2011年6月27日に開催された、maneo代表取締役社長妹尾さんとAQUSH副社長大前さんの夢の対談が実現したイベントに参加しました。
イベント詳細↓
スタートアップデイティング「ソーシャルメディアとお金の関係を考える」
さっそく様子をレポートします。
ただ、お二人に遠慮なくおもしろいお話をしていただくため、あえて主催者の方がuStreamでの中継をしなかったとのことですので、自分も対談の内容をすべて書くのはやめようと思います。
スタートアップデイティング「ソーシャルメディアとお金の関係を考える」
日時:2011/6/27(月) 19:00~21:30
会場:渋谷 ECナビ本社
参加者:
・司会:池田さん
・maneo代表取締役社長 妹尾さん
・AQUSH副社長 大前さん
主催者の池田さんに後でうかがったところ、このスタートアップデイティングというイベントは起業家とシステム開発者を結びつけるためのイベントで、毎回違うテーマでもう10回以上開催されているとのことでした。
<会場の雰囲気>
イベントが開催されたのは、大変おしゃれな会議室フロアの中のイベントスペースでした。
フロアに入ると入口に船?宇宙船?のような大きなオブジェがあり、その中はドリンクが飲めるバーのようなスペースでした。アルコールもあるようでした。
各会議室には大陸?の地名がついています。アフリカ・ジパング・ムーなど。
会議室の内装やインテリアは部屋ごとにまったく違います。ジパングだと畳の和室に座布団、ムーだとガラスの机といす、というように、その地名にちなんだ内装になっていました。
いかにもクリエイティブなベンチャー企業という感じです。
参加費は、開発者500円とその他は2000円となぜか分かれていました。自分は一応IT企業の社員なので、開発者として登録しました。開発者は貧乏だと思われているのでしょうか。
会場には、ソフトドリンク・アルコール・ピザまで用意されていました。
イベントスペースは広く、50席ほど用意されていました。開始時間には約30名が着席していました。最終的にはほぼ満席でした。
参加者は30代くらいの若い方が多いようでした。外国の方も何人か参加されていました。
<内容>
主催者の池田さんからのあいさつ
クラウドファンディングが震災の復興支援などに使われている。
ソーシャルメディアを通じてお金の流れはどう変わるのか
質問はtwitterで受け付けます(ハッシュタグ#startupdating)
ustreamしないほうが面白い話が聞けると思うので、今日はしません。
・大前:自分も楽しみにしていた。せっかくなのでSBIソーシャルレンディングも呼ぼうと思ったが、北尾さんに気を使って誰も出てこなかった。
・妹尾:最初に自己紹介します。2008年10月からmaneoサービス開始。サービス開始するまで1年半お上からの許可を得るのとシステムを作るのにかかった。
今の三菱東京UFJ銀行に97年に入行。10年半勤務してやめた。自分はmaneo社長になる予定ではなく、ほかの人がやる予定だったが、その人が就任しないことになったので、社長になった。
最初は個人の借り手と貸し手をマッチングしていたが、諸般の事情で、今は事業性の資金にフォーカスをして融資を仲介している。
個人間はAQUSHでやられているのでいいかと思っている。最初はなかなか貸し出しが伸びなかったが、最近事業モデルを変えてからようやくうまくいくようになった。6月は2億2000万ほどの貸し出し見込み。
現在の社員数は、常駐は自分を入れて2名。エンジニアが1人(週3で勤務)。総務の方が1人。役員4人。役員のほうが多い。
ところで大前さん藤井フミヤに似てますよね。特に横顔が。
・大前:言われたことはあります。自分では思っていないのですが。
AQUSHは2009年12月からサービス開始。サービス開始まで1年9か月かかった。開始まで時間がかかるのが金融ベンチャーがほかのベンチャーと違うところ。
もともと北海道拓殖銀行にいたが、そこをやめ、SBIのインターネットバンキング立ち上げをやっていた。銀行から足を洗いたいと思っていたが、結局また銀行の仕事だった。
AQUSHに入る前にmaneo・ソーシャルレンディングのことは知っていた。
友人からエクスチェンジコーポレーションへの入社の話があり、もともと興味があったので入社した。
現在個人向け融資を中心にやっている。maneoとの方向性の違いが最近出てきて面白いと思っている。
現在は、クラウドファンディング・ソーシャルパトロンが出てきているタイミング。ソーシャルレンディングは、開始当初注目を浴びたが、一度注目が薄れた。最近になってまた注目を浴びるようになってきたと思う。
妹尾さんはなぜ大銀行をやめてmaneoに入ったのか?
・妹尾:引っ込みがつかなくなったところがある。それまで毎週末勉強会をやっていて、欧米のサービスを紹介していた。そのまま会社を作るという話になった。サービス自体はぜひやりたかった。
銀行では法人向けのローンの営業をやっていた。銀行では、貸す時に預金者の顔なんて思い浮かばない。それって本当に正しい姿なのか?
営業にはノルマがある。お客さんと交渉したり、お願いをしないとならない。それは借り手のためになるのか?
例えばデリバティブを十分な説明もなく売ってしまうなど。本来の金融のあるべき姿と違うのでは。
金融はしょせん黒子。表の企業をサポートしたりインスパイアしたりするのが本当の姿。
だから、身近な人にサービスを提供できるソーシャルレンディングはぜひやりたかった。
・大前:こういうサービスをやるなら、スタートアップ(起業)の世界の方がよい。
自分たちでビジネスモデルを作っていくときに、自分で決めていける部分が多い方が良い。大企業は意思決定が遅い。新しいビジネスモデルを作るにはリーガルイノベーションが必要だと思っている。自分たちには失うものはない。迅速に、クリエイティブにできたと思う。
・妹尾:クラウドファインディング(キックスターターなど)は法律の縛りはあまりない。
ソーシャルレンディングは、非常に縛りがめんどくさい。
・大前:その通り。自分も政治家と話をすることがあるが、いつも文句を言っている。
あまり規制にとらわれずにやっていける事業はうらやましい。
日本の金融は非常に厳しい。
・妹尾:資金決済法がいろいろな業者に開放しようという意図で施行された。
決済は銀行のもっとも大事だといわれる業務だが、それを開放したのは、金融庁が、ペイパルなどのような業者が参入しやすいようにしたかったから。
それを開放するのだったら、貸し出し業務ももっと開放してほしいと思う。
・大前:ソーシャルレンディングの魅力・やりがいというのはどんなところですか
・妹尾:ずっと苦労してきて、今も苦労している。自分としては、新しいお金の流れを作りたい。借り手と貸し手をマッチングする。
ツイッター・ブログでも評価されることが一番の喜び。信用と信頼をベースとするサービスなので、評価されて結果として残高が積みあがっていくのが一番の楽しみ。
・大前:銀行時代・SBI時代とも異端であった。チャレンジャーでいるのが非常に楽しい。金融について、これに勝る破壊的なものはない。
銀行とは外れたところでお金の流れを作るのは、非常に破壊的。
・妹尾:今、銀行・消費者金融を超えるようなサービスになるには、どうしたらよいか
・大前:お金は基本的には楽しいものではない。うまく儲かれば楽しいかも知れないが、お金自体には思い入れというのはないのでは。
ソーシャルレンディングにスイッチするトリガーは、お金以外のインセンティブ・気持ちよさのような気がする。
リスクがあるにもかかわらず、何千人にもユーザーに集まってきてもらっている。そこには何らかの動機があるはず。
その感情をもっと多くの人に刺さるようにできたら、もっと多くのお金が集まってくるのではないか。
勝っていくにはそれしかないのではないか。
・妹尾:銀行は100年以上やってきて、伝統・信頼がある。それに勝つには、お金以外のインセンティブと経済的な合理性も大事。
お金は皆さんにとっても大事だと思う。感情と経済的な合理性の両方をミックスしたプラットフォームを作りたい。
キックスターター・キャンプファイヤは、感情の部分が大きい。
そういうプラットフォームをすべて手元に持っておきたいと思う。
・大前:韓国のマネーオークションは、P2Pのソーシャルレンディングのほかに、映画に投資する、というサービスも始めている。
金銭的なリターンとソーシャルなリターンの両方が大事だが、その比率でどちらを重視するかで、各サービスの色分けが出てくる。
・妹尾:借り手の金額にもよる。何千万という金額になると、キックスターター的なアプローチでは難しいのではないか。
・大前:ミュージックセキュリティーズが三陸のカキ養殖で1億円集めた。そういうものにお金を出すというものもある。
お金を借りたい、というと銀行か消費者金融しかなかったが、個人からお金をあつめるという仕組みができただけでも意味がある。
不特定多数の人からお金を集めるのには金融庁の免許が必要。そこはミュージックセキュリティーズも一緒。
ソーシャルレンディングもクラウドファンディングもお金の集め方はあまり違いがない。集めたお金をどう使うかが違う。
・妹尾:ソーシャルレンディングはお金の貸し借りの契約をする。ミュージックセキュリティーズは、投資した事業が損益分岐点に達しなかったら出したお金は戻ってこない。その代り映画のクレジットに名前が出るなどのリターンがある。
醤油と味噌と納豆の違いと一緒。原料は一緒。一緒に百貨店的にやってもよいのではないか。
・大前:ソーシャルレンディングは海外発祥。ルールの厳しい日本で、外国人がそうしたビジネスをやろうとしているのが面白い。海外では成功しつつある。
・妹尾:現在maneoは個人間から事業性資金に特化しつつある。1件ずつ自分がビジネスモデルをチェックして貸し出しを決めている。
スケールを大きくするには、マスを拾っていく必要がある。そのために個人の借り手を押さえる必要はある。
事業は難しい。成功するかどうかわからない。大数の法則がきく個人の方がよい。
しかし、個人への貸し出しは詐欺も多かった。レンダーに損失を与えてしまった。それは何としても避けないとならない。
将来的には個人向け融資に戻っていきたい。
・大前:maneoの成長しているモデルは、世界的にもユニークだと思う。
スケールを大きくするために個人を重視する必要がある、というのは同感。
海外でうまくいっても日本ではうまくいかない、とは思っていない。いつか成功させたい。
・妹尾:ベンチャーは、資金が尽きるまでが勝負なので、とりあえず黒字化させたかった。時間をかければ成功するのはわかっている。
・大前:その気持ちはよくわかる。
最近モバイルチャンネルをやっている。エンジニアがモバイル系のノウハウを持っており、モバイルのアプリを作っている。
グルーポンのようなオンラインtoオフラインがあてはまらないか、考えている。
インターネットの世界では、自分たちの事業は大きな海の小さな葉のようなもの。検索しても出てこない。SEO・広告をがんばって出しても発見してもらえない。インターネット検索の世界はすでにレッドオーシャン。PCの世界とは違うところでお客さんを見つけたい。
中国のクレジットイーズというソーシャルレンディングがある。従業員が1000人以上。お金を集めるのはオンライン。貸したり審査したりするのはオフライン。
・妹尾:今maneoはそういう形になっている。貸し出しの審査が大変で、スケールアウトするのが難しい。
貸し出しをオンラインで自動化しているAQUSHの方がすごい
・大前:勝つには、認知が重要だと思っている。安く借りられる・投資家にとっても利回りはよい。断られる理由はないが、認知が低い。
・ラッセル・カマー(AQUSH社長):ソーシャルレンディングは結局プラットフォームビジネス。そのプラットフォームをどれだけ使ってもらえるか。楽天やヤフオクと一緒。
日本にはビジネスチャンスが大きいと思っている。現在は金利では食べていけない。昔は6・7%あった。ある意味で銀行の犠牲になっている。
海外でいろんなビジネスモデルがあるが、それを日本に持ってくればよい。金融ベンチャーが日本には少ない。金融もテックセクターとしては魅力的だと思っている。
もっと多くのプレイヤーが入ってきて欲しい。
・妹尾:お金の貸し手と借り手を探すのはどちらが難しいか。
・大前:これまでの経験から言うと、シーソーゲーム。マクロで言えば、投資家を集める方が楽だと思う。
なぜなら、どちらのメリットが大きいかといえば、貸し手のメリットの方が大きいから。
貸し手にとっては、0%が7%で貸せる。借り手にとっては、15%が9%で借りられる。
・妹尾:自分も全く同じ。出せる案件の質がすべて。
日本人は、リスクが0であることを前提に高いリターンを求めるような気がする。
よい貸出案件を見つけるのは難しい。試行錯誤が必要。
・質問:欧米と比べた場合、日本ではお金を借りた経験のある人はすくない。
お金を借りる、ということがもっとカジュアルになってもよいのではないか。
そのための方策を考えていれば教えてほしい。
・妹尾:お金を借りるときの使い道が問題。
消費者金融は、借りたお金を娯楽に使う人が多かった。娯楽に対してお金を貸すということが、ビジネスになるのか。
消費者金融は大数の法則がきくのでよいが、ソーシャルレンディングは現時点では難しい。
・大前:世界のパーソナルクレジットを見ると、日本の規模はアメリカに次いで大きい。
ZOPAの発展したイギリスよりもはるかに大きい。
後ろめたくない借り手に貸したい。
日本人があまり借りないのは、銀行の怠慢。住宅ローン以外ではほぼ借りられない。
ライフイベントの中でお金が必要になるときはある。自分が海外留学するときは親から借りた。
施策として、もっと顔が見えるようにしたらよい。
「自分はAQUSHからお金を借りています」と公に言ってくれる人がいるとよいのではないか。
<クラウドファンディング「ReadyFor?」紹介>
プレゼンター:米良はるかさん
慶応大学大学院。プロダクトマネージャー
ReadyFor?は、お金をネット上でつなげるサービス。
もともと、「あの人応援チアスパ」というサイトを運営していた。
スポーツ選手・伝統芸能などを資金面で援助するというもの。
パラリンピックスキーチームを応援。2010年1月~3月まで100万円を集めた。
寄付だけでは継続できない。インセンティブをどうするか。
プログラミングの勉強をするため、スタンフォード大学に留学した。
大学の同級生の女の子がビジネスを作り、グーグルにバイアウトしたのを見て、ショックを受けた。
自分も何かやらないと、と考え、現在はクラウドファンディングのエキスパートを目指している。
アメリカでは200以上のサービスがある。
キックスターターは2年目で月次6億円。
クラウドファンディングの3つのタイプ
・寄付型:見返りなし
・購入型:見返りはお金以外。
・投資型:見返りがお金
readyforは購入型。日本版キックスターター
2010年にサービス開始
アーティスト・社会問題への取り組みを応援している。
例:バングラディッシュの学生向けの雑誌を作りたい。
動画でプレゼン
目標金額に達しない場合、投資は実行されない。
出資金額に応じて、雑誌が一部もらえる・雑誌で紹介される、などのリターンがある。
フェイスブックと連動しており、お金を出した人の顔やコメントが見られる。

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