ソーシャルレンディング3社の徹底比較(2012年版)(実績編)
- 2012/03/31
- 20:41
ソーシャルレンディング3社の徹底比較(2012年版) 今回は実績の比較です。
なお、実績については各社とも未公開の部分も多いので、一部けにごろうによる推定も含まれます。
ソーシャルレンディング会社比較 (内容・数値はいずれも2012年2月時点) | ||||
maneo(マネオ) | AQUSH(アクシュ) | SBIソーシャルレンディング | ||
ファンド型 | ||||
(フリーローン(2年・3年) | ||||
借換ローン(3年)) | ||||
実績 | ローン成立件数(2011年) | 117件 | 未公開 | 57件 |
(けにごろう推定:約900件)(ローン成立金額推定2.5億円/一人当たり貸出金額平均27.7万円) | ||||
ローン成立金額(2011年) | 約16億円 | 未公開 | 6400万円 (オーダーメイド型は3.1億) | |
(けにごろう推定:2.5億円 ← ローン申込額15億円×審査通過率16.9%) | ||||
利用者数(サービス開始以来累計) | 約2.2万人 | 約8000人 | 未公開 | |
貸し倒れ率(サービス開始以来累計)(件数ベース) | 0% | 未公開 | 0% | |
(2011年6月まで実施していた個人向けローンでは13.7%) | (ただし返済遅延の発生率は3.5%) | |||
貸し倒れ率(サービス開始以来累計)(金額ベース) | 0% | 0.40% | 0% | |
(2011年6月まで実施していた個人向けローンでは13.2%) | (ただし返済遅延はより多く発生している。発生率は未公開) | (ただし返済遅延の発生率は8.7%) | ||
運営会社の経営状況 | 2011年度は約5,000万円の黒字 (UBI株式会社瀧本憲治氏のメールマガジンより) | 未公開 (けにごろう推定:おそらく赤字と思われる) | 未公開 (けにごろう推定:おそらく赤字と思われる) |
まず2011年のローン成立件数・金額から見てみます。
もっともローン成立金額が大きいのはmaneoで、約16億円です。
2010年は4億円程度だったので、飛躍的な伸びと言えます。
世界最大のソーシャルレンディングlending club(アメリカ)の2011年ローン成立金額2.8億ドル(約220億円)と比べるとまだまだ規模は小さいですが、今後の成長次第では肩を並べる可能性もあるかもしれません。
次にローン成立金額が大きいのはSBIソーシャルレンディングで、約3.8億円です。
スタート時から手がけていたファンド型は6400万円程度と伸び悩んでいましたが、途中から開始したオーダーメイド型が約3.1億円となりました。2012年度はさらに証券担保ローンという新商品も投入しており、こちらがどれくらいまで伸びるかが注目されます。
最後はAQUSHで、約2.5億円(推定値)です。
前年と比較して20%程度伸びていると思われます。(ローン申込金額が20%程度の伸びであることから)
飛躍的とは言えませんが、堅実な成長と言えるでしょう。
次に、貸し手としては最も気になる貸し倒れ・返済遅延の発生状況(金額ベース)についてみてみます。
maneoは、事業者向けローンでの貸し倒れ率は0%でした。また、返済遅延の発生状況については公開されていませんが、少なくとも自分が投資している範囲では発生していません。
「一見先への融資は行わない」「担保設定や売り上げの入金口座を抑える」などの工夫が効果を上げていると言えるでしょう。
もっとも2011年のローン成立件数自体が117件と少ないので、今後もこの安全性が続くかどうかはわかりません。
今後件数が増えていくに連れてある程度貸し倒れ・返済遅延が発生することはやむを得ないものと思います。
AQUSHの貸し倒れ率は0.4%でした。住宅ローンの貸し倒れ率が0.4%程度(2009年)なので、それと同程度ということは非常に優秀な成績と言えるでしょう。
ただし、これは貸し倒れが確定した案件だけの数値であり、公開されていませんが返済遅延はもっと発生しています。
自分が投資している範囲でも、2011年6月以降まったく返済が行われていない匿名組合が1つあります。
ぜひ今後は貸し倒れだけでなく返済遅延に関する情報も公開を求めていきたいと思います。
SBIソーシャルレンディング(ファンド型)は、貸し倒れ率は0%です。
ただし、返済遅延の発生率が非常に高く、8.7%です。これらの案件は何か月も返済が滞っています。SBIとしても訴訟を検討しているとのことですが、まだ返済されていません。
今後これらのローンの回収ができるかどうかはわかりませんが、いずれにしてもこれだけ返済遅延の発生率が高いのは貸し出し時の審査に問題があったと言わざるを得ないでしょう。具体的な改善がされない限り、自分としても追加で融資を行おうという気持ちにはなりません。
さて、結局3社のうちどこが貸し倒れ率が低いのか、という点については、現時点ではまだ公開されている情報が少なく、確かなことは言えない状況です。
ただ、maneoとAQUSHについては、少なくとも現時点では金利を貸し倒れ率が上回るようなことはないと言えます。
分散投資を心がけるようにすれば、貸し倒れが原因で利回りがマイナスになるようなことはないでしょう。
(逆に金利を貸し倒れ率が上回るような状況であれば、いかに分散投資をしても利回りはマイナスになってしまいます)
最後に経営状況についてです。
決算書などは3社とも未公開ですので、確かなところはわかりません。
ただ、maneoは2011年度約5,000万円の黒字を達成したとのことです。
(maneoの関連会社であるUBI株式会社瀧本憲治氏のメールマガジンより)
ようやく経営が軌道に乗ったということでしょう。事業者リスクも低下したと評価してよさそうです。
一方、AQUSHとSBIソーシャルレンディングは、ローン成立金額と手数料率から推定するとほぼ間違いなく赤字と思われます。両社の資本金がどれくらいあるのかも不明ですが、それが尽きるまでに黒字転換できるよう引き続き努力していただきたいと思います。
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