバンクについては未公開です。
<審査について>
各社とも当然ですがしっかりと審査を行っています。
maneoでは、融資先の企業について、銀行などと同じように詳しく調査します。
・融資対象先の業種や財務内容の確認
・会社訪問と社長面談
・会社の現場確認
・担保設定や売り上げの入金口座を抑えることで返済を確実にするための工夫
・最終的には役員会で融資の可否を決定
というプロセスを経て融資可否を決定します。
審査に数か月程度かかることもあります。
社長の瀧本氏によると「審査は普通の地銀よりも厳しい」そうです。
AQUSHマーケットについては、個人と法人とで審査の仕方は異なります。
個人については、
・個人信用情報機関(JICC、CIC)の情報をもとに信用調査
・情報を精緻に分析するため、信用スコアリングモデルの世界最大手FICO(ファイコ)社のテクノロジーを採用して個人の信用リスク審査・分析を実施
・勤務先や家族構成などの属性情報も考慮して総合的に分析
・使用用途は審査対象外
法人については、法人の事業内容や財務情報と担保評価およびFICOスコア(連帯保証人)を元に審査します。
借入審査の通過率は16.9%(2011年時点)と、かなり厳しいようです。
AQUSHグローバルファンドについては未公開です。
SBIについては、SBI証券へ保有している担保有価証券の時価総額の算出に加え、貸金業法に則った営業者独自の審査基準に基づく審査を実施しています。
借入審査の通過率は35%です。
クラウドバンクについては未公開です。
<借入期間について>
maneoは案件により異なります。最短2カ月~最長36カ月です。
AQUSHマーケット・AQUSHグローバルファンドは一律36か月です。
SBIは約1年です。
クラウドバンクは案件により異なります。
<返済方式について>
maneoは毎月返済です。
ただし、返済方式としては
・元利均等返済
・元金一括返済
・一定期間の元金返済据え置き期間がある場合
などがあり、案件により異なります。
AQUSHマーケット・AQUSHグローバルファンドは毎月返済(元利均等返済)です。
SBIは毎月返済(最終返済日に元金一括返済)です。
クラウドバンクは案件により異なります。
<期限前返済について>
maneo、SBIは期限前返済が可能です。手数料もありません。
AQUSHマーケットも期限前返済が可能です。手数料もありません。
AQUSHグローバルファンドについては未公開です。
クラウドバンクについては未公開です。
