当サイトを開設して3年目を迎えました。
そこで、今回はサイト開設2周年を記念して、特別企画をお送りします。
何と「株式会社エクスチェンジコーポレーション(AQUSH)ラッセル・カマー社長への特別インタビュー」です。
私がカマー社長にAQUSHの現状・今後についてインタビューを行ったものです。
カマー社長・大前副社長の大変なご厚意により実現しました。
(なお、自分は英会話ができないため、大前さんに通訳していただきながらのインタビューとなりました。)
カマー社長・大前副社長にはこの場を借りて改めてお礼を申し上げたいと思います。
ありがとうございました。
「株式会社エクスチェンジコーポレーション(AQUSH)ラッセル・カマー社長への特別インタビュー」<昨年開始した新サービスについて>けにごろう:昨年は法人向け貸出・ASAX不動産担保ローンと続けて新サービスを開始したが、どういった背景・狙いがあったのか。
カマー:ソーシャルレンディングという効率的にお金を個人から借り手に流す仕組みについては従来と変わらない。
これまでも事業目的の借入が1/3程度あった。事業目的の貸出に対するリスク評価についてのノウハウもたまってきたので、自然な流れとしてサービスを拡張した。
ASAX不動産担保ローンについては、戦略的な目的があった。無担保ローンとは異なるリスクプロファイルの商品を作りたかった。不動産担保に加えて上場企業であるASAXの保証があるため、リスクは非常に低い。それでも銀行預金よりははるかに高い金利の商品であり、そうした商品を求める投資家のニーズにこたえるものである。
けにごろう:昨年電通国際情報サービス(ISID)との提携についてプレスリリースがあったが、どういう提携内容か。
カマー:ISIDは金融システムについてのノウハウを持っているし、AQUSHにはシリコンバレーとのつながりがあり金融サービスについての知識に強みがある。一緒に新しいビジネスについて3年間かけて研究していこうというのが提携の狙い。
ISIDは、FBIC(FINANCIAL BUSINESS INOVATION CONFERENCE)という金融サービスに特化したイベントを主催しており、そこでAQUSHのサービスを紹介してくれている。
ISIDはほかにも金融系のスタートアップを支援している。
提携の中でノウハウが貯まっていくことで、将来具体的なサービスに結び付いていくかもしれない。また、AQUSHのローン管理システムをISIDが外販したりすることがあるかも知れない。
<AQUSHの貸倒率について>けにごろう:AQUSHの貸倒率は現時点で0.4%程度と非常に低い。以前maneoの個人向け貸出では貸倒率10%以上・SBIソーシャルレンディングでは6%以上の遅延率となっている。AQUSHでは貸倒率を低く抑えるためにどういった工夫をしているのか。
カマー:借り手の審査についてはわれわれに非常に重大な責任がある。特に秘密があるわけではなく、FICOモデルを利用したシステムなどに多くの投資をしている。投資家に大きなリターンを出すということを目指してやっているということが低い貸し倒れにつながっている。
また、ソーシャルレンディングの審査でJICC,CICの両方の情報を使っているのはAQUSHだけであり、データを重視するビジネスをやっていくという方針に基づき審査を行っている。
一方でこれまでラッキーであったという面もある。今後ビジネスの規模が拡大すれば、若干(貸倒率が)上昇することもあるかもしれないが、リスクに対して慎重に運営していくという姿勢は変わらない。
既存の貸金業者・クレジット会社などのベストプラクティスを学んでやっている。個人向け貸出のエキスパートもスタッフの中にいる。
<AQUSH金利水準について>けにごろう:昨年11月から大きくAQUSH金利水準が上昇したが、その原因は法人向け貸出を開始したためと理解してよいか。
カマー:その通り。AQUSHの金利は借入規模と貸し手資金のシーソーゲームにより常に変動する。今は借入のニーズが非常に増えている時期であり、金利は上昇している。今後はより多くの投資家を呼び込み、ビジネスの規模を何十倍にも拡大していくことを重視する。
けにごろう:借り手となる法人の規模・業種・借入金額の傾向はどうか。
カマー:借り手となる法人は、業績が良くキャッシュフローがちゃんと出ているが、何らかの理由で銀行など通常の金融機関から借りることが困難な企業である。
例えば、設立してからの日が浅く、銀行からの与信がつかない・金融機関で受け入れられる担保を持っていない、などの理由である。
また、大手銀行や投資銀行などが手がけるには借入の規模が小さすぎる場合もある。AQUSHではそうした借り手に対しても、リスクを抑え貸し手にリターンを出せるような貸出を行っている。
法人向け貸出はまだ始まったばかりで、平均貸出額の傾向については何とも言えないが、感覚的には5000万円~1億円程度の規模が中心になるのではないかと考えている。
5年先・10年先に資金が十分集まるようになれば、例えば大企業の債券をAQUSHで募集したりすることもあるかも知れない。
けにごろう:どういうチャネルで法人向けの貸出を募集しているのか。これまで通りWEB上で募集する以外に何か別のチャネルがあるのか。
カマー:チャネルの開拓についてはわれわれの今後の課題である。個人向け・法人向け・不動産担保とも、どういったチャネルで借り手を集めていくか今考えている。例えば投資家に7%のリターンをもたらすためにはより多くのチャネルが必要である。借入のボリュームが大きくなれば、それだけ高い金利でも借りてくれる人が増えるだろう。
<情報公開について>けにごろう:現在、AQUSHでは決算情報・貸出残高などの情報を公開していないが、今後公開の予定はあるのか。
カマー:今後もう少しAQUSHの規模が大きくなれば公開したいと考えている。
これまでAQUSHはサイズの拡大よりも投資家にしっかりとリターンを出すこと・デフォルトを極力抑えることを重視してきた。今後もその方針は変わらないが、サービス開始から3年がたったので、情報を更新していきたい。毎年倍々ゲームで規模は拡大しているので、いずれ公開できると考えている。
繰り返しになるが、投資家にどれだけのリターンを返すかが重要だと考えている。
けにごろう:他にも例えば、グレードごとのデフォルト率・返済遅延率・個人/法人の比率・法人向けの貸出規模・資金用途などの情報についても公開してもらえると、投資家としてはより安心して投資できる。
カマー:統計データをもっと公開してほしいということだと理解した。今貸出先などについて統計データをまとめて公開予定なので、そのために参考にしたい。
<今後のサービスについて>けにごろう:昨年は新サービスをいくつかリリースしたが、今年も新サービスを開始する予定はあるのか。
カマー:現在のところは新サービスよりも既存のサービスを充実・拡大していくことに集中している。
特に投資家の利便性を高めることが重要だと考えている。
例えば、my aqushに毎月返済元本がいくら入ってきたかをわかりやすくしたい。また返済元本を再投資せずに放っている人も多い。そういったところをよりわかりやすく、楽しくするために改善していきたい。
<ソーシャルレンディングの今後について>けにごろう:ソーシャルレンディングというサービスは、欧米ではすでにZOPA,lendingclubなどの大きなサービス会社があり、金融市場の中である程度の存在感を示している。それに対し、日本では、規模は拡大しているとはいえ、市場全体における割合・認知度はまだ低いと感じている。
それについてはどう考えているか。
カマー:AQUSHとしては新しい投資家が集まっており、成長しているという実感はある。3年かかるか10年かかるかわからないが、AQUSHとしては、投資家へのリターンを出していくこと・デフォルトを抑えることに集中し続けることで、国内で評価されていくと考えている。
(インタビュー実施日:2013年1月18日(金))
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