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AQUSHグローバルファンドのビジネスモデル

AQUSHグローバルファンドは、海外のソーシャルレンディングに投資しているため、通常のファンドよりも若干複雑なビジネスモデルとなっています。

AQUSHグローバルファンドの金利は6.5%ですが、この金利水準は妥当なのか・また各段階でどの程度手数料が発生しているのかを検証してみたいと思います。

まず、AQUSHグローバルファンドの資金の流れは以下の通りです。
(AQUSHサイトより引用)
globalSpec.jpg

この図に、現在わかっている情報および推測に基づく値を記入してみます。
(赤いフキダシは発生するコスト・青いフキダシは得られる利回り)

AQUSHグローバルファンドフロー

この図の①~④の説明は以下の通りです。

①まず、このフローからすると、投資する際には円を米ドルに両替し、金利および返済元本を受け取る際には逆に米ドルを円にする必要があります。
それぞれ両替手数料がかかると思われます。
料率は一般的に片道1%・往復2%程度でしょうか。


②また、為替ヘッジを行っているので、そのコストがかかります。
一般的には、為替ヘッジにかかるコストは円とヘッジ対象通貨の短期金利差になるようです。
2013年7月現在、短期金利差は以下の通りです。
 ・日本円LIBOR1カ月物金利0.12%
 ・米ドルLIBOR1カ月物金利0.19%
  →金利差0.07%
アメリカも低金利のため、現在は米ドルとの為替ヘッジにはほとんどコストはかからないようです。
まあ0.1%程度と考えておけばよいでしょう。

③ ①②から逆算すると、
6.5%の利回りを確保するには、
6.5% + 両替手数料2% + 為替ヘッジコスト0.1%
⇒ 8.6%
と、少なくともLendingClubで8.6%以上の利回りを得る必要がありそうです。

LendingClubのグレードごとの貸出実績は以下の表の通りです。
一番右の項目Net Annualized Returnが実質リターンを表しています。
例えばグレードA~Cに分散投資することで、無理なく8.6%を得ることはできそうです。
LendingClub実績
そう考えると、投資家へのリターン6.5%という金利は無理のない水準であり、妥当であると言えそうです。


④もしLendingClubから得られた金利が、投資家に支払うべき元利金を上回ったり下回ったりした場合はどうなるのでしょうか。

AQUSH説明には、
「ExCo HK社の受領する債券、株式等の配当金額がExCo社へ返済する元利金を上回った場合に、ExCo HK社は、超過額の50%(予定)の金銭を、ExCo社に対する借入残元本に対して上限1.2%に満つるまで積み立てることとし、当該金銭はExCo社への返済元利金が不足した場合に使用されます。」
とあります。

ややわかりにくいですが、こういうことでしょう。
 ■LendingClubから得られた金利 > 投資家への元利金 (余剰金が発生した)の場合
  ・余剰金の50%はプールしておく。
  ・残りの50%はEXCO HK社の収益となる。(とは書いていませんが、そういうことだと思います。)
 ■LendingClubから得られた金利 < 投資家への元利金 (元利金不足)の場合
  ・プールしておいた余剰金で補填する。
  ・補填しきれなかった場合は、投資家に損失が発生する。(とは書いていませんが、そういうことだと思います。)

 このプール資金がうまく機能すれば、仮にデフォルトの発生などにより元利金が一時的に減っても、投資家への損失は最低限に抑えられそうです。
 

全体として、シンプルで無理のないビジネスモデルであると言えそうです。

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中田健介(けにごろう)

Author:中田健介(けにごろう)
IT系企業に勤務しています。
2010年からソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)での資産運用を開始しました。
自分の運用実績、各社のサービス内容比較、業界の最新トピックなどを毎週2回(水・土)発信しています。

■著書
2015年3月7日にぱる出版より著書「年利7%!今こそ「金利」で資産を殖やしなさい!~日本初!融資型クラウドファンディング投資の解説書」を発売しました。
是非よろしくお願いいたします。

■興味のあるもの
 ・投資(これまでに実施したことがあるのは、投資信託・国債・FX・株式などです。)

■ソーシャルレンディングについて
 maneo・AQUSHとも2010年から始めました。
 ソーシャルレンディングは将来性のあるビジネスモデルです。自分も微力ながらこのブログを通じて知名度の向上に努めたいと思っています。

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