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個人訴訟でトラストレンディングに勝訴!M氏インタビュー

出資金が返金されないトラブルが多発しているトラストレンディングを運営するAI株式会社(松本卓也社長)」を相手取り、都内勤務の男性会社員が起こした民事訴訟で、東京地裁は11月24日付で全額賠償を命じました。

エーアイ社は元財務省の山田貢氏、元国土交通省の山本淳氏、元防衛相の渡邉一浩氏など元官僚を役員に招き、元官僚のコンプライアンスや政府とのコネクションを全面に出し、主に公共事業で年利12~15%の利回りを出すファンドを設定し、全国の投資家約2000名から約52億円を集めました。
その後高速道路建設、除染事業など各ファンドが架空と発覚し、2019年2月に金融庁・関東財務局から第二種金融商品取引業の登録取消処分を受けました。

今回、勝訴したM氏にインタビューをさせていただきました。
(インタビュー日:2020年12月12日)

―年齢・職業は
40代後半で、マスコミ関連の仕事をしている。都内在住。

―トラストレンディングに投資したきっかけは何だったのか。
やはり利回りの高さに惹かれた。
高い利回りは危ないという意識はあったが、一応金融庁が管轄している事業者なので、詐欺はやらないだろうと考えていた。また、役員には元官僚などもいたので信用していた。

―他のソーシャルレンディングでは投資はしていたのか
他もやっていたが、全て撤退した。他はまともな事業者だったので全て返済されている。
今後はソーシャルレンディングで投資する予定はない。AI社のような事業者に刑事罰が下されないようでは、安心して投資はできない。

―トラストレンディングにおいてどのファンドに投資していたのか、またその未返済の投資額はいくらか
高速道路ファンドに60万円、船舶ファンドに20万円ほど投資していた。

高速道路ファンドと船舶ファンドについて、それぞれ別の訴えを起こした。
できれば一回で済ませたかったが、ファンドの性質が異なったため、2回に分ける必要があった。高速道路ファンドは事業実態がなく架空であることが明らかになっているが、船舶ファンドは事業としては継続していることになっている。
当初高速道路ファンドについてのみ訴えを起こしたが、その後4ヶ月ほどしてAI社が貸金業の免許を返上したので、業務継続する能力を失ったと判断し、船舶ファンドの方も訴訟を起こした。
今回判決が出たのは高速道路ファンドの方であり、船舶ファンドの方の裁判は継続中。

―訴えの内容はどのようなものか。
明らかな架空の事業により損失を被ったので、契約は無効として返金を求めた。
詐欺にあったという主張はしてはいけないと考えていたので、悪意もしくは重過失があったと主張した。
自分は何度か裁判を経験しているので知っているが、裁判所は詐欺を認定する場ではない。それは警察や検察など司直の仕事だろう。裁判所では詐欺を認定できないので、原告の請求は棄却されてしまう。それを知っていれば、全額は無理でもいくらかは勝てるのではと思っていた。
詐欺事件の裁判は、詐欺だと主張するから大体原告が負けてしまう、あるいは損してしまうことが多いと思う。
そのため、悪意、重過失に対する責任追及に絞った。


―集団訴訟ではなく個人で訴訟を起こしたのはなぜか。また、弁護士をたてず、本人で訴訟を起こしたのはなぜか。
集団訴訟では意思統一の問題もあり時間が3~4年ほどかかってしまい間に合わないと思ったため。
詐欺まがいのことをやった会社は、数年たったらお金はほとんどなくなるので、その前に早めに決着を付けたかった。

弁護士に依頼した場合、弁護士は忙しいので裁判の予定日を決める際にも調整に時間がかかる。本人訴訟だと裁判所や相手の指定した日の中で最も早い日を設定できる。
また、弁護士に依頼すると被害金額の2割程度の費用がかかると聞くが、本人訴訟だと60万円の請求なら6000円と切手代でスタートできる。

―実際に裁判を起こすにあたりどのような手続きをしたのか。
まず、裁判所に訴状を提出する。
訴状はネット上にテンプレートがあるのでそれを参照し、内容を適宜書き換えた。文章が書ければ誰でもできる。特に資格も必要ない。
その後しばらくすると裁判の呼び出しがある。
その後のやり取りは文章がメインで、裁判の場で話すことはあまりない。

―裁判に向けて準備を開始したのはいつごろか。
2019年2月ころに高速道路ファンドが架空だということが分かってからすぐに着手した。

―裁判の経過はどのようなものだったか。また、争点となったのはどのような点だったか。
高速道路ファンドについて、AI社の主張としては「ファンド設定時点で工事業者と交わした契約書については正当なものであったので、それに基づいて設定したファンドは違法ではない」というものだった。
また、ファンドの注意書きに「その時点での情報であり、AI社が正しいと保証するものではない」と記載しているので、仮に虚偽の内容だったとしても、それは投資家の責任である、と主張した。
その主張に対して、私は、
「AI社自身が騙されたとしても、ファンドの対象となる高速道路建設工事について実在するかチェックはしたのか」
「関係会社にお金が流れているが、当然虚偽の事業であればその後借り手が逃げる可能性もある。工事現場を確認したりと回収のための努力はしたのか。なぜお金を貸した後何もチェックをしていないのか。チェックをしたとすれば、その証拠となる書類はないのか。」
といった点を追及した。

一般に、公共事業には、工事現場に施工台帳という工事の詳細が記載された書面があり、その書類は誰でも確認できる。法律で義務付けられている。その施工台帳の確認はしたのか、と聞いたら、ノーコメントであった。
AI社側はたくさん書類を提出してきたが、工事の下見に行ったり調べたりという記録がまったく出てこなかった。これに対しては裁判所もいらだっていた。この点が判決に与えた影響は大きかった。
AI社は、山本幸雄氏などからお金を回収するための訴訟も起こしている。その中で今回の貸付先や元請け会社には「工事が虚偽だったのだから工事の貸付契約は無効だ」としている。
しかし、出資者に対しては「契約は有効なので返済できない」という主張をしていて、一つの契約に対して裁判相手によって全く違う主張がされている。それに対しては裁判所も問い詰めたが、「AI社は『貸付先や元請け会社相手の裁判展開によって主張を変える可能性があるので、それまでは回答できない』など、司法への冒涜めいた主張もしてきたため、裁判が何度か中断された。

また、AI社はファンドの設定時点で工事が架空だったとしても契約の内容は有効と主張した。
公共工事の利益率は一般的に年利3%程度と聞く。しかし高速道路ファンドでは12%~15%といった高い利回りが設定されていた。その根拠は何か、と聞いたが、ノーコメントであった。
騙されたというのであればなぜ刑事告訴も被害届も出さないのか、松本代表も顔を見せて投資家と連帯して回収することもできるはずだが、なぜ裁判に出席しないのか、という質問にも答えなかった。
AI社はこちらの質問にほとんど答えられなかった。

―公判は何回行われたのか。
公判は2ヶ月に1回のペースで、全部で9回ほど行われた。
2019年3月に開始し、判決が出たのが今年の11月。
コロナの影響で今年の3月から7月まで中断された。途中で2回の和解交渉も入った。それも含めると10回程度。
AI社側からの急な延期依頼などもあった。
当方は毎回有休や半休をとって出席していた。
裁判は1回10分程度で終わるときもあった。

―AI社側の関係者は誰が証言したのか。
同社の弁護士が1人だけ出席した。松本氏も含めて役員などは誰も出席しなかった。

―Mさん自身は裁判でどういった証言をしたのか。
基本的に事前に書面をお互い提出しているので、その内容にそって証言した。口頭で話したのは補足程度で、説明を求められたときにこたえる程度だった。
実際の裁判は書面で8割程度進んでいくので、それほど長く説明する機会はない。
ただ、危ない瞬間もあった。AI社側の弁護士から、「この件についてご存知ですよね」と聞かれた場面があった。
そこで「はい」と答えたら、リスクを承知で投資したことになり、不利となる。そこで「自分は理解していなかった」と回答した。

―裁判にかかった時間はどの程度か。
裁判に1回出席すると、午前あるいは午後がつぶれる。それに10回ほど出席した。
また提出書類作成には毎回4時間程度かかるので、トータル100時間程度は取られていると思う。
AI社の被害者同士で情報交換したり、ネット上の情報で類似の事例を調べたり、ソーシャルレンディング関連の掲示板などを見て、情報を集めるのにも時間がかかっている。
中でも被害者仲間は盟友とも言える存在で、その方がいなければ、勝てたとしても全額賠償は厳しかっただろう。

―判決はどのようなものだったか
私の主張が、詐欺など悪意を除きほぼ全面的に認められ、AI社に対して全額賠償を命じる内容だった。


―判決が出たときはどのような気持ちだったか。
正直うれしさはあまりなかった。
おそらくAI社は控訴してくるだろう。まだこれからだと考えている。
ソーシャルレンディング関連の訴訟で、本人訴訟に負けたのはおそらく初めての事例だと思う。
この事例が知られれば、他の被害者も訴訟を起こしてくる。それを避けるため、最高裁まで引っ張るのではないか。


―今後AI社が控訴する可能性はあるのか。
判決が出たのは11月24日で、AI社は2週間以内に控訴するかどうか決める必要がある。
裁判所に連絡して確認したが、現在のところ控訴はされていないとのことだったが、もしかすると今後反映されるかもしれない。
相手方弁護士に確認したが、不明だった。

―判決の後、実際に返金はされたのか。
まだされていない。
おそらくAI社が自主的に返金してくることはないと思うので、自分から強制執行をする必要があると考えている。
それにはまた別の手続きが必要となる。裁判所で取り立ての承認を得てから行うらしい。また費用と時間がかかるが、弁護士を雇うのに比べれば安いはず。ネットで調べたところでは、数千円程度の費用でよいらしい。


―他にもソーシャルレンディング関連の訴訟に関わっているか。
関わっていない。

―私も含め、トラストレンディングに投資して返金されずにいる投資家は多くいる。その方々に何かアドバイスはあるか。
私は、今回犯罪の被害に遭ったと考えている。それに対しては法的な手段を起こすべき。
自分や家族が被害に遭った場合に泣き寝入りすべきではない。
日本では、投資詐欺にあった場合、投資は自己責任、といった考えが根強い。そうした意識を変えていきたいと考えている。
自分は、家族や友人に対して、被害に遭ったことや、裁判を起こすことを伝えている。みんな応援してくれている。
投資詐欺を起こす会社は、被害者が裁判を起こしてこないとタカをくくっている。そうした風潮を正していく必要がある。
他の投資家の方も迷うくらいであれば、裁判を起こしたほうが良い。起こせば後悔することはなくなるのでは。
個人的にも良い経験だったと考えられるよう、最後まで戦う。

以上

次回は「株式会社ライトアップ主催の説明会に参加しました」の予定です。




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中田健介(けにごろう)

Author:中田健介(けにごろう)
IT系企業に勤務しています。
2010年からソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)での資産運用を開始しました。
自分の運用実績、各社のサービス内容比較、業界の最新トピックなどを毎週2回(水・土)発信しています。

■著書
2015年3月7日にぱる出版より著書「年利7%!今こそ「金利」で資産を殖やしなさい!~日本初!融資型クラウドファンディング投資の解説書」を発売しました。
是非よろしくお願いいたします。

■興味のあるもの
 ・投資(これまでに実施したことがあるのは、投資信託・国債・FX・株式などです。)

■ソーシャルレンディングについて
 maneo・AQUSHとも2010年から始めました。
 ソーシャルレンディングは将来性のあるビジネスモデルです。自分も微力ながらこのブログを通じて知名度の向上に努めたいと思っています。

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