【書籍紹介】事例に学ぶ貸出判断の勘所
- 2011/03/23
- 17:48
「事例に学ぶ貸出判断の勘所~資金使途の検証にみる「貸出の王道」~」
(吉田重雄著・金融財政事情研究会)
![]() | 事例に学ぶ貸出判断の勘所―資金使途の検証にみる「貸出の王道」 (2007/06) 吉田 重雄 商品詳細を見る |
銀行が企業に貸出を行う際にどのようなポイントでチェックするかについて書かれている本です。
著者の吉田重雄氏は長年東京三菱銀行で支店長をされていた方です。
maneoで貸出を行うに当たり参考になるかと思い、読んでみました。
<目次>
第1編 貸出業務の王道
第1章 貸出業務の本質
第2章 資金使途の確認
第3章 貸出業務に関する基本的心構え
第2編 資金使途別借入申し出の検証
第1章 資金使途把握の重要性
第2章 経常運転資金
第3章 増加運転資金
第4章 長期運転資金
第5章 決算資金
第6章 賞与資金
第7章 季節資金
第8章 工事立て替え資金
第9章 肩代わり資金
第10章 設備資金
第3編 貸出業務に役立つ知恵袋
第1章 世の中の変化と貸出業務
第2章 勘定科目内訳明細書
第3章 銀行取引一覧表
第4章 月商ヒアリング
第5章 売上分析
第6章 在庫を持つコスト
第7章 「いくらまで貸してくれるか」と「折り返し資金」
第8章 コンピュータによる貸出審査
第9章 決算書の粉飾
第10章 「増収増益」と「減収減益」
<概要>
(引用開始)
「資金使途の確認が貸出判断の原点」
もし、あなたが子供を持つ親であるなら、子供から「お小遣いがほしい」と言われたら、「何に使うの」と必ず聞き返すでしょう。
(中略)
お小遣いを与える立場にある親としては当然のことです。お小遣いがもっとほしいという子供にその使い道を聞くと、子供が何をしたいのか、何がほしいのか、何を考えているのかが見えてきます。お金がほしいというとき、そこには必要な理由があります。これが資金使途の検証を行うことと同じことを意味しています。
貸出業務の対象となる顧客も同様です。子供がお小遣いを欲しがる理由と同じように、顧客の新たな資金需要発生の理由は何かを明らかにすることで、顧客は何をしたいのか、何がほしいのか、何を考えているのかがみえてきます。
資金使途の確認と検証が、まっとうな貸出業務を行ううえでの原点です。この基本を怠ったり、誤ったりすることがあれば、健全な貸出資産を積み上げると言う貸出業務の本質を見失うことになります。資金使途に納得した時、金額、金利、担保、返済方法の話を進めることができるのです。
「資金使途には疑義があるが、金利を高くして利鞘を稼げる」という理由で貸すとか、「資金使途に問題はあるが、担保は十分ある」という理由で貸すという行為は、貸出業務の本質を逸脱するものです。
(引用終わり)
この本で言いたいことは、上記の引用部分に凝縮されていると言えます。
貸出業務を行ううえで最も重要なのは「資金を何に使うかを確認すること」であると言いきっており、本のほかの部分でも繰り返し強調されています。
銀行の融資担当者向けに書かれているので、自分のような素人にはやや難しい用語も出てきますが、具体的なケースを挙げてから説明に入るなど、全体としてはわかりやすくなっています。