クラウドクレジットの完全子会社化の目的は? バンカーズ・ホールディング澁谷氏インタビュー
- 2023/02/01
- 05:00
■実施日
2023年1月19日
■インタビューさせていただいた方
バンカーズ・ホールディング代表取締役社長 澁谷 剛氏
■内容
―今回のクラウドクレジットの完全子会社化の目的は
目的は2つある。
1点目は人材の確保。
当社が規模を拡大するにはノウハウを持っている人材の確保が必要だが、ソーシャルレンディングの経験者というのは日本にほぼいないため、苦労している。
その点、クラウドクレジットは組織としても個人としてもノウハウを持っている。特にクラウドクレジットには若い人材が多くいることが魅力の1つだった。
2点目は投資家数の拡大。
クラウドクレジットの投資家数は約56,000名いる。特に当社とは異なり、海外商品に投資する金融リテラシーの高い会員がいらした。
今回、人材および投資家をお招きすることができて、大変ありがたく思っている。
今後クラウドクレジットの株主と面談するが、投資家に向けてよりよいサービスを提供できるよう、業務的なシナジーも考えたい。
―株式取得の経緯は。
2022年1月に当社の営業メンバーがクラウドクレジット代表の杉山氏と知り合ったことをきっかけとして、その後何度か私と杉山氏の間でミーティングを行った。
バンカーズは国内ファンドを専門で取り扱っているが、クラウドクレジットは海外を専門としており、商品が競合しない。そのため、相互に提携して商品を販売するというアイデアについて話し合った。しかし、当社による金融商品取引業の登録内容は、自社ファンドの自己募集を行うことができるのみ。そのため、クラウドクレジットの商品を当社で販売することはできなかった。
その後、2022年2月にロシア・ウクライナ問題が発生し、クラウドクレジットではロシアに関する商品が販売できなくなった。それがクラウドクレジットの業績にも影響し、資金調達が必要となったため、3月頃には他の事業者との経営統合も検討していた。そこで当社が手を挙げた。
―クラウドクレジットの株式取得に要した費用はいくらか。
クラウドクレジットの株式取得は、キャッシュを支払うのではなく、バンカーズ・ホールディングとの株式交換の形で行った。バンカーズ・ホールディングの株式を新たに発行して交換した。
また、弁護士・会計士による調査費用などはかかったが、紹介料などはかかっていない。
株式の取得については、クラウドクレジットの株主からの大きな反対もなく、全株主が株式交換に応じた。
―バンカーズ・ホールディング側の株主からの反対はなかったのか
反対意見はあった。
ロシア・ウクライナ問題等の影響で、クラウドクレジットではいくつかのファンドでデフォルトが発生しており、そうしたリスクの高いファンドを扱っていることと、それを今後マネジメントできるのかという点でも懸念する声があった。
海外のファンドの方が国内よりもリスクが高いのは事実だが、今後国内の成長は海外ほど見込みづらい。そのため、投資家へ一定以上のリターンを出すには海外のリスクマネジメントのノウハウを身に着ける必要があると考え、理解をしてもらった。
クラウドクレジットの問題を論じる視点は重要ながら、その一方で、そもそも海外ファンドのリスクが高いということだと理解している。
―現在バンカーズとクラウドクレジットの登録投資家数はそれぞれ何人ほどか
2022年11月末時点でバンカーズの登録投資家数は約67,000人で、クラウドクレジットよりもやや多い。
ただ、重複する投資家もいるかもしれないので、単純に合計はできないと考えている。
―今後バンカーズの投資家はクラウドクレジットのサービスを再度投資家登録することなく利用できるようになるのか。あるいはその逆はできるようになるのか。
運営する会社が異なるので、それぞれで投資家登録を行う必要はある。
ただ、いずれ、システムを連携することで、投資家が希望すれば投資資産を一元管理できるよう双方の残高を一画面で確認できるようなことを検討している。
―クラウドクレジットの役員・社員は継続して雇用されるのか。
当方としては全員受け入れる。ただ、今回の統合を機に自主退職した人はいる。
―クラウドクレジットの杉山代表は継続して代表を務めるのか。
現在はその方針だが、将来的にはわからない。グループ全体として適材適所を図る。
―バンカーズは2022年にSBIソーシャルレンディングの統合とクラウドクレジットの完全子会社化を相次いで果たしたが、M&Aにより短期間で規模の拡大を目指す方針なのか。
短期間で規模の拡大を目指しているのはその通り。
そのためには、M&Aだけではなく様々な手段を積極的に検討したい。
M&Aのメリットは、時間を買うということ。もし自社で海外投資案件を作ろうと思ったら、2~3年はかかっただろう。そうしたことができる人材は多くない。
―今後もいずれかのソーシャルレンディングサービスと統合する予定はあるのか
現時点では予定はない。
ソーシャルレンディングの投資家と人材については、必要な数は手に入ったと考えている。
それよりも、投資家に対して高いリターンを出せるような運用商品を持っている周辺ビジネスに興味がある。
―現時点で、クラウドクレジットの償還済みファンド1238件のうち、185本において損益がマイナスとなっているが、この点についてどう考えるか。
個別の商品の損失の発生などについては今後精査していく。
我々の基本的なスタンスとしては、今後は国内と同様、デフォルトを起こさないように努める。デフォルトが起こった場合も担保権を行使したり、回収ルートを固めてゆくことで、可能な限り回収できるようにする。現状は、担保を取っていなかったり、担保の取り方がよくなかったりしたものもある。今後はバンカーズとしてもマネジメントしていく。
ただ、為替のリスクはどうしても残る。それをヘッジしようとすると、為替予約でリターンがなくなってしまう。その点については今後検討する。
国により法制度も異なるので、それをしっかりフォローできる体制を作る必要がある。現在は投資対象の国が多すぎるように感じるので、絞る必要もあるかもしれない。
―2022年のバンカーズの募集額はいくらか。
2022年の募集額は123億円で、2021年よりも5倍以上に増えた。
増えた要因としては、やはりSBIソーシャルレンディングの投資家を迎えられたことが大きい。
また、会員の増加に伴い、調達側からの期待が高まったこともある。
―今後はどの程度の募集額を目指しているか。
2022年3月末時点で、融資残高300億円を目指している。クラウドクレジットと統合したため、グループとしては到達できる見込み。
今後は、月次の募集額としてバンカーズ40億円・クラウドクレジット10億円が現実的な目標。2023年度の募集額は600億円ほどとなるだろう。さらに上を目指しているので、これはあくまで通過点である。
それ以降はソーシャルレンディングを普通の金融機関として成長させていくステージに入っていく。世の中に様々な金融商品がある中で、それらと比べてよい商品だと見られるようにしたい。
―これまで、バンカーズではフィンテック・不動産担保ローン・ファクタリング・サービサーなど様々な分野のファンドを手掛けているが、今後どのようなファンドを募集する予定か
特定の分野に限るものではないが、投資家の皆さまがいつ来ても常に出資できるファンドを取り揃えられるよう、ラインナップの拡充に引き続き注力する。その中でも、昨年より実施しているオートリースファンドに関しては、年始に業界最大手のガリバーと提携した。これは、オートリースの債権を証券化するもので、今後シリーズ化したい。
―現在バンカーズ株式会社の経営状況は
現状はまだ単月で赤字となっている。
2023年度中には単月黒字を予定しており、それに向けて必要な資金調達は完了している。
―株式公開予定は
時期は明示できないが、信用度・知名度を上げるためにも株式を公開したい。
―セミナーなどの開催予定は
開催したいと考えているが、リアルのセミナーだと当方の負荷が高いので、体制が追い付いていない。具体的な時期はまだ明確になっていない。
以上
次回は「不動産クラウドファンディング「SOLS」サービス開始」の予定です。





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