2019年3月8日にトラストレンディングに対する行政処分の内容が関東財務局から発表されました。
エーアイトラスト株式会社に対する行政処分について<以下引用>
エーアイトラスト株式会社に対する行政処分について
(1)登録取消し
関東財務局長(金商)第2601号の登録を取り消す。
(2)業務改善命令
1)今回の行政処分の内容について、顧客に対し適切に説明を行うこと。
2)顧客が出資した財産の運用・管理の状況等(資金の使途を含む。)を早急に精査したうえで、顧客に対して、顧客が出資した財産の運用・管理の状況その他必要な事項の説明を行うこと。
3)顧客が出資した財産の顧客への返還に関する方針を策定し、速やかに実施すること。
4)投資者間の公平に配慮しつつ、適切な対応を行うなど、投資者保護に万全の措置を講ずること。
5)上記の対応・実施状況について、完了までの間、書面で随時報告すること。
行政処分の内容は、
第二種金融商品取引業者の登録取消および業務改善命令と非常に重いものでした。
ソーシャルレンディング事業者で登録取り消し処分を受けた事業者は初めてです。この処分を受けて、トラストレンディングは以下の通り発表しました。

今後新規会員および新規ファンドの募集は行わず、既存ファンドの運用業務・資金回収業務のみを行うとのことです。
事実上トラストレンディングはサービス終了したと言えるでしょう。また、各ファンドの状況について以下の通り公表されました。

上記のうち、事業の実態がなかったことが判明した3ファンドについては資金の返ってくる可能性が最も低いと思われます。
その貸付金額は、発表によるとそれぞれ以下の通りです。
・高速道路工事ファンド ⇒16.4億円
・除染事業ファンド ⇒6.0億円
・公共事業コンサルティングファンド ⇒2.4億円
(合計) 24.8億円
合計24.8億円について、すでに貸付先からの支払いは停止されたとのことなので、3月以降返済遅延となることはほぼ確実でしょう。この24.8億円という金額を過去の他社の返済遅延・デフォルトの規模と比較すると以下の通りです。
各事業者デフォルト・返済遅延発生状況(デフォルト+返済遅延総額順) | 2019年3月9日時点 | | |
事業者 | 募集総額 | デフォルト総額 (※1) | デフォルト率 | 返済遅延総額 (※2) | 返済遅延発生率 | デフォルト+返済遅延総額 | デフォルト+返済遅延発生率 |
グリーンインフラレンディング | ¥20,080,260,000 | ¥0 | 0.0% | ¥12,700,000,000 | 63.2% | ¥12,700,000,000 | 63.2% |
maneo | ¥152,732,140,000 | ¥0 | 0.0% | ¥6,194,634,178 | 4.1% | ¥6,194,634,178 | 4.1% |
ラッキーバンク | ¥15,614,500,000 | ¥4,600,000,000 | 29.5% | (不明) | (不明) | ¥4,600,000,000 | 29.5% |
ガイアファンディング | ¥9,327,200,000 | ¥0 | 0.0% | ¥4,165,120,000 | 44.7% | ¥4,165,120,000 | 44.7% |
みんなのクレジット | ¥4,520,540,000 | ¥3,100,000,000 | 68.6% | (不明) | (不明) | ¥3,100,000,000 | 68.6% |
トラストレンディング | ¥8,348,100,000 | ¥0 | 0.0% | ¥2,480,000,000 | 29.7% | ¥2,480,000,000 | 29.7% |
クラウドリース | ¥15,984,090,000 | ¥0 | 0.0% | ¥1,080,000,000 | 6.8% | ¥1,080,000,000 | 6.8% |
SBIソーシャルレンディング | ¥72,079,490,000 | ¥5,541,545 | 0.0% | ¥726,363,500 | 1.0% | ¥731,905,045 | 1.0% |
キャッシュフローファイナンス | ¥3,776,570,000 | ¥0 | 0.0% | ¥571,440,395 | 15.1% | ¥571,440,395 | 15.1% |
クラウドクレジット | ¥14,884,700,000 | ¥0 | 0.0% | ¥470,000,000 | 3.2% | ¥470,000,000 | 3.2% |
| | | | | | | |
(※1)デフォルト:投資した金額の一部または全部が返ってこないことが確定した状態 | | | |
(※2)返済遅延:期日を過ぎても投資した金額の一部または全部が返ってこない状態が続いているもの | | | |
デフォルト+返済遅延総額で比較すると、トラストレンディング(24.8億円)はみんなのクレジット(31億円)についで歴代6位の規模となります。
今後さらに返済遅延が増えないことを願います。
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