Bankers代表取締役澁谷氏にSBIソーシャルレンディングとの統合についてインタビューしました
- 2022/05/11
- 05:00
■実施日
2022年4月28日
■インタビューさせていただいた方
代表取締役 澁谷 剛氏
■内容
―今回のSBIソーシャルレンディングの株式取得の目的は
当社にとっては業界最大手の顧客を承継させて頂き、より一満足頂けるサービスと商品の提供を行うことによって、投資家の資産形成に貢献できる金融機関を目指すことが目的。
―現在バンカーズ・SBIソーシャルレンディングの登録投資家数はそれぞれ何人ほどか
登録投資家数は、バンカーズが約11,000名で、SBIソーシャルレンディングが約58,000名。
ただ、重複して登録している投資家が2000名ほどいるため、統合後はトータル67000名ほどになる。
投資家の数が一気に約6倍に増えることになる。
―株式取得の経緯は
SBIソーシャルレンディングのサービス中止に伴い、それまでSBIソーシャルレンディングで資金調達していた事業者が他のソーシャルレンディングサービスを探す必要に迫られたが、そうした事業者に対してバンカーズは積極的に貸し出しを行った。
そのため、当社の経営姿勢や商品設計能力を評価頂き、SBIグループの顧客とサービス承継に相応しい事業者として認めてもらえたと捉えている。
―株式取得に要した費用はいくらか
SBIソーシャルレンディングは廃業すると宣言していたため、株式を売却して利益を得るという意図はなかった。
株式取得に要した費用は、システムメンテナンス費用など、サービス継続のために最低限必要な費用のみだった。
なお、SBIソーシャルレンディングの資産・負債とも引き継いでいない。システムの償却も終わっていたので、システム自体の資産価値はなかった。
―今後SBIソーシャルレンディングのサービスは継続するのか。あるいはバンカーズとサービス統合する予定なのか
5月9日の両社合併に伴い、一旦SBIソーシャルレンディングのサービスは終了し、バンカーズサービスに統合される。ただし、過去の投資履歴の確認や税務関係書類の発行などのサービスはそのまま引き継ぐ。
―SBIソーシャルレンディングの投資家は全員自動的にバンカーズに引き継がれるのか
第2種金融商品取引事業者同士の合併なので、口座開設の基本契約については引き継ぐことができる。そのため、本人確認などを改めて実施する必要はない。
ただし、規約については両社で内容が異なるので、改めて投資家に同意をいただく必要がある。
―今後SBIソーシャルレンディングとバンカーズの統合はどのように進めるのか。また、統合の時期は
システムの統合は行わない。SBIソーシャルレンディングの顧客情報・取引履歴などを当社のシステムにデータ移行する。
この作業は現在実施しており、5月10日からSBIソーシャルレンディングの顧客はバンカーズを利用できるようになる。
規約の同意確認については、それほど時間がかかるものではないと考えている。
―これまでSBIソーシャルレンディングはSBIグループであったために投資家の信用を得ていた面があったが、今後はその後ろ盾がなくなることになる。今後どのように元SBIソーシャルレンディングの投資家の信用を得ていくのか
確かにSBIグループの財務力による安心感というのは当社にはない。
ただ、バンカーズはSBIグループと良好な関係を築いている事業者であるという事実がある。
また、当社としてはこれまで真面目に実績を積み重ねてきた点を評価していただきたいと考えている。サービスの内容には自信がある。
―SBIソーシャルレンディングの社員は継続して雇用されるのか
SBIソーシャルレンディングの役職員は原則SBIグループ内に留まり、当社で受け入れる人員はいない。ただ、業務上必要な方はSBIグループから出向などで対応頂いている。
―SBIソーシャルレンディングの回収業務は継続するのか
SBIソーシャルレンディングのファンドの償還は全て現時点で終わっている。それが事業譲渡の条件でもあった。
―SBIソーシャルレンディングで発生した大規模な貸し倒れの原因についてはどのように考えるか
基本的には訴訟の結果を待ちたいが、逮捕者も出ている事から、借手の犯罪と認識している。
ただし、1社に対する依存度が高すぎる点、利回りが高すぎる点など、融資自体にも経済合理性とリスク管理の点で問題があった可能性はある。社長が慎重に判断をしていれば防げたのではないか。
当社においては仮に借手に犯罪の意図があっても投資家の損失に結びつかない審査体制、リスク管理体制を継続して強化していきたい。
―バンカーズにおいては同様の問題が発生しないと考えてよいか
「ない」とは断言できないが、「ない」ように審査の厳格化、担保の確保、モニタリングの徹底などリスクマネジメント体制強化に努め、事前に防止できる体制を維持強化していく。
銀行が貸さないような借手に貸すときは、不動産担保や売掛債権を担保に取ることで、万一の場合にも回収できるようにしている。借手の信用が低い場合は、2重に担保をとることもある。
また、バンカーズでは、融資の最終判断については、社長が必ず関わっている。「融資が安全かどうか」という観点だけでなく、「投資家にとって誠実な商品であるか」といった点も重要。例えば、ある借手に対して、他の貸手がもっと高い金利を取っているのに、当社が投資家に低い利回りしか還元しないのでは誠実とは言えない。当社の利回りは低いと言われることもあるが、同一の借手に対して他社よりも低い利回りを還元するということはない。
―現在融資先の審査はどのように行っているのか。また、その体制は
メガバンク出身者による審査体制構築と、大手証券引受審査経験者による審査体制を構築しており、銀行、証券の審査ノウハウを結集した形で展開している金融機関は他になく、対応件数は少ないが、質的には日本一と自負している。
またリスク分析は、大手損保会社で信用保険の開発に携わった者、債権格付機関でクレジットアナリスト経験者が担当している。
当社は銀行、ノンバンク、証券、保険、格付機関のリスクマネジメントのノウハウをフル活用してリスクマネジメント体制を構築している。
銀行の審査はあくまで融資審査であり「資金が返ってくるかどうか」という観点での審査だが、証券会社の審査は、「借手の事業が公序良俗に反しないか」「オーナーが不正に資金を流用したりしないか」「正しい情報が開示されているか」「一般の投資家に不利になるようなことがないか」といった観点での審査。
世の中に銀行の審査経験者はたくさんいるが、証券会社の審査担当者は少ない。証券会社の審査経験者が加わっているのは当社くらいではないかと自負している。
なお、不動産担保の評価は銀行の審査でも行っており、どこの銀行が行ってもあまり評価に差はないだろう。
―2021年のバンカーズの募集額は25億円ほどだったが、今後はどの程度の規模を目指しているか
具体的な数字は上場準備の問題もあり申し上げにくいが、今期中に単月募集額で業界トップを達成し、来年には残高も業界トップを実現したい。
5月の募集額は11~15億円程度となる予定。6月も同程度で、以降は順調に増やしていく予定。2022年3月までに、月間50億円を目指す。
―これまで、フィンテック・不動産担保ローン・ファクタリング・サービサーなど様々な分野のファンドを手掛けているが、今後どのようなファンドを募集する予定か
今後においてもフィンテック領域の小口分散化された集合債権をファンド化した商品を主力と位置付けて募集していく予定。
とりわけファクタリングとオートリースは、リスク分散を図る事で適切なリスクマネジメントを行いつつ、ミドルリターン(4〜6%)を安定して提供できるファンドと考えており、こちらを強化していきたい。
オートリースについては、中古車販売事業者の間で当社を使いたいという声が多い。中古車は1台あたり100万円程度で、1つのファンドに対して中古車購入者の数は多いのでリスクは低く、金利も高めにとれる。
また、ファクタリングも、昨年までは貸金業法の対象となるのかどうか議論があったが、ファクタリングの形態によっては貸金業法の上限金利の適用を受けないことになった。そのため、50%といった金利も可能となり、投資家に対して比較的高い利回りを提供できる。
ファクタリングのリスクは2つある。
1つは債務者の倒産リスク。これは、債務者を小口分散しリスクに見合った金利を取っていればそれほど怖くない。現在はコロナ融資もあり、倒産が多発することは考えにくい。
もう1つのリスクは詐欺で、不正な債権をつかまされること。これも、小口の債権について詐欺は行われないので、小口分散すれば防ぐことができる。
その他には普通預金のような流動性を兼ね備え、かつ2%程度の安定的利回りを実現するオサイフ的ファンドも開発投入していきたい
―普通預金のような流動性ということは、いつでも引き出せるファンドということか
証券会社のMRFのようなイメージで、例えば翌日には換金できるといった商品。
換金に応じるには、現金をたくさん用意しないとならないが、そうすると資金の効率性が下がってしまうので、そのバランスを考慮する必要がある。1か月後に換金できる、といった商品なら、もう少し準備する現金は少なくて済むだろう。投資家のニーズに応じた選択肢を用意したい。
実現に向けてハードルは高いが、いくつか方法を検討している。
ブロックチェーンの技術を使用すれば、セカンダリーマーケットが作れるので、いつでも現金化できる。ただ、1種の免許が必要となる。
匿名出資組合を組み入れられる投資信託を作り、その中でMRFのような換金性をもった商品を作る、といった方法も考えられる。この場合税金を源泉徴収とすることもできるので、投資家にとってもメリットがある。
―現在バンカーズ株式会社の経営状況は
まだ創業期の赤字経営だが、黒字化までの資金調達は順調に進んでいる。毎月、着実に事業計画通り伸長している。
―黒字化の時期はいつ頃を予定しているか
来期早々を予定している。
―現在バンカーズの主な株主は
不動産業者のいちご株式会社、GREE、サイバーエージェント、アイザワ証券、松井証券などの上場企業が中心。
―決算書を公開したり外部の監査を受ける予定は
既に昨年より監査法人による上場のための会計監査を受けている。
決算書は、法令並びに上場準備の手続きに沿って発表している。
―株式公開予定は
少なくとも来期以降、黒字化を達成したら可能な限り早く上場したいと考えている。
株式上場により、より一層皆様に安心して当社ファンドに応募頂ける環境が作れると考えている。
―セミナーなどの開催予定は
実施したいが、なかなか他に優先すべき事項が多く、なかなか準備ができていない。
具体的な時期は明言できないが、現在外部でのセミナー開催も含め検討している。
―最近はCREALやCOZUCHIなどの不動産クラウドファンディングが多くサービスを開始しているが、これらのサービスについては意識しているか
当社は総合金融機関を目指しており、不動産もその一部として融資対象として検討しているが、経済環境等ふまえて不動産に対する融資姿勢は変化するので、不動産専業業社は経営的にベンチマークの対象とはしていない。
また個別の不動産のリスクを取るファンドが良いのか、小口リスク分散されたポートフォリオ的ファンドが良いのかは、投資家の選択だと考えるので、バランス良く商品を提供していきたい。
以上
次回は「不動産投資クラウドファンディング「GALA FUNDING」スタート」の予定です。




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