【書籍紹介】ソーシャルファイナンス革命 ~世界を変えるお金の集め方(3)
- 2012/10/03
- 21:53
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「第3部 情報技術の進歩が可能にした新しいファイナンス-P2Pファイナンスとクラウドファンディング」
いよいよ自分が最も興味のある部分にさしかかりました。
maneo・AQUSHはもちろん、購入型のCAMPFIRE、アメリカのLendingClub・PROSPERなども紹介されています。
最初にP2Pファイナンスの将来性について、以下のように述べられています。
「アメリカやイギリスを中心としたP2Pファイナンスの市場規模は今後も年率66%で成長し、2013年までにはその規模が50億ドルに達するといわれている。」
このP2Pファイナンス成長の背景として、
1.情報処理技術の進歩
2.知識集約型産業へのシフトで減少した初期資本
の2つが挙げられています。
確かにインターネットがまだそれほど普及していなかった10年前だったら、ソーシャルレンディングサービスのアイデアをたとえ思いついたとしても、実現するのは難しかったでしょう。
2は、IT産業のスタートアップに必要な資本が少なくて済むようになった、ということを意味しています。
また、P2Pファイナンスが成功するための条件として、以下の3つが挙げられています。
(1)お金の受け手に対する信頼を維持すること
このための方法としては、クレジットカードなどの信用取引の履歴から判断する・他人に保証してもらう、といった方法があります。
(2)借り手にとってのメリットがあること
銀行など他の調達先ではなく、P2Pファイナンスを選ぶには低金利などのメリットが必要です。
(3)お金の出し手に対して妥当なリターンが提供されること
リスクに対して適切なリターンが提供されることが必要です。
次に、日本のP2Pファイナンス事例として、maneoが紹介されています。
個人が反復継続してお金を貸すことが法律で禁じられている日本で、どうやってP2Pファイナンスを可能としたのか、その仕組みについて解説されています。この規制が障壁となり、プロスパーが日本でのビジネスを断念したそうです。
以下は私の感想です。
「P2Pファイナンスが成功するための条件」についてもう少し詳しく考えてみたいと思います。
日本でP2Pファイナンスがまだブレイクしていない理由はなんなのか、ヒントを探りたいと思っています。
現状では、maneo・AQUSHでは
(1)お金の受け手に対する信頼
(3)お金の出し手に対して妥当なリターンが提供されること
については一応クリアされていると考えます。
maneo・AQUSHとも貸し倒れ率は1%未満であり、貸し手にとっては安心して投資できる環境と言えます。借り手の審査を適切に行っていることの表れでしょう。
また、手数料は妥当な水準であり、リターンが貸出金利に対して不当に少ないということはありません。
すると、「(2)借り手にとってのメリットがあること」に課題があるのでしょうか。
これについては、自分も率直に言ってよくわからないところがあります。
現状、借り手にとってP2Pファイナンスを使用して資金調達を行うことにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
P2Pファイナンスが他の資金調達手段と比べて低金利なのか・借りやすいのかどうかよくわかりません。
残念ながら結論の出ないままですが、今後も引き続き探っていきたいと思います。