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ネクストシフト株式会社代表 伊藤氏インタビュー(3)

前回に引き続き、ネクストシフト株式会社代表 伊藤氏インタビューです。

―8月にはジョージアのファンドも募集していますが、なぜジョージアなのでしょうか。
ジョージアは、ロシアの近くの国でもともとグルジアと呼ばれていた国で、主要な産業は農業ですが、世界ではビジネスがしやすい国ランキングで9位に入る など、ビジネスのし易い国として知られています。
そういった理由からジョージアへの投資を考えていた際に、永野の個人的な人脈があったこともあり、実施をするにいたりました。現地の経営者の方が来日した際に私もお会いするなど、事業者としても信頼できると判断し、投資先として実施することといたしました。

―国内クラウドファンディング事業者で初めて責任投資原則(PRI)へ署名したとのことですが、責任投資原則(PRI)について教えてください。
PRIとは、Principles for Responsible Investmentのそれぞれの頭文字をとったもので、国連の責任投資原則のことを指します(https://www.unpri.org/)。
これは、投資のプロセスにおいて、特にESGの観点に注目するという考え方です。
ESGとは、環境Environment、社会Social、企業統治Governanceの3つを指し、企業に対して投資するときに、ESGに配慮している企業に投資すると宣言することがPRIに署名をする目的になります。
PRIに署名するためには、この投資原則に沿って投資がなされているか、国連による審査を受ける必要があります。
当社にとっては、社会的インパクト投資を手掛けているということを示し、外部からの評価を受けているという意味もあります。
PRIへの署名は、国内のソーシャルレンディングとしては初めてであり、唯一でもあります。

―取締役に相澤 英之氏(元衆議院議員)が入っているのはなぜでしょうか。
相澤氏は元大蔵省の次官だった方で、鳥取県選出の元国会議員です。
国会議員の時代には、自民党の税制調査会長や金融再生担当大臣を務めた方で、現在98歳という年齢ではありますが壮健であり、金融行政に大変詳しいために取締役として参画していただいております。

―投資家の資金の分別管理はどのように行っているのでしょうか。
まず、投資家の入金口座は、会社の口座とは分けて管理をしています。ファンドごとに口座を作成し、分別して資金管理をすることで、手間こそかかりますが、資金の用途が明確になり、より個人投資家の皆様の安心につながるものだと考えています。

―今後はどういった案件を予定しているのでしょうか。
当面はマイクロファイナンスに集中することを予定しています。対象の国と機関を増やしていく中で投資の選択肢を増やし、リスク分散が可能になるよう案件数を増やしていきたいと考えています。
対象の国は、主に東南アジアなど成長の一方で、マイクロファイナンスなどの資金需要がある国及び地域を手掛けていきたいと考えています。。
また、将来的にはアフリカや中南米の案件も積極的に組成できるよう準備をしていきたいと考えています。

―目標の利回り水準は今後も5~7%程度でしょうか。もっと高い利回りのものを出す予定はあるのでしょうか。
今後も現在の目標利回り水準となるだろうと考えています。
ドル建てだと、10%以上というのは非常に難しい水準です。新興国通貨建てであればもっと高い利回りも出せますが、個人投資家の皆様が安心して預けられるファンドになることを目指してできるだけドル建てとしたいと考えているところです。
なお、ジョージアのファンドの方がカンボジアよりも利回りが高いのは、ジョージアには上限金利の規制がなく、現地の貸出金利が高いためです。

―今後の運用金額総額の目標はどのくらいの金額で考えているのでしょうか。
まずはソーシャルレンディングとベンチャーキャピタル合わせて運用残高50億を目指します。
ソーシャルレンディング大手事業者を見ると、運用金額が50億を超えたあたりで事業として安定し始めたように見えています。

―今後、国内に投資する予定はあるのでしょうか。
現時点で、ソーシャルレンディング事業としては考えていません。

―今後の展望について教えてください。
ソーシャルレンディング事業も始まったばかりのため、今後はそれに注力していきたいと考えています。
単純な目標利回りの面ではより高い水準の事業者もありますが、個人投資家が出資したお金が社会的インパクト、つまり社会課題の解決に寄与するという面をアピールしていきたいと考えています。
そのためにも、個人投資家への情報提供は一層重視し、注力したいと考えています。

―ネクストシフトの経営状況について教えてください。
今後、2年くらいかけて黒字化を目指したいと考えています。
それまでは社会的インパクト投資に共感してもらえるパートナーを増やしていきたいと思います。

―決算書を公開する、あるいは外部の監査を受ける予定はありますか。
今はまだ検討中で、具体的な予定はありません。

―株式公開予定について教えてください。
外部の投資家も入っているため、将来的な上場は目指しています。会社の実態を見てもらうには、上場するのが最も良い手段だと考えています。
自分自身、これまで上場企業の経営もしてきました。上場によるデメリットがあることも承知していますが、メリットの方が大きいものと考えています。

―セミナーなどの開催予定はありますか。
9月にセミナー開催を予定しています。利回りだけでなく、コンセプトをしっかり説明する機会にしたいと考えています。
WEB等でも引き続き情報発信をしていきますがが、直接話をする機会も作りたいと考えています。

―他社では行政処分を受けるところが相次いでいますが、これについてどう考えていますか。
そのことについては残念に思っています。
私自身、これまで長年インターネット金融サービスを手掛けてきました。その際に得た知見をもとに申し上げます。
従来、第二種は第一種(証券会社)ほど厳格ではなく、参入障壁が低かったという経緯がありました。
このことは、金融業としてやらなければならない、分別管理・リスク管理といった業務にあまり経験がない会社でも参入できてしまったことを意味しています。
そのために、参入のハードルが低いことを悪用しようという人が出てきたのが今回の行政処分につながったのだと思います。
そういう事業者がいると、規制が過剰に厳しくなっていくことはこれまでの規制の歴史からも明らかです。
プレイヤーを増やすために規制を緩和しても、それを悪用する人がいると、また厳しくなってしまいます。
金融業を手掛けているという責任、お金を預かっているという責任を強く持つ必要があります。
今回のように、資金を別の用途に使っていたというのは、その責任の原則から外れています。

ソーシャルレンディングはミドルリスク・ミドルリターンで、他の投資商品とはポジションが違います。
こうした金融商品は、従来あまり選択肢に上がってこなかった貴重な選択肢になるだろうと考えています。こうした商品が、一般の投資家にもっと広まってほしいと考えています。
ここ数年で、ソーシャルレンディング業界自体の規模は拡大してきています。
様々な問題が起きてはいますが、投資家に安心して投資してもらえるよう健全な業界とするべく弊社も引き続き努力していきたいと考えています。

貸出残高が増えてこそ、初めてビジネスとして成り立つモデルなので、時間がかかるビジネスだと考えています。
私がこれまで扱ってきたFXや証券・不動産といった金融商品は、短期で手数料が入ってくるため、短期で事業者の利益が上げられるビジネスです。
ソーシャルレンディングとは属性が異なる金融商品であり、まだまだソーシャルレンディングは投資商品として根付くにも時間がかかると思っています。
これまでの経験や知見にのみ頼るのでなく、自分としても地に足を付けてやっていく所存です。

―借り手の資金の目的外使用はどのように監視するのでしょうか。
ソーシャルレンディング事業者は、資金を募集する会社(二種業)と、資金を貸し出す会社(貸金業)が分かれているところもあります。
分かれていると、投資先のバラエティという意味で投資家にとっての選択肢が増えますが、その分、モニタリングは難しくなります。
当社では1社でどちらの役割も担っているため、モニタリングする体制は作れているだろうと考えています。

―借り手が親会社・関連会社であることについてはどう考えていますか。
本来、きちんと運用されていれば問題ないと理解しています。
正しい用途に資金が使われ、結果として投資家にリターンをもたらすのであればよいと思います。
ただし、それを悪用する事例があることも一方で事実です。モラルの問題ですが、何でも悪用しようと思えばできてしまう。規制する側ではそれを防止しようとするが、そうすると本来の趣旨が損なわれてしまうこともあります。
例えば、最近の事例では、仮想通貨の交換業も審査が厳しくなっています。
事業を実施している人が、金融のバックグラウンドや意識を持っているかがよく見られるようになりました。ソーシャルレンディングの業者も今後そうなっていく可能性は十分にあると考えています。
以前は審査の際に、申請書類の形式さえ整っていれば良かったということもあったと聞いていますが、今後は事業の実態も問われるようになると思います。
ルールが無いから大丈夫だと思ってやっていたことができなくなるようになるでしょうね。

―投資家は投資する際にどのような点に気を付けるべきでしょうか。

一般的な感覚で見て無理があるスキームは、利回りが良かったとしても何かしらの問題を含んでいるケースがあると思います。
投資にあたって、利回りが高すぎたり、リスクが低すぎたりしないか、そういった感覚を大事にすべきです。
その意味では、まずは小口で試してみて経験を積んだほうが良いでしょう。
リスクヘッジとしてはやはりファンドや事業者を分散する分散投資が重要だと思います。

―最後に、投資家にサービスをアピールしていただけますか。
ネクストシフトファンドに投資すれば、資金は社会課題の解決に使われます。
利回りが得られるだけでなく、社会貢献にもなり、自分の資金が良い事業に循環している実感が得られることは、投資家としても気持ちいいと思えるだろうと考えています。
ぜひ今後とも注目していただければと思います。本日はありがとうございました。

次回はソーシャルレンディングと他の投資のパフォーマンス比較(2017年)の予定です



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中田健介(けにごろう)

Author:中田健介(けにごろう)
IT系企業に勤務しています。
2010年からソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)での資産運用を開始しました。
自分の運用実績、各社のサービス内容比較、業界の最新トピックなどを毎週2回(水・土)発信しています。

■著書
2015年3月7日にぱる出版より著書「年利7%!今こそ「金利」で資産を殖やしなさい!~日本初!融資型クラウドファンディング投資の解説書」を発売しました。
是非よろしくお願いいたします。

■興味のあるもの
 ・投資(これまでに実施したことがあるのは、投資信託・国債・FX・株式などです。)

■ソーシャルレンディングについて
 maneo・AQUSHとも2010年から始めました。
 ソーシャルレンディングは将来性のあるビジネスモデルです。自分も微力ながらこのブログを通じて知名度の向上に努めたいと思っています。

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