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ソーシャルレンディング事業者紹介および評価(2020年版)「maneo」「オーナーズブック」

各サービス事業者の紹介および評価を掲載します。
今回はmaneoとオーナーズブックです。


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maneo

概要
サービス名maneo(マネオ)
運営会社maneoマーケット株式会社
サービス開始時期2008年10月
貸出金額実績(2019年)77.6億円(シェア6.0%、4位)
平均利回り7.0%
主な投資対象各種事業者
貸倒率実績
(金額ベース・2020年5月時点・サービス開始以来累計)
0%
(現在手掛けている事業者向けローンの数値。
2011年まで手掛けていた個人向けローンで発生したものは含まない)
返済遅延率実績
(金額ベース・2020年5月時点)
5.3%
(現在手掛けている事業者向けローンの数値。
2011年まで手掛けていた個人向けローンで発生したものは含まない)


沿革


maneoは2008年10月にサービス開始した、国内初のソーシャルレンディングです。
創業者の妹尾賢俊(せのおかずとし)氏は、三菱東京UFJ銀行でコーポレートファイナンス等を担当していた方です。
銀行に勤務する中で、「資金を必要としている中小企業に十分な資金が届いていない」「投資家・預金者に対して十分な利回りを提供できていない」金融業界の現状を変えたいと考え、10年勤めた銀行を退社し、2007年にmaneo株式会社を創業しました。

maneoは、サービス開始当初は個人向けの貸付案件を手掛けていました。
しかし、開業後1年ほどたったころから、返済遅延やデフォルト(貸倒れ)が目立つようになってきました。中には明らかに詐欺目的の借り手もいました。
最終的には、金額ベースでデフォルト率が10%以上に上るという事態になってしまいました。当然投資家も大きな損失を被り、泣く泣く去って行った人も多くいました。
そのため、maneoは2011年には個人向けローンからは撤退し、ビジネス向けローンに特化するようになりました。
なお、2017年6月現在、ビジネス向けローンではデフォルトは1件も発生していません。
同じく2011年に、maneo株式会社は不動産をはじめとして国内外の様々な投資を手掛けるUBI株式会社のグループ傘下に入りました。

2013年には妹尾社長が退任し、UBI株式会社の取締役であった瀧本憲治氏が新社長に就任しました。
以降の主な融資先は、不動産関連ビジネス、各種事業者などです。

また、maneoは他のサービス事業者に対して、その立ち上げをサポートし、システムの運営、投資家の募集・管理といった業務を請け負うことで、サービスのすそ野を広げていきました。
maneoは、LCレンディング・ガイアファンディング・クラウドリース・スマートレンド・グリーンインフラレンディング・アメリカンファンディング・さくらソーシャルレンディング・キャッシュフローファイナンス・アップルバンク、プレリートファンドをサポートしていました。
さらに、2016年にはGMOクリック証券と提携し、GMOクリック証券のユーザーが直接maneoに投資できるようになりました。

順調に見えたmaneoですが、2018年7月にmaneoマーケットに対して金融当局より行政処分が下されました。
処分の理由は、以下の2点でした。
・グリーンインフラレンディングにおいて、最終貸付先企業がファンドの取得勧誘の際の事業とは異なる事業等に一部資金を使用していたこと
・上記の点を検証する態勢を構築できていなかったこと

処分内容は業務改善命令でした。

この処分を受けて、maneoマーケット社は、グリーンインフラレンディングの新規ファンド募集を停止しました。
2018年7月以降、グリーンインフラレンディングの全ファンドにおいて償還及び分配の実施は行われておらず、2020年5月時点で返済遅延中となっています。

また、それまではほとんど返済遅延の発生していなかったmaneo本体でも2018年11月以降返済遅延が相次ぎ、maneoは2019年にはファンドの新規募集を停止しました。
2020年5月現在、返済遅延総額は約87億円に上り、募集総額に対する返済遅延金額の割合は5.3%となっています。
その後一連の事態の責任をとり瀧本代表は退任しました。

2019年9月には、瀧本氏が保有するmaneoマーケット株式会社株式持分の全て(84.95%)をNLHD 株式会社に売却しました。
これに伴い、NLHD 株式会社がmaneoマーケット株式会社の筆頭株主となりました。
NLHD 社は、SAMURAIを運営するSAMURAI&J PARTNERS株式会社の筆頭株主である藤澤信義氏が 100%保有する個人持株会社です。

2020年5月現在maneoサービス再開のめどは立っていません。

評価

2020年5月時点
評価項目評価基準maneo 
   根拠評価
利回り B
 平均利回りA:平均利回り9%以上
B:平均利回り7%以上
C:平均利回り7%未満
7.0%B
投資のしやすさ B
 年間募集額(2018年)(単位:億円)A:100億円以上
B:10億円以上
C:10億円未満
77.6 B
ファンドの安全性 B
 現時点での貸倒・返済遅延発生率
(募集総額に対するデフォルト額・返済遅延額の割合)
A:貸倒+返済遅延発生率1%未満
B:貸倒+返済遅延発生率3%未満
C:貸倒+返済遅延発生率3%以上
貸倒:0%
返済遅延:5.3%
C
 平均利回りA:平均利回り7%未満
B:平均利回り9%未満
C:平均利回り9%以上
7.0%B
サービス事業者自体の安全性 B
 金融取引事業者の種別A:第1種
B:第2種、不動産特定事業
C:その他
第2種B
 上場しているか、または上場企業・ベンチャーキャピタルからの出資を受けているA:上場企業もしくはその関連企業である。
B:上場企業・ベンチャーキャピタルからの出資を受けている
C:その他もしくは不明
GMOクリックホールディングス株式会社
、株式会社VOYAGE VENTURESなどが出資者
B
 金融当局からの行政処分などを受けていないかA:処分を受けていない
B:軽微な指摘
C:重大な指摘・行政処分
2014年に、返済遅延発生時に保証により返済した事実を公開していなかったとの指摘あり
2018年に、運営会社であるmaneoマーケット社に対して虚偽の表示、管理上の指摘あり。業務改善命令。
C
運営力 A
 システム(わかりやすいか、不具合等がないか)A:わかりやすく不具合などがない
B:わかりにくい。
C:不具合が存在する。
わかりやすく不具合等もないA
 オペレーション(ミスや遅延がないか、要望・問い合わせに対する回答は適切・迅速か)A:問題なし
B:何らかの問題あり
C:重大な問題あり
問題なしA

私けにごろうによる主観的な評価です。
あくまでご参考としてください。

maneo


********************


オーナーズブック

オーナーズブック

概要
サービス名オーナーズブック
運営会社ロードスターキャピタル株式会社
サービス開始時期2014年9月
貸出金額実績(2019年)52.6億円(シェア4.1%、5位)
平均利回り4.8%
主な投資対象不動産事業者
貸倒率実績
(金額ベース・2020年5月時点・サービス開始以来累計)
0.0%
返済遅延率実績
(金額ベース・2020年5月時点)
0.0%



沿革


オーナーズブックは、不動産特化型のソーシャルレンディングです。

サービス提供会社はロードスターファンディング株式会社で、不動産業者であるロードスターキャピタル株式会社の子会社です。
両社の代表の岩野達志氏は外資系ファンドなどで一貫して不動産業を手掛けてきました。
不動産業において経営は順調でしたが、本業との相互効果が期待できるソーシャルレンディングにも進出を果たしました。

オーナーズブックのファンドはすべて不動産担保付きで、評価額、大まかな所在地(~町レベル)、稼働率などの情報がある程度詳しく記載されているのが特徴です。
もともと不動産業者であるため、物件の目利きには自信があるとのことです。

原則として、購入した不動産物件を賃貸にして長期的にインカムゲインを得るスキームです。
そのため、利回りは5%程度とそれほど高くはありませんが、安全性は高いと考えられます。
借り手は親会社であるロードスターキャピタル自身や他の不動産事業者で、主な投資対象はオフィスビルです。
また、ロードスターキャピタルは本業の不動産業で十分な利益をあげており、サービス業者自体の安定性も高いと言えます。

さらに、ロードスターキャピタル株式会社は、2017年にマザーズへの上場を果たしました。
これにより信頼性・安全性がさらに高まったと言えるでしょう。

2019年の貸出額は52.6億円(シェア4.1%)と、業界5位の規模です。
なお、2020年5月現在、貸倒れ・返済遅延はまだ発生していません。

ownersbook3.jpg
岩野代表(中央)

評価


私けにごろうによる主観的な評価です。
あくまでご参考としてください。

2020年5月時点
評価項目評価基準オーナーズブック 
   根拠評価
利回り C
 平均利回りA:平均利回り9%以上
B:平均利回り7%以上
C:平均利回り7%未満
4.8%C
投資のしやすさ B
 年間募集額(2018年)(単位:億円)A:100億円以上
B:10億円以上
C:10億円未満
52.6 B
ファンドの安全性 A
 現時点での貸倒・返済遅延発生率
(募集総額に対するデフォルト額・返済遅延額の割合)
A:貸倒+返済遅延発生率1%未満
B:貸倒+返済遅延発生率3%未満
C:貸倒+返済遅延発生率3%以上
貸倒:0%
返済遅延:0%
A
 平均利回りA:平均利回り7%未満
B:平均利回り9%未満
C:平均利回り9%以上
4.8%A
サービス事業者自体の安全性 A
 金融取引事業者の種別A:第1種
B:第2種、不動産特定事業
C:その他
第2種B
 上場しているか、または上場企業・ベンチャーキャピタルからの出資を受けているA:上場企業もしくはその関連企業である。
B:上場企業・ベンチャーキャピタルからの出資を受けている
C:その他もしくは不明
ロードスターキャピタル株式会社(マザーズ上場企業)A
 金融当局からの行政処分などを受けていないかA:処分を受けていない
B:軽微な指摘
C:重大な指摘・行政処分
処分を受けていないA
運営力 A
 システム(わかりやすいか、不具合等がないか)A:わかりやすく不具合などがない
B:わかりにくい。
C:不具合が存在する。
わかりやすく不具合等もないA
 オペレーション(ミスや遅延がないか、要望・問い合わせに対する回答は適切・迅速か)A:問題なし
B:何らかの問題あり
C:重大な問題あり
問題なしA



オーナーズブック

次回は「自分の損益計算書と貸借対照表を書いてみた(2019年度)」の予定です。


CRE Funding


マザーズ上場企業が手掛ける不動産クラウドファンディング




ポイントで投資できる不動産型クラウドファンディング
Rimple(リンプル)



不動産ファンドのプロが独自のスキームで参戦




不動産業界の風雲児が再起を図る
SYLA FUNDING



“応援を届ける” 融資型クラウドファンディング
CAMPFIRE Owners


アジア圏への投資
COOL


最先端技術企業へ投資する株式型クラウドファンディング
ユニコーン


上場企業・有名企業への投資
Funds


中古不動産の再生に投資



証券会社の手掛けるソーシャルレンディング




不動産・ホテルに投資
CREAL



証券会社の運営するソーシャルレンディング
SAMURAI証券



アジアの中心!沖縄発クラウドファンディング
Pocket Funding



狭い国内市場には興味なし! ソーシャルレンディングで世界を救う!



FUNDINNO(ファンディーノ)









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コメント

No title

ブログの更新有難うございます。
maneoですが毎月のメールでは期失案件(埼玉県新座市)の進捗が何もみられません。
本当に回収業務を行っているのかも怪しいのですが、けにごろうさんはどのように思われますでしょうか?
ご意見をお伺いできればと思います。
よろしくお願いいたします。

Re: No title

kitさん
こんにちは。

コメントありがとうございます。

私はその案件に投資しておらず、詳細を把握していないので確かなことは言えませんが、少なくとも私が投資しているmaneoの虎のラーメン店案件についてはパルティール債権回収株式会社が中心となり回収活動は行われているようです。

ご参考までに、6月16日に送付された回収状況報告を引用します。


1.これまでの回収活動について

2018年3月:急激な売上減少を原因とした閉店、債務整理の申し出に対して、
他店舗からの収入を含め返済を継続するよう督促
保有現預金の状況と営業見通しを踏まえ50万円を一部回収
4月~:定期的に一部回収を実施
2020年4月:店舗に対する動産執行を実行するも、店舗の営業権を他の法人に譲渡していることが判明し、不奏功


2.回収活動状況について

返済:督促中
強制執行:申立て中
訴訟:詐害行為取消請求訴訟を申立て


3.前回報告時からの回収活動について

パルティール社は、事業者BM及び事業者BY(以下、連帯保証人を含み「事業者BMら」といいます。)に対する詐害行為取消請求訴訟を提起しましたが、前回ご報告以降、進展がございません。
その理由として、新型コロナウイルス感染症の拡大防止を目的として裁判所の業務縮小・停止が挙げられます。裁判所における業務が再開されますと当該訴訟も進行することとなります。
前回ご報告いたしました事業者BMらの代理人と称する弁護士からの、事業者BMらが自己破産を申立てるとする通知を受けて以降、事業者BMらの自己破産申立てに関する情報は得られておりません。

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中田健介(けにごろう)

Author:中田健介(けにごろう)
IT系企業に勤務しています。
2010年からソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)での資産運用を開始しました。
自分の運用実績、各社のサービス内容比較、業界の最新トピックなどを毎週2回(水・土)発信しています。

■著書
2015年3月7日にぱる出版より著書「年利7%!今こそ「金利」で資産を殖やしなさい!~日本初!融資型クラウドファンディング投資の解説書」を発売しました。
是非よろしくお願いいたします。

■興味のあるもの
 ・投資(これまでに実施したことがあるのは、投資信託・国債・FX・株式などです。)

■ソーシャルレンディングについて
 maneo・AQUSHとも2010年から始めました。
 ソーシャルレンディングは将来性のあるビジネスモデルです。自分も微力ながらこのブログを通じて知名度の向上に努めたいと思っています。

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