2013年2月18日日経新聞記事でソーシャルレンディングが紹介されました。
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「個人投資企業つなぐ ネット活用の融資広がる」<以下引用>
インターネットでお金の貸し手と借り手を結びつける「ソーシャルレンディング」と呼ばれる小口金融が拡大してきた。個人から資金を集め、中小企業の運転資金や集合住宅の建設費など銀行の融資を受けづらい案件を中心に貸す。主要3社の貸し出しは今年中に100億円に達する見通し。銀行融資が冷え込むなかで、個人と企業をつなぐ新たな金融が広がりそうだ。
<引用終わり>記事ではmaneo,AQUSH,SBIソーシャルレンディングの3社が紹介されています。
各社のサービス内容の特徴や利回りの水準などもある程度詳しく紹介されており、これまでソーシャルレンディングという言葉を知らなかった人にも興味の持てる内容となっています。
ソーシャルレンディングの知名度アップにつながるでしょう。
「銀行預金や国債などと比べて比較的高い利回りが狙えるソーシャルレンディングは個人マネーの運用先としても注目を集めている。」と個人投資家を意識した記事となっており、この記事をきっかけにソーシャルレンディングでの投資を始める人も結構いるのではないでしょうか。
実は、自分も実際のソーシャルレンディングの投資家として事前にインタビューを受けました。
「都内のシステム会社に勤める30代の男性」として記事の中で紹介していただきました。
ブログの宣伝にもなるので、できれば「けにごろう」の名前を記事の中で紹介してほしいとお願いしたのですが、残念ながら諸般の事情で無理でした。
インタビューでは、記事になったことの他にも以下のようなことを聞かれました。
記者:
ソーシャルレンディング投資を始めて何年くらいになるのか。
けにごろう:
2010年の年末に始めたので、2年ちょっとになる。
記者:
始めたきっかけは。
けにごろう:
5年ほど前からいろいろな投資を始めた。最初は株や投資信託・FXなどをやっていたが、2008年~2009年にかけてリーマンショックで大きな損失を被った。
それから投資方針を変え、キャピタルゲインよりもインカムゲイン重視の投資を行うようになった。
しかし、国債・社債などでは金利が低すぎ、良い商品はないかと思っていたところ、雑誌などでソーシャルレンディングの記事を見て、5%以上の利回りが得られるということだったので、試しに始めた。
記者:
投資先はどのような基準で選んでいるのか。
けにごろう:
各社で異なるが、まずmaneoでは、利回り7%以上のものを選んでいる。
金利は、不動産担保付きのものなどだと5%程度だが、飲食店開業資金・パチンコ店設備投資資金などだと8%~10%程度のものもある。
また、リスク分散の観点から、特定の案件に集中しないようにしている。
現在は20~30程度の貸出先に分散投資している。
個々の案件について公開されている情報からその安全性を判断するのはなかなか難しい面もあるので、そこはある程度割り切っている。
消極的ではあるが、分散投資することが貸し倒れに対する自衛策だと考えている。
AQUSHでは、貸出先を直接指定することはできず、信用度と金利を指定して投資を行う。
目安としては、金利10%程度のものを選んでいる。
記者:
貸出の期間についてはどうか。
けにごろう:
maneoでは案件により期間は異なる。
短いものだと3カ月程度・長いものだと3年程度。
AQUSHは固定で、一律3年。
また、maneoもAQUSHも返済方式は元利均等返済で、元金が毎月少しずつ返ってくるような形式である。
(maneoは元本一括返済のものもある)
記者:
SBIソーシャルレンディングについてはどうか。
けにごろう:
SBIは現在不動産担保ローン・証券担保ローンの2つに特化しているが、自分はそれらには基本的に投資していない。
昨年までは個人向けの無担保ローンをやっており、それには投資していた。
貸出が成立するまで金利が確定しない・返済遅延が多いという点でやや不満はあった。
不動産担保ローンは金利3%・証券担保ローンは2%で、安全性の高い商品としてはよいとは思う。
安全性について言えば、maneoの法人向け貸し出しではまだ貸倒は起きておらず、AQUSHでも発生率は0.4%程度で、現状ではそれほどリスクは高くないと考えている。
記者:
投資するうえでの注意点は。
けにごろう:
ソーシャルレンディング全般のリスクとして、大きく3つあると考えている。
1つは貸し倒れのリスク。これがやはり一番気になる。
対策としては、先ほども言った内容だが、貸出先を1つ1つ見極めるのは、情報量が少ないこともあり、また時間的にもなかなか難しい。分散投資を心がけることくらいしかないのではないか。
2つ目は事業者リスク。サービス会社自体が倒産してしまうというリスクであるが、現状では3社ともベンチャー企業であり、経営状況は常に注意しておく必要がある。
ただ、これもまだ決算書などを公開していない会社もあり、判断が難しい面もある。
これに対しては、やはり特定のサービス会社に資金を集中させないようにするという対策しかない。
いくら高利回りが得られるからといって、1社に集中するのは避けた方がよい。
3つ目は流動性リスク。
ソーシャルレンディングは、一度貸し出しを行ったら途中解約は決してできない。
必ず余裕資金で投資を行うようにする必要がある。
記者:
さまざまなリスクがあり、分散投資を心がけなければならない点などを聞くと、ソーシャルレンディングは投資信託などほかの投資に比べるとやや上級者向けの投資に思える。
けにごろう:
確かにそういう面もあるかも知れない。
ただ、ソーシャルレンディングでは他の投資のように値動きを気にする必要はないので、初心者にもやりやすいのではないか。
記者:
働いている人や高齢者の方でもできるということか。
けにごろう:
ソーシャルレンディングは仕組み自体は非常にわかりやすい。
普通にネットが利用できる人ならできるのではないか。
記者:
ソーシャルレンディングがより普及するには何が必要と考えるか。
けにごろう:
それについては各社とも頭を悩ませている。
やはり知名度の向上が課題。投資関係の雑誌などで取り上げられることは比較的多いが、なかなかブームにはなっていない。
各社ともさらに情報開示を進めることが必要だと思う。
記者:
貸出先をいかに開拓するかという課題もあるのでは。
けにごろう:
確かにその通り。
各社ともどちらかというと投資家よりも借り手を探すのに苦労している。
ただ、あまり安易に貸出先を増やすのも問題なので、難しいところではある。
潜在的なニーズはあるとは思う。
記者:
AQUSHは不動産担保ローンをASAXと提携して行っている。
けにごろう:
自分は投資したことはないが、より高い安全性を求める投資家向けにニーズはあると思う。
仮に貸し倒れになっても担保があれば損はしないだろうという安心感はある。
記者:
ご自身でmanooやAQUSHへの会社訪問をしているが、それは自分で直接状況を確認したいということか。
けにごろう:
それは確かにある。WEB上の情報だけではわからない部分も多い。
直接社長のお話を聞いて、会社の状況や考え方を聞きたかった。
記者:
最近はクラウドファンディングも話題になっている。
けにごろう:
ソーシャルレンディングでは金銭的なリターンを目的として投資するが、クラウドファンディングでは社会貢献を主な目的として投資する。リターンも金銭よりも何らかの特典であったりする。
ネットを通じて広く資金を集めるという点では、全くの別物ではないと思う。
記者:
今後の成長性についてはどうか。
けにごろう:
日本では低金利が続いていることもあり、高金利の得られるソーシャルレンディングの成長する素地はあると思う。
社債でも、上場企業であればせいぜい金利は1%程度。2%というのはほとんどないのでは。
REITだと利回り5%程度のものもあるようだが、REITは価格の変動があるので、別物と考えている。
記者:
ソーシャルレンディング投資の実績はどの程度か。
けにごろう:
昨年1年で、税引き後で約6%・税引き前で8%程度。
幸い貸倒には遭っていない。
ただ、仮に1件や2件程度貸し倒れがあっても、トータルでマイナスにはならないと思う。
記者:
お話からすると、ソーシャルレンディング投資のポイントは、分散投資と、返済された資金をこまめに再投資するということか。
けにごろう:
確かに現状では、事前に公開された情報などから判断して貸し倒れを確実に避ける方法というのはない。
ある程度割り切って投資するしかないのではないか。
記者:
全体の投資額はどの程度か。
けにごろう:
maneoとAQUSHで300万円くらいずつ。SBIでは50万円くらい投資している。


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