【セミナーレポート】SBIソーシャルレンディング投資家向けセミナー
- 2011/03/13
- 11:27
その内容をレポートします。
日時:3月10日(木) 18:30~20:00
場所:六本木一丁目駅 泉ガーデンタワー20F
参加者は自分を含めて7名。他の方も一般の投資家のようでした。雑誌や新聞記者も来ているかと思ったのですが、特に来ていないようでした。
セミナーは定刻通りに始まりました。
最初にSBIソーシャルレンディングの織田貴行社長から以下のようなあいさつがありました。
・SBIソーシャルレンディングは3月末の開業を目指して準備を進めている。
・投資家へのキャンペーンを予定している。詳細は来週公開予定。
・ソーシャルレンディングとは、ネット上で貸し手と借り手を結び付けるサービス。投資家には高金利・借り手には低金利を提供できる。
・投資家は、高金利を目的とする人・社会支援を目的とする人いると思う。いずれの需要にもこたえられるようにしたい。
・少しでも多くの参加者を増やしたい。投資家・借り手からサービスを評価されるかがカギだと思う。
・年内にサービスを積極的に追加していく。
次に担当者の服部氏から説明がありました。
<ソーシャルレンディングとは>
(SBIソーシャルレンディングのHPの説明と同様の為省略)
<ソーシャルレンディングの歴史>
・当社はアメリカのソーシャルレンディングであるプロスパー社と合弁を予定していたが、昨年合弁を解消した(理由は、日米の法規制などが異なり、合弁のメリットがあまりないため)
・日本では2008年からmaneo・2009年からAQUSHがサービスを開始している。
・ソーシャルレンディングはベンチャー企業が手掛けるケースが多く、SBIグループのような大企業が参入するのは世界的にも珍しい。
<サービス内容>
・当面、「SBISLフリーローンファンド3年」「SBISLフリーファンド2年」「SBISL借換ローンファンド3年」の3つのサービスを提供する。
・投資家向け事前アンケートによると、投資家は会社員が多く、期待利回りは5~7%が多い。この金利を一つの基準として商品設計している。また、懸念するリスクは貸し倒れが一番多い。それに伴い、短期間の貸出を望む人が多い。
・3月末からファンド型(AQUSH型)のサービスを開始する。5月からオーダーメイド型(maneo型)のサービスも提供予定。
・最初にファンド型のサービスから開始するのは、分散投資により投資家のリスクを下げるため。AQUSHの貸し倒れ率が0%であるのを見習う。
・ただし、世界的にはオーダーメイド型の方が主流であり、そちらのサービスも提供する。
・借換ローンを別の商品として分けた理由は2点。借換ローンは総量規制の対象外であることと、低金利の借換ローンへの需要は大きいものと判断したため。
・SBIソーシャルレンディングの強みは2点。SBIグループの集客ノウハウの活用(グループ内他社からの誘導など)と、消費者金融のノウハウの活用(SBIグループは以前消費者金融サービスを行っていた)。
・審査については、独自のスコアリングシステムとCIC、JICCなどの個人信用調査機関のデータを基に行う。
・借換ローンについては、資金使途先への直接振込を行うことで貸し倒れリスクを低減する。
・回収は30日以内に行う。
<ファンド型サービスの仕組み>
・借り手側の金利は、審査結果を基にSBIソーシャルレンディング社が個別に決める。
・ファンドの投資家・借り手の募集期間は2週間。2週間ごとに新たなファンドを生成する。募集期間終了後に貸出金利が決定され、融資が実行される。全借り手金利の平均が貸出金利となる。(全ての貸し手の貸出金利は一律となる。)
・貸し手の資金総額の方が借り手の希望金額よりも多かった場合、貸付が早かった貸し手が優先となる。
・貸し手の余剰資金はロールオーバーされる。
・デフォルト発生時の負担額はそのファンドの貸し手内で貸付金額に按分して決定される。
<オーダーメイド型サービスの仕組み>
・借入希望金額の60%以上集まったら融資を実行する。そうでない場合は融資は実行されず、貸し手に返金される。
<質疑応答>
Q:このような証書貸付の形では、カードローンのような極度貸に比べて借り手の利便性が低いのでは?
A:極度貸だと、投資家にとってすぐに貸出ができないデメリットがあるので当面は考えていない。
Q:日本では例のないサービスだが、金利は法律上問題ないのか。
A:貸金業として登録しており、当然その制限内でサービス提供するので問題ない。
Q:匿名組合契約を途中で解約することはできるか。(貸付を途中で解約できるか)
A:解約はできない。
Q:繰り上げ返済は可能か
A:可能。ただし手数料がかかる。
Q:オーダーメイド型のサービスで、借り手の情報はどこまで公開されるか
A:未定。maneoと同程度を目安と考えている。ただし情報を公開されることについて借り手の抵抗もあるので、考慮する。
Q:借り手をどのように集めるのか。
A:インターネット上で集める。検索連動広告・アフィリエイト広告・ローンサイトへの登録などを考えている。
Q:貸出金額・ローン実行件数の目標は
A:目標はあるが、それにこだわるよりもまずは投資家からの信頼を得るのが第一と考えている。
Q:オーダーメイド型では、貸し手はどうやって借り手の信用度を判断するのか
A:基本的にはスコアリングの結果を見て判断してもらうことになる。
Q:デフォルト率の想定は
A:想定率はあるが、開示はしていない。運用後しばらくして実績値が出たら公開する。
Q:借り手にとって、融資実行まで2週間以上かかるというのは長すぎるのでは
A:融資金額50万円~100万円程度の、ある程度まとまった金額の融資を想定しており、そうした層は融資実行までの期間よりも低金利を優先すると考えている。最初はそうした優良な借り手に対する貸付を行いたい。
Q:ソーシャルレンディングの知名度は低いが、どう向上させていくか
A:すでにSBIグループの知名度でマスコミの注目をある程度集めている。また、マイクロファイナンスと提携することなども考えている。マイクロファイナンスでは逆に貸し手が不足している状況。
説明自体は30分程度で終わり、後は質疑応答の時間となりました。他の方も大変関心と前提知識を持っているようで、高度な質問が相次ぎました。
セミナーの後少し担当の方とお話させていただきました。
その担当者は2007年の立ち上げ時からこの案件に携わっており、その後プロスパーとの合弁や海外へのサービス展開など紆余曲折の末ようやくサービス開始にこぎつけることができ、感無量とのことでした。
また、オーダーメイド型のサービスについては金融庁からの許可がなかなか下りなくて大変だそうです。
以下は出席しての自分の感想です。
セミナーの運営状況やサービス内容の作りこみの度合いを見ると、SBIグループのサービスとはいえ、ソーシャルレンディングに関わっている社員はあまり多くはなさそうでした。言葉は悪いですが、サービス開始はある程度見切り発車的な印象を受けました。
その意味ではmaneoやAQUSHとそう条件は変わらないのではないでしょうか。もちろん資金面では安全でしょうが、サービス品質にそれほど違いはなさそうです。
その状況の中でファンド型のサービス開始2ヶ月後にオーダーメイド型も立ち上げるという難事業が可能なのでしょうか。特にオーダーメイド型についてはまだサービス内容の詳細は詰められていないようでした。まずはファンド型のサービスをしっかり軌道に乗せてから他のサービスを開始するほうが良いように思います。大きなトラブルが起きないことを願います。
また、ファンド型のサービス内容は、貸し手からするとやや面白みに欠ける印象でした。
すべての貸し手にとって一律の金利が適用されるということは、貸し手はハイリスクハイリターンやローリスクローリターンの選択ができないということを意味します。その意味では同じファンド型でもAQUSHの方が金利などの選択の幅がある分面白いと思います。まあSBIの方もサービス内容は柔軟に見直していくようなので、今後変わっていく可能性はあるでしょう。
融資が早いもの順で実行されるという点には若干違和感があります。その方式でうまくいくのでしょうか。明らかに早い時期に申し込んだ方が有利なので、ファンド生成時期に投資が殺到するような気がします。自分は試しに第1回のファンドでは真っ先に申し込んでみようと思います。
以上いろいろ書きましたが、大企業でありながらベンチャー精神を持って新たなサービスに挑むという姿勢は大変すばらしいと思います。是非今後新たなソーシャルレンディングのプレイヤーとして知名度の向上に努めてほしいと思います。
次回セミナーも3月24日に予定されています。
興味のある方は是非参加されてみてはいかがでしょうか。
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