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ソーシャルレンディングが投資詐欺である可能性はないのか(AQUSH編)(3)

前回に引き続き、AQUSHが投資詐欺である可能性はないのかについて考えます。

(前回の記事)
ソーシャルレンディングが投資詐欺である可能性はないのか(AQUSH編)(1)
ソーシャルレンディングが投資詐欺である可能性はないのか(AQUSH編)(2)

<ポイント3>聞きなれないもの、理解できないものに投資をしている

また、
投資詐欺の被害を防ぐ。投資詐欺を見分ける3つのポイント
から引用します。

<以下引用>
その投資話の説明を聞いて意味が理解できましたか?もしも、わからないというのであれば投資は避けましょう。投資詐欺に多い事案は「よくわからないものに投資をする」か「スキームがよくわからない投資」です。
<引用終わり>


AQUSHのスキームはわかりやすいと言えるのでしょうか。
AQUSHは現在以下の4つのサービスを手掛けています。
 (1)保証ローンファンド
 (2)グローバルファンド
 (3)ecoエネルギーファンド
 (4)AQUSHマーケット


いずれも、「インターネットで集めたお金を個人・企業に貸して金利を得る」というものですが、
それぞれサービスの仕組みが異なり、わかりやすさも若干異なります。
個別に見ていきます。

(1)保証ローンファンド
不動産担保ローンというサービスはAQUSH以前からあるもので、イメージ的にもわかりやすいと言えます。
ただ、AQUSHの保証ローンファンドでは、最終的な借り手が誰か、担保となる不動産が具体的にどこにあり、評価額はいくらなのかは示されません。
その部分については上場企業のアサックスが保証しているということなのでしょうが、そうした情報も公開されると、貸し手としてはより安心して投資できます。

(2)グローバルファンド
グローバルファンドは、最終的な借り手に直接貸すわけではなく、excoHKやLendingClubを通じての投資となります。
また、海外投資なので為替ヘッジも行っており、さらにコストやリスクが見えにくくなっています。
そのため、4つのサービス中でも特に複雑でわかりにくいスキームです。

(3)ecoエネルギーファンド
ecoエネルギーファンドは、借り手の企業名や発電施設の所在地など具体的な情報が公開されており、透明性が高く、比較的わかりやすいサービスと言えます。

(4)AQUSHマーケット
「インターネットで集めたお金を個人・企業に貸して金利を得る」最もシンプルなサービス形態です。
ただ、以下の3点でわかりにくさ・不透明さが残ります。

・最終的な借り手が具体的に示されていない。
 個人が特定できるような情報である氏名や住所などは不要ですが、年収や既存のローン残高、返済状況などは公開されるとより安心できます。
 また、企業の場合は企業名・財務諸表など含めて公開してほしいと思います。

・グレードの基準が示されていない。
 借り手にはAA~Dまでのグレードが与えられますが、その基準は明らかにされていません。

・貸出比率決定のアルゴリズムが公開されていない
 ヒートマップ上でグレード・金利を指定すると、出資金に対する貸出の比率(金額)が決定されるという仕組みはややわかりにくいと思われます。
 具体的なアルゴリズムが公開されるとより安心できます。


結論としては、
サービスによりスキームのわかりやすさ・透明性は異なる。
保証ローンファンド・ecoエネルギーファンドは比較的わかりやすく、透明性も高いが、グローバルファンド・AQUSHマーケットはややわかりにくく、不透明な部分もある。

と言えます。


以上、3回にわたって「AQUSHが投資詐欺である可能性はないのか」について検証してきました。

ポイント1・ポイント2についての結論は以下の通りでした。
<ポイント1> リスクがあいまい。またはリターンに対して低すぎる
 →AQUSHのリスク説明はやや不足している
<ポイント2>業者の規模が小さい、または所在が不透明な所は信用しない
 →若干不安が残ると言わざるを得ない

したがって、今回のポイント3と合わせて考えると、
「AQUSHが投資詐欺である可能性は非常に低いが、現時点ではまったくないとは言えない」
と結論づけることができます。

今後とも、AQUSHを過度に信じたり、理不尽に疑ったりすることなく、新たな情報があれば検証していきたいと思います。

なお、この記事はあくまで個人の見解です。投資は各自の責任でお願いします。
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コメント

これから、じゃないですかね。

いつもブログ拝見し、勉強させて頂いております。

金融庁も投資型クラウドファンディングの仕組みを整えようとしてますから、リスク説明の内容ルールなどこれからでしょうか・・・

http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/risk_money/siryou/20131129/03.pdf

これから、じゃないですかね。

いつもブログ拝見し、勉強させて頂いております。

金融庁も投資型クラウドファンディングの仕組みを整えようとしてますから、リスク説明の内容ルールなどこれからでしょうか・・・

http://mcaf.ee/ch1r5

Re: これから、じゃないですかね。

ブログ読者さん
こんにちは。

けにごろうです。

コメントいただきありがとうございました。

> いつもブログ拝見し、勉強させて頂いております。

ありがとうございます。
これまで特に興味を持っていただいた記事はどの記事でしょうか。
今後の参考のために是非教えていただければと思います。

> 金融庁も投資型クラウドファンディングの仕組みを整えようとしてますから、リスク説明の内容ルールなどこれからでしょうか・・・

そうですね。
説明を読んでもわからないところは個別に問い合わせればよいので、あまり気にはしていません。

>
> http://mcaf.ee/ch1r5

リンク先の資料拝見しました。
金融庁でも本腰を入れて投資型を普及させていこうということのようですね。
実際にはまだクラウド証券がサービス開始したばかりだというのに・・・。

規制緩和を軸として普及を図ろうという方針のようなので、良いと思います。
補助金や優遇税制などで無理やり普及させてもあまり意味がないように思います。

今後ともよろしくお願いいたします。

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中田健介(けにごろう)

Author:中田健介(けにごろう)
IT系企業に勤務しています。
2010年からソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)での資産運用を開始しました。
自分の運用実績、各社のサービス内容比較、業界の最新トピックなどを毎週2回(水・土)発信しています。

■著書
2015年3月7日にぱる出版より著書「年利7%!今こそ「金利」で資産を殖やしなさい!~日本初!融資型クラウドファンディング投資の解説書」を発売しました。
是非よろしくお願いいたします。

■興味のあるもの
 ・投資(これまでに実施したことがあるのは、投資信託・国債・FX・株式などです。)

■ソーシャルレンディングについて
 maneo・AQUSHとも2010年から始めました。
 ソーシャルレンディングは将来性のあるビジネスモデルです。自分も微力ながらこのブログを通じて知名度の向上に努めたいと思っています。

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