ソーシャルレンディング各社の不動産担保ローン比較
- 2012/10/13
- 11:16
以前からサービスを手掛けているmaneoも合わせて、各社の不動産担保ローンサービスの内容を比較してみたいと思います。
<各社不動産担保ローン比較(2012年9月時点)> | ||||
maneo(マネオ) | AQUSH(アクシュ) | SBIソーシャルレンディング | ||
商品名 | UBIfinance・エスクローファイナンス案件 | アサックス保証不動産担保ローンファンド | SBISL不動産担保ローン事業者ファンド | |
借り手関連 | 金利(借り手側)(年利) | 9%~12%程度 | 5.5% | 5.5% |
借入限度額 | (不明) | 未公開 | 当初7500万円 | |
最大10億円 | ||||
手数料(借り手側) | (不明) | (不明) | 基本契約締結手数料:47万2500円 | |
使用用途 | 不動産事業者向けの物件購入資金 | 自由 | 不動産担保ローン事業者向けに行う貸付事業 | |
担保・保証人 | 不動産担保 | 不動産担保 | 不動産担保 | |
借入期間 | 6ヶ月~10ヶ月程度 | 一律36ヶ月 | 一律14ヶ月 | |
返済方式 | 元金一括返済 | バルーン返済(※1) | 元金一括返済 | |
(金利は毎月返済) | (金利は毎月返済) | |||
期限前返済 | あり | 可能・手数料なし | 可能・手数料なし | |
貸し手関連 | 金利(貸し手側)(年利) | 4.0%~7.0% (過去案件実績) | 4.0% (手数料を除いた実質金利は2.5%) | 3.0% |
投資額 | 2万円~ | 5万円~2000万円 | 1万円~ | |
(ローンによっては最低投資額がもっと大きいものもある) | ||||
手数料(貸し手側) | なし | 毎月、貸付金残高の0.125% | 貸付金残高の2.5%(年利) | |
投資してから実際に融資が実行されるまでの期間 | 最大1カ月 | 最大1カ月 | 原則2週間 | |
(借り手の希望金額総額が貸し手の投資金額よりも少ない場合はさらにかかる) | ||||
その他 | 個別の案件に投資。 常に案件が募集されているとは限らない。 | 複数の案件にファンドの形式で投資。 | 複数の案件にファンドの形式で投資。 | |
実績 | ローン成立件数 | 78件 | 0件 | 0件 |
ローン成立金額 | 約10億円 | 0円 | 0円 | |
貸し倒れ率(サービス開始以来累計)(件数ベース) | 0% | 0% | 0% | |
貸し倒れ率(サービス開始以来累計)(金額ベース) | 0% | 0% | 0% | |
サービス開始時期 | 2011年5月 | 2012年8月 | 2012年9月 | |
(※1)バルーン返済とは、実際の返済期間(例えば36ヶ月)よりも長期の期間(例えば120ヶ月)を返済期間として想定し、かかる想定返済期間における元利均等払いの返済額を毎月返済するとともに、実際の返済期間の最終弁済回時点で残存する元金等を一括して支払う返済方法です。最終弁済回に残元金等を一括して返済するため、支払金額が最後に膨らむ形がバルーン(風船)に似ていることからバルーン返済と呼ばれます。バルーン返済によって、投資家は、安定的な分配金を受け取ることができ、借り手は、毎月の返済額を抑えることができるというメリットがございます。但し、最終弁済回に受け取る残元金の金額が大きくなりますのでご注意ください。(AQUSHサイト説明より) |
上記の比較を踏まえると、結論としては現状ではmaneoの不動産担保ローンのサービス内容が投資家にとっては最も良いと言えそうです。
まず、気になる金利(貸し手側)から見てみます。
maneoが一番高く4.0%~7.0%(案件により異なる)で、次はSBIが3.0%、もっとも低いのがAQUSHで2.5%です。
また、借入期間には各社でかなり違いがあります。
最も短いmaneoでは6ヶ月~10か月ですが、SBIは14ヶ月・AQUSHは36ヶ月と比較的長期です。
一般的には借入期間が長いほどリスクは高まります。この観点からしても最も期間の短いmaneoが有利です。
返済方式について、maneoとSBIは元金一括返済ですが、AQUSHのみ「バルーン返済」というあまり聞きなれない方式です。
AQUSHサイトの説明によると、「実際の返済期間(例えば36ヶ月)よりも長期の期間(例えば120ヶ月)を返済期間として想定し、かかる想定返済期間における元利均等払いの返済額を毎月返済するとともに、実際の返済期間の最終弁済回時点で残存する元金等を一括して支払う返済方法です。」とのことです。
元金一括返済よりもリスク・リターンともやや低い方式です。イメージとしては元金一括返済と元利均等返済の中間といえます。
3社とも文字通り不動産を担保とすることで安全性を確保しています。
不動産の担保評価が適切に行われているのであれば、通常の個人向け・事業向けローンよりも安全性は高いでしょう。不動産の担保評価については、不動産会社のアサックスと提携しているAQUSHがより確実であると言えます。
また、AQUSHとSBIは複数の貸し出し案件を一つのファンドとしているのに対し、maneoは個別の案件に対して投資する形となるので、投資した案件がもしデフォルトとなった場合の損失が大きくなることに注意する必要があります。
maneoに投資する場合は、特に分散投資を心がけるべきでしょう。
各社とも不動産担保ローンを手掛けるようになったのは、やはり貸出金額を効率よく伸ばしたいためでしょう。
ソーシャルレンディング全体の知名度不足もあって個人の借り手はなかなか集まらず、また一人あたりの借入金額も比較的少額です。個人向け貸し出しだけで貸出金額を効率よく伸ばすのは現状では難しいようです。
それに対し、不動産担保ローンは1件当たりの貸出金額が数千万円以上となることが普通で、審査も個人向けや事業向けの無担保ローンと比べてやりやすいものと思われます。
特に現状ではまだ黒字化できていないAQUSH・SBIにとっては、何としても貸出金額を増やして経営を軌道に乗せることが第一です。このサービスをまずは金のなる木に育てていってほしいと思います。