ソーシャルレンディングにおけるデフォルトリスクをどう評価したらよいか
- 2012/07/18
- 20:36
「貸し倒れが起こったら当然そのお金は戻ってこない」というと、そんな危険な投資をするなんて信じられない、という反応を示す人がかなり多いです。
確かに株式・投資信託・不動産投資・外貨投資などでは、資産が目減りしても全額を失うということは普通ないので、こうした反応も理解できないことはありません。
しかし、こうした反応はデフォルトリスクに対する過大評価に基づくものであると思います。
確かに投資額をすべて1つの貸出先に融資した場合、その貸出先がデフォルトに陥った場合、全額を失うでしょう。
しかし複数の貸出先に分散投資をしておけば、全部の貸出先が同時にデフォルトに陥ることはまずないので、全額を失うようなことはないはずです。(あくまでデフォルトリスクの話だけであり、事業者リスクは考慮していません。)
例えばデフォルト率が1%だとして、100件の貸出先に均等に貸し出しを行っていたとすれば、デフォルト件数の期待値は1件となりますが、その場合の損失額は1%にすぎません。(デフォルト率と同じ)
単純化のため手数料・税金・事業者リスクなどを省略し、デフォルトリスクだけがあるとすると、ソーシャルレンディングにおける利回りは以下のように数式化できます。
<ソーシャルレンディングにおける利回り>
利回り = 貸出金利 - デフォルト率
AQUSHを例にすると、2012年6月現在平均貸出金利は6.6%で、デフォルト率は0.8%です。
この式に当てはめると、利回りは5.8%となり、デフォルトリスクを考慮しても十分有利な投資であると言えます。
分散投資により、デフォルトリスクをコストに転嫁できるという言い方もできるでしょう。
あくまで適切な分散投資をするという前提であれば、デフォルトリスクをそこまで恐れる必要はないと言えるでしょう。
また、例えば株式では、円高や資源高などの要因で一斉に株価が下がることはありえます。また、大企業の社債がデフォルトに陥れば他社に連鎖することもあり得ます。
これに対し、ソーシャルレンディングの貸出先である個人や中小企業は、業態もバラバラで互いにほとんど関連がないので、何かの要因で同時にデフォルトが多発するという事態はあまり考えにくいと思います。
考えられるとしたら、バブルやサブプライムのように金利水準が上がってしまい一斉に返済が困難になるなどの事態でしょうか。まあそれほどの事態はそうそう起こるものでもないと思いますし、そうした事態が起これば株式や外貨投資など他の投資なども大きな影響を受けるはずなので、ソーシャルレンディング固有のリスクというわけでもありません。
