ソーシャルレンディング4社の徹底比較(2014年版)(2)(ビジネスモデル編)
- 2014/01/15
- 05:00
ソーシャルレンディング4社の徹底比較(2014年版)まずはビジネスモデルから比較してみます。
赤の箇所は昨年から変化のあった個所です。
各社がどのように利益を上げているのかを理解することはサービスを選択するうえで重要です。
前回の記事はこちらです。
↓
ソーシャルレンディング4社の徹底比較(2014年版)(1)
なお、前回も書きましたが、各社の不動産担保ローンについては今回別の表としてまとめたので、以下には含まれていません。
ソーシャルレンディングサービス比較(ビジネスモデル編) (内容・数値はいずれも2014年1月時点) | ||||||
サービス | maneo(マネオ) | AQUSH(アクシュ) | SBIソーシャルレンディング | クラウドバンク | ||
ビジネス向けローン | AQUSHマーケット | AQUSHグローバルファンド | 証券担保ローンファンド | |||
特徴 | ・貸し手は、借入目的・事業内容などの情報を元に借り手を直接選ぶことができる。 ・貸し手は借り手に対して事業内容・借入目的などを直接質問できる。 ・常に案件が募集されているとは限らない。 ・1人の借り手に対して貸し手が複数 ・借り手から優待が受けられるローンもある。 | ・借り手を審査し、信用リスクを客観的に格付評価した「AQUSHグレード」(5段階)を提示 ・投資家は借り手を直接指定できず、「AQUSHグレード」と金利を指定して投資する。 ・複数の借り手に対して貸し手も複数。 | ・世界最大のソーシャルレンディングサービスである米LendingClubへ投資できる。 ・借り手の規模はほぼ無尽蔵であり、1か月以内にほぼ確実に貸し出すことができる。 ・海外投資であるが、為替ヘッジされているため為替リスクはなし。 | ・株式担保付きで安全性が高い。 ・複数の借り手に対して貸し手も複数。 ・投資家は借り手を直接指定できない。 | ・証券会社が運営するソーシャルレンディングサービス ・複数の借り手に対して貸し手も複数。 | |
ビジネスモデル | タイプ | オーダーメイド型 ビジネス向け | ファンド型 個人向け・ビジネス向け | ファンド型 個人向け・ビジネス向け | ファンド型 個人向け | ファンド型 |
借り手 | 中小企業 | 個人・中小企業 | アメリカの法人・個人 | SBI証券に株式を預けている個人 | 不動産担保事業者・新興国マイクロファイナンス機関・中小企業など (ファンド種類により異なる) | |
金利決定の仕組み | ローン募集時に借り手が決定 | 金利は4%~15%の範囲で貸し手が選択できるが、低い金利を設定した貸し手から優先的に貸出が実行される。 (あまり高い金利を設定すると貸出が実行されないこともある。) | ・貸し手にとっての金利は一律5.0% (手数料引き後) | ・貸し手にとっての金利は一律2.0% (手数料引き後) | ファンド種類により異なる | |
事業者の収益源 | ・借り手金利と貸し手金利の差(=利ざや)が収益源。 ・利ざやは5%程度 (ローンにより異なる) | ・ローン成立時に、借り手から貸出金額の4%に相当する手数料を徴収 ・貸し手から毎月貸出残高に応じた手数料を徴収(年利1.5%相当額) | ・貸し手から毎月貸出残高に応じた手数料を徴収(年利1.5%相当額) | ・貸し手から毎月貸付金残高に応じた手数料を徴収(年利1.5%相当額) | ・貸し手から毎月貸付金残高に応じた手数料を徴収(年利1.5%相当額) |
<特徴について>
2013年に新たに登場した「AQUSHグローバルファンド」は、世界最大のソーシャルレンディングサービスである米LendingClubへ投資できるという画期的なサービスです。
借り手の規模はほぼ無尽蔵であり、1か月以内にほぼ確実に貸し出すことができるというメリットがあります。
また、このサービスは海外投資ですが、為替ヘッジされているため為替リスクはありません。
また、同じく新サービスである「クラウドバンク」は、日本唯一の証券会社が運営するソーシャルレンディングです。
投資先は不動産担保事業者・新興国マイクロファイナンス機関・中小企業など多岐にわたっており、今後が楽しみです。
<タイプについて>
ソーシャルレンディングのビジネスモデルは、大きく「オーダーメイド型」と「ファンド型」の2つに分けられます。
オーダーメイド型は、借り手が1人(あるいは1社)で借入目的・事業内容などが公開されており、貸し手はどの借り手に貸すかを直接選ぶことができるタイプのサービスです。
ファンド型は複数の借り手が1つのファンドとしてまとめられており、貸し手はそのファンドに対して貸し出すことになります。直接特定の借り手に貸し出すことはできませんが、貸し倒れのリスクを分散させることができます。
現在オーダーメイド型はmaneoのみで、他はすべてファンド型です。
借入目的・事業内容などの情報を元に借り手を直接選ぶことができるのはmaneoだけです。
(ただしSBIソーシャルレンディングは不定期でオーダーメイド型の案件を募集することがあります。)
<借り手について>
maneoとクラウドバンクはビジネス向けで、SBIは個人向け(ただし株式担保のある人のみ)です。
AQUSHはビジネス・個人向け両方手掛けています。
<金利決定の仕組みについて>
ほとんどのサービスでは金利は事業者または借り手が事前に決定する仕組みになっています。
ただし唯一「AQUSHマーケット」だけは借り手が金利を4%~15%の範囲で選択できます。
ただし、低い金利を設定した貸し手から優先的に貸出が実行されるので、あまり高い金利を設定すると貸出が実行されないこともあります。
実質的には資金の需給バランスで自然に決定されるといえるでしょう。
<事業者の収益源について>
ソーシャルレンディングサービスの収益源としては、以下の3つがあります。
(1)借り手から手数料を取る
(2)貸し手から手数料を取る
(3)貸し手と借り手の金利差(利ざや)
maneoは、手数料は徴収しておらず、専ら(3)の利ざやを収益源としています。
AQUSHマーケットは、(1)借り手からの手数料と(2)貸し手からの手数料で儲けています。
AQUSHグローバルファンドは、(2)貸し手から手数料を取っています。
SBI証券担保ローンファンド・クラウドバンクも同様で、(2)貸し手からの手数料をとっています。
こう書くと、貸し手にとっては、貸し手からの手数料徴収がないmaneoが有利なように思えますが、実はあまりこの違いには意味はありません。
「事業者が1.5%の利ざやを取る」というのと「事業者が貸し手から1.5%の手数料を徴収する」というのは実質的には全く同じことだからです。
料率が明示的に示されているかどうか、という違いだけです。
次回は「貸し手関連」について比較します。
