株式会社バンカーズ代表取締役 澁谷 剛氏インタビュー(1)
- 2020/12/23
- 05:00
■インタビュー日時
2020年12月14日
―澁谷代表の経歴についてうかがいたい。
私は1987年に大学を卒業し、大和証券に入社した。
この年は証券業界としてはいろいろあった年で、まずNTT上場やJRが民営化した。また1985年のプラザ合意もあり、歴史的な円高が起こった。ちょうどバブルがスタートした年でもある。
私はバブルの最中大和証券の五反田支店で営業を担当していた。そこで投資家に対する思いや接し方の基本を学んだ。
当時株価は上がっていたが、投資信託はそれに応じた成果が出なかった。そのことを通じて金融機関の運用能力を高める必要性を感じた。これが私の金融マンとしての原点である。
その後ファンドマネージャーの勉強をしつつ、90年台には様々な会社のIPOを手掛けた。
投資家に応援してもらう価値のある会社をIPOすることが投資家と会社の両方を幸せにすると考えた。
その後IT系のベンチャーの上場に携わった。
2000年にそのうちの1社である楽天に転職し、楽天市場のホテル予約などの事業開発を手掛けた。
2006年に退社し、農業にチャレンジした。
楽天の時に海外進出を検討したことがあり、特に中国のマーケットに注目していた。中国の企業が楽天と組みたいという話もいくつかあった。
そのころ中国は穀物の輸出国から輸入国に転じた。そのため、日本も農業を強くする必要性を感じた。
4年ほどがんばったが、残念ながら日本の農業をリードするほどの事業に育てることはできなかった。
2010年からはプライベートエクイティを中心にやってきた。
―株式会社バンカーズは1974年設立だが、これまでどういった事業を手掛けてきたのか。
前身である泰平物産は非常に古い貸金業の会社だった。2020年12月時点における貸金業の登録番号は 「 関東財務局長(13)第00077号」。「13」は3年に一度の更新回数により変化する数字だが、これはオリックス、 三菱UFJニコスなどと並び、業界の最多回数である。
創業オーナーは80代の方で、60年以上にわたり貸金業を手掛けてきた人。事業融資と手形割引を中心に手掛けていた。
現在、貸金業は全般的に経営が苦しくなっている。
まず銀行が貸金業向けに資金を出さなくなっている。
また、金利が下がってきている。
それを解決するには、上場してマーケットから資金を調達するか、銀行の傘下に下るか、といった道があったが、泰平物産はいずれの道も選ばず、徐々に事業規模が縮小していた。
またオーナーは高齢でもあり、引退したがっていた。
そこで創業オーナーから昨年我々が会社を買い取った。
役職員を引き取って事業を継続してほしいとの意向だった。そのため、以前からの役職員は継続している。
貸金業はネットワーク・信用が大事だが、泰平物産で培われたネットワーク・信用はそのまま活用できる。
―サービス開始の経緯は
元々私はソーシャルレンディングについてはあまり詳しくはなかった。
某ソーシャルレンディング事業者を対象に、自分が当時所属していた投資会社が同事業者の購入(M&A) を検討する機会があった 。
その時に初めて業界について調べた。
その際、ソーシャルレンディングというビジネスモデルは金融の革命につながる、圧倒的なアドバンテージを持っている、と気づいた。
また同時に、それを理解しているプレイヤーは他にいないと感じたので、参入の余地はあると感じた。
ソーシャルレンディングの金融機関からみたアドバンテージは3つある。
まず、金融機関は決して倒産してはいけない。
そのためには、自ら過大なリスクをとるべきではない。銀行は自ら貸し出しのリスクをとっているが、そのためにリスクの低い貸出先にしか貸し出すことができず、結果としてあまり意味のない存在となっている。
ソーシャルレンディングは、投資家から出資金を募る形で貸し出しを行うので、ビジネススキームとしては銀行ではできない資金仲介の機能を果たすことができる。
また、ソーシャルレンディングとしては融資型クラウドファンディングだが、一方で事業型・エクイティ型のクラウドファンディングもあり、第二種金融取引業者として登録すれば、同じプラットフォームでローンとエクイティの両方を扱うことができる。
かつていた証券会社ではエクイティしか手掛けることができなかった。その両方を手掛けられるということは、企業に対しても投資家に対してもワンストップでサービスを提供できるということで、アドバンテージが大きい。
また、3点目として、販売をネットを通じて行うことで、コストを圧倒的に安くできる点がある。そのため既存の金融機関に対する優位性が高い。
コストを下げることは、投資家にとっても当社にとってもメリットがある。
―会社の出資者は
私が以前手掛けていたファンドからの出資が8割を占めている。
その他、サイバーエージェントキャピタルやインキュベイトファンドなど、いくつかのベンチャーキャピタルが出資している。
―社員数は何名か
15名程度。
―他の役員はどういった方々か
金融当局の求める人的要件をクリアするために人材をそろえた。
管理の責任者・投資家向けマーケティングの責任者は大和証券出身である。
また、コンプライアンス担当も大和証券・松井証券でコンプライアンスを手掛けてきた。
内部監査の責任者は大和証券の元監査役。
その他、商品の設計も大和証券の投資信託・リートの設計を手掛けていたメンバーが手掛けている。
全般的に大和証券の出身者が中心となっている。自分と知己があって信頼ができ、かつ仕事ができ、専門性があり、コンプライアンスの意識が高いメンバーを集めた。
―2種の登録にはどの程度かかったか
弊社は2019年12月13日に 関東財務局 に対する事前相談を開始、2020年の10月21日に第二種金融商品取引業の登録を完了した。その間10ヶ月と8日。コロナ禍にあり、金融当局による迅速な審査対応には心からの感謝を表したい。弊社は審査過程を通じ、メンバー&組織、審査システム、オペレーションなど、すべての審査項目において「投資者保護に資する」を重視し準備を進めてきた。第二種金融商品取引業者としての責任を改めて痛感し、開業後も投資家保護を最優先に運営していく方針を社内に徹底している。
次回は「株式会社バンカーズ代表取締役 澁谷 剛氏インタビュー(2)」の予定です。
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