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危険な事業者の見分け方はあるのか(1)(募集累計額)

2017~2018年はソーシャルレンディングのデフォルト・返済遅延が相次いだ年でした。
特に、一つのサービスにおいて多くのファンドが一斉に返済遅延・デフォルトになるといった事例が目立ちました。
改めて、個々のファンドの安全性の見極めよりも、サービス事業者の安全性の見極めの方が重要であると強く感じています。

それでは、安全な事業者とそうでない事業者を事前に判別することはできるのでしょうか?
「ここを見れば確実に判別できる」というポイントは存在するのでしょうか?
いくつか候補として考えられるポイントはあると思いますが、それらが実際に有効かどうか、過去のデータをもとに検証してみたいと思います。

まず、「危険な事業者」を定義する必要があります。
ここでは、「デフォルト・返済遅延発生率10%以上」の事業者を「危険な事業者」と定義します。

デフォルト・返済遅延発生率は、「(デフォルト+返済遅延総額)÷募集累計額」で算出します。
デフォルト(貸し倒れ)とは、投資した金額の一部または全部が返ってこないことが確定したもの、
返済遅延とは、期日を過ぎても投資した金額の一部または全部が返ってこない状態が現時点で続いているものとします。

この基準だと、以下の黄色網掛けのサービス事業者5社が「危険な事業者」に該当します。
サービス募集累計額デフォルト総額
(※1)
返済遅延総額
(※2)
デフォルト+返済遅延総額デフォルト・返済遅延発生率
(デフォルト+返済遅延総額)/募集累計額
みんなのクレジット4,520,540,000 3,100,000,000 0 3,100,000,000 68.6%
グリーンインフラレンディング20,080,260,000 0 12,700,000,000 12,700,000,000 63.2%
ガイアファンディング9,327,200,000 0 4,165,120,000 4,165,120,000 44.7%
ラッキーバンク15,614,500,000 0 4,600,000,000 4,600,000,000 29.5%
キャッシュフローファイナンス3,776,570,000 0 571,440,395 571,440,395 15.1%
クラウドクレジット14,884,700,000 0 470,000,000 470,000,000 3.2%
maneo152,732,140,000 0 4,154,750,572 4,154,750,572 2.7%
SBIソーシャルレンディング72,079,490,000 5,541,545 726,363,500 731,905,045 1.0%
J.Lending826,000,000 0 0 0 0.0%
オーナーズブック8,285,300,000 0 0 0 0.0%
プレリートファンド2,468,370,000 0 0 0 0.0%
LCレンディング25,390,590,000 0 0 0 0.0%
クラウドバンク42,925,850,000 0 0 0 0.0%
クラウドリアルティ612,650,000 0 0 0 0.0%
さくらソーシャルレンディング1,403,240,000 0 0 0 0.0%
Pocket Funding469,120,000 0 0 0 0.0%
スマートレンド6,905,020,000 0 0 0 0.0%
SAMURAI735,700,000 0 0 0 0.0%
アップルバンク2,417,670,000 0 0 0 0.0%
レンデックス1,226,120,000 0 0 0 0.0%
アメリカンファンディング2,496,460,000 0 0 0 0.0%
トラストレンディング8,348,100,000 0 0 0 0.0%
クラウドリース15,968,940,000 0 0 0 0.0%
TATERU FUNIDING4,197,490,000 0 0 0 0.0%


(※1)デフォルト(貸し倒れ):投資した金額の一部または全部が返ってこないことが確定したもの
(※2)返済遅延:期日を過ぎても投資した金額の一部または全部が返ってこない状態が現時点で続いているもの

これらの「危険な事業者」を事前に見極めるためのポイントとして、以下の候補が挙げられます。

・募集累計額
 募集累計額が多い事業者ほど安全なのではないか。

・平均利回り
 募集ファンドの平均利回りが高い事業者ほど危険なのではないか。

・担保あり率
 担保の設定されている事業者は安全なのではないか。


・資本金
 資本金の多い事業者ほど安全なのではないか。

・上場/非上場
 上場している事業者は安全なのではないか。

・会社の主要な出資者
 上場企業やその関連企業が出資している企業は安全なのではないか。

・目的型/手段型
 目的型・手段型の事業者で安全性に違いはあるのか。
 目的型・手段型については、以下の記事をご参照
 「目的」としてのSL、「手段」としてのSL


これらの要素が実際に危険な事業者を判別するために有効なのかひとつづつ検証していきます。

まずは、募集累計額について検証したいと思います。
募集累計額が多い事業者ほど実績が豊富ということなので、安全なのではないかと考えられますが、実際にはどうなのでしょうか。

各サービスを募集累計額順に並び替えると以下の通りとなります。
ただし、サービス開始から1年未満のサービスは評価対象外とします。
サービス募集累計額デフォルト総額
(※1)
返済遅延総額
(※2)
デフォルト+返済遅延総額デフォルト・返済遅延発生率
(デフォルト+返済遅延総額)/募集累計額
Pocket Funding469,120,000 0 0 0 0.0%
クラウドリアルティ612,650,000 0 0 0 0.0%
SAMURAI735,700,000 0 0 0 0.0%
J.Lending826,000,000 0 0 0 0.0%
レンデックス1,226,120,000 0 0 0 0.0%
さくらソーシャルレンディング1,403,240,000 0 0 0 0.0%
アップルバンク2,417,670,000 0 0 0 0.0%
プレリートファンド2,468,370,000 0 0 0 0.0%
アメリカンファンディング2,496,460,000 0 0 0 0.0%
キャッシュフローファイナンス3,776,570,000 0 571,440,395 571,440,395 15.1%
TATERU FUNIDING4,197,490,000 0 0 0 0.0%
みんなのクレジット4,520,540,000 3,100,000,000 0 3,100,000,000 68.6%
スマートレンド6,905,020,000 0 0 0 0.0%
オーナーズブック8,285,300,000 0 0 0 0.0%
トラストレンディング8,348,100,000 0 0 0 0.0%
ガイアファンディング9,327,200,000 0 4,165,120,000 4,165,120,000 44.7%
クラウドクレジット14,884,700,000 0 470,000,000 470,000,000 3.2%
ラッキーバンク15,614,500,000 0 4,600,000,000 4,600,000,000 29.5%
クラウドリース15,968,940,000 0 0 0 0.0%
グリーンインフラレンディング20,080,260,000 0 12,700,000,000 12,700,000,000 63.2%
LCレンディング25,390,590,000 0 0 0 0.0%
クラウドバンク42,925,850,000 0 0 0 0.0%
SBIソーシャルレンディング72,079,490,000 5,541,545 726,363,500 731,905,045 1.0%
maneo152,732,140,000 0 4,154,750,572 4,154,750,572 2.7%
全事業者平均17,403,834,167 129,397,564 1,141,153,103 1,270,550,667 7.3%
(※1)デフォルト(貸し倒れ):投資した金額の一部または全部が返ってこないことが確定したもの
(※2)返済遅延:期日を過ぎても投資した金額の一部または全部が返ってこない状態が現時点で続いているもの


表を見ればわかる通り、募集累計額に関わらず、危険な事業者は存在します。

募集累計額の全事業者の平均は17,403,834,167円ですが、危険な事業者であるグリーンインフラレンディングの募集累計額は20,080,260,000円と平均を上回っています。

したがって、「募集累計額が多い事業者ほど安全」とは言えないと結論付けることができます。

このように、他の要素についても次回以降検証していきたいと思います。

次回は「危険な事業者の見分け方はあるのか(2)(平均利回り)」の予定です。


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Author:中田健介(けにごろう)
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2010年からソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)での資産運用を開始しました。
自分の運用実績、各社のサービス内容比較、業界の最新トピックなどを毎週2回(水・土)発信しています。

■著書
2015年3月7日にぱる出版より著書「年利7%!今こそ「金利」で資産を殖やしなさい!~日本初!融資型クラウドファンディング投資の解説書」を発売しました。
是非よろしくお願いいたします。

■興味のあるもの
 ・投資(これまでに実施したことがあるのは、投資信託・国債・FX・株式などです。)

■ソーシャルレンディングについて
 maneo・AQUSHとも2010年から始めました。
 ソーシャルレンディングは将来性のあるビジネスモデルです。自分も微力ながらこのブログを通じて知名度の向上に努めたいと思っています。

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